167・寒の地獄温泉
温泉
施設外観。九重連山の麓に湧く冷たい硫黄泉である。
成分分析書
詳細な情報の掲示は無く、泉質と温度とpHが記載されていた。
見学自由の源泉施設にもこのような掲示があった。
湧出量すげーな、おい。
概要
この辺は秘湯・・・というか名湯だらけで、一度の訪問ではとてもじゃないが入り切れない。何度も足繁く通い、入り尽すしかないなー。
この旅館は同敷地内に自家源泉を有するという事で、日本秘湯を守る会の会員宿でもある。このブランドも大分定着してきた感あるが、流石にクオリティは高い。
この旅館は敷地内に硫黄泉の小川が流れており、生き物が住めないこの毒水こそが、寒の地獄という名前の由来なんだろうなーと推測。パッと見は色が鮮やかで美しいが、pHも酸性寄りであるし、農業とかやるには厄介な水だったんだろう。
古くから湯客には冷水浴を開放していたようだが、何だこの軍艦マーチみたいな歌詞!?
コロナの影響で冷水浴は開放しなくなり、かつての冷水浴槽は現在こんな感じになっている。お湯そのものの透明度は高いが、この手の源泉は貯水すると溶解度の関係で表面にミネラルやら硫黄分が結晶として析出し、薄膜となって表れてしまっている。池田ラジウム温泉でも貯水槽にはカルシウムの結晶膜が確認されたしの。
膜のない所はかなり透明度が高く、美しい源泉だという事が判る。
実際の浴場は、この水を薪で沸かして給湯するスタイルとなっている。
総評
こちらが実際の大浴場。現在は日帰りは不可で宿泊者のみの利用となっております。
宿泊者であっても利用者数は制限しており、密を避ける工夫は成されている模様。
左が源泉の水風呂で、真ん中が高温浴槽、右手前が気持ち程度の低温浴槽となっている。
硫黄泉ではあるがどうもガス型ではないようで、白濁するような特徴は見受けられない。透明度は高く、浴槽内の色は若干硫黄が付着したんかなー?って程度には青く見える。匂いは確かに硫黄泉の気配があるが、そこまで強烈な印象は無かった。
詳細な成分分析表が無かったのであくまで推測ではあったが、お湯そのものには皮膚の灼けや火照りを感じる程の酸性度は無く、あくまでpH4程度の弱酸性という泉質なりの浴感である。塩分も濃くはなく、重い湯ではない。あくまで硫黄分のみが主張した温泉である。
ただ、源泉を使った水風呂があるのは素晴らしい。
感想としては、塩類泉のように身体を強く温める温泉では無いだろう。どちらかというとその逆で、むしり身体を冷やす系の泉質のような気がする。やはり夏の温泉ですね・・・。
美食
この旅館、晩飯が非常に美味しかった。
小鉢に少量盛り付けられた前菜がどれも焼酎との相性がバッチリで、陶板焼きなど、一見手抜きのように見える料理でも、ハンチョウ的に「クズどもには一生思いもつかん一手間」というのがしっかりとかかっている料理の数々でした、
余談ですが、浴場の隣には囲炉裏で炊き込まれたウエルカム温泉卵が用意されている。宿泊者一人につき、一個までとの事。
この茹で卵も硫黄分が効いてて塩味が増し、昔の滋養強壮剤としての卵を彷彿とさせるような、若干懐かしい味でしたね。