226・筑後川温泉
温泉
施設外観。今回入ったのは温泉街入り口にある老舗旅館、つるき荘。
そらもう源泉掛け流しを謳うならいただきますよ。
成分分析表
成分総計250mg/㎏という、だいぶ薄い温泉だが・・・
注目すべきは42℃の源泉温度と、微かに含まれたイオン型の硫化水素(HS⁻)。
酸素(O)と硫黄(S)は同族元素であり、同じ液中にあってはOH⁻(HO⁻)とHS⁻は似たような挙動を示すと思われる。
アルカリ性の指標であるOH⁻が多いとpHは高くなり、実際の物理的性質は脂肪酸を鹸化してツルツル・トロトロな肌触りに変化する。
この温泉ではpH9.3とかなりアルカリ寄りな性質を持っているが、まだOH⁻を検出に至る程では無く、このpHの温泉自体はそれほど珍しいという程の事はない。
ただ、この温泉はOH⁻こそ検出されていないが、HS⁻は検出されている。つまり、この硫化水素イオンが皮脂の脂肪酸と反応し、鹸化を起こしたようなトロトロ・ツルツルな浴感を演出するのである。
以上、真面目な話終わり!!
概要
福岡県の外れ…大分県の境…。
僅か数軒の温泉宿が細々と残る筑後川温泉は、なんというか・・・田舎と呼ぶにはそれなりに住宅も病院も学校もあるし、しかし街と呼ぶにはあまりに静かすぎる・・・。
そんな感じの場所にある。
雰囲気的には、惡の華のモデルになった群馬県桐生市が近い・・・のか?
特に不便はないんだろうけど、妙に閉塞感のある雰囲気が何となく似てるような気がする。
ホテルラウンジからの景色。
その名の通り筑後川に面した温泉であるが・・・
川を見ながら温泉に入れるわけではない。むしろ川土手から丸見えというロケーションは流石に草。
規模が小さく、本当に静かな温泉街であり、個人的にはこの雰囲気はかなり好き。
「誰にも会いたないんや・・・」
という気持ちを静かに受け入れてくれる温泉地である。
総評
微量ではあるが硫化水素イオンを含んでいるという事から、微かに青みがかった蛍光を確認する事が出来る。蛍光というより、屈折率の違い?
角度によってはかなり透明にも見えるし、しかしやはり微かに青~緑がかっているように見える。これがイオン型の硫化水素泉の特徴である。比較として、新潟の咲花温泉はここよりももっと硫化水素イオンの濃度が濃いので、入浴剤みたいな緑色をしている。ここは咲花温泉程ではないものの、微かに硫化水素臭がある。
温度は源泉が42℃という事もあり、掛け流しの浴槽ではほぼ40℃というぬるめのセッティングとなっている。ぬるく、柔らかく、上品さの伴う浴感。
先程長々と書いたとおり、硫化水素イオンの影響で温泉が脂肪酸の類を鹸化する作用があり、肌触りはかなりのトロトロ感があっていかにも美人の湯という感じである。お湯はそれ自体に微かな粘度があり、故に湯の口周辺に気泡が生じている事が判る。この気泡は肌の産毛に纏わりつき、それがまた蛍光を発しているように見えるのが実に面白い。温泉は科学だ。
さて、ここまでの情報をまとめると・・・
透明度があり、微かな蛍光を放ち、基本的にぬるく、柔らかく、微かな硫化水素臭があって、そしてツルツルトロトロの泉質を持つ筑後川温泉は、かなりレベルの高い上品さを持つ温泉だという事が判る。アルカリ性単純泉の理想形のような泉質であり、貴族的な気品を感じさせる温泉なのである。
ガツンとパンチの利いた強塩類泉も大好物だが、たまにはこういうお上品なのも嗜まないとね。
美食
前にも紹介してるんだけど、帰りに日田によって想夫恋の本社直営店で焼きそば食べました。相変わらず焼きそばの概念を覆すくくらいうめぇ。
パリッパリ(パリ野郎)やぞホンマ。パリッパリ。