温泉美食倶楽部活動報告書

温泉の成分分析表に興味ある人向け

141・登別温泉 さぎり湯

温泉

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言わずと知れた地獄谷。第一滝本館は主にここの源泉を使った浴場を展開しているが、適正な温度に保つために金蔵の湯以外は加水してある。

今回は温泉街の中にあるさぎり湯という公共浴場のレポート。

 

成分分析表

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登別温泉を代表する一号乙泉のスペック。意外に塩分は濃くなく、酸・鉄・硫黄の特殊成分で勝負をしている技巧派。しかしこれらの要素はかなり強い浴感があり、ガッツリとキマる系のハイパワー温泉である。低張泉故に細胞への浸透性も高く、その事がむしろこのお湯の力を高めている感すらある。

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そしてこちらは鉱泥の豊富な目の湯源泉。白濁だが第三鉄も豊富で、色は若干黒い。

この強烈な硫化水素の量を見よ!!そのままの源泉だと硫化水素中毒で死者が出るレベルなので、恐らく処理(直源泉ではなく、プールされている等)はされていると思います。加水もあるか?

 

概要

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まぁ言わずと知れた登別温泉です。

北海道が誇る最大の温泉場で、地獄谷から湧く多数の源泉が特徴。

私も色々な温泉場に足を運びましたが、北海道内ではやはり泉質、エンターテイメント性で総合的に断トツで1位の温泉地です。クマ牧場も地味に面白いし。

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地獄谷方面から見た第一滝本館はこのように見える。男性の露天風呂が丸見えなのだが、まぁ遠いから多少はね?逆に言うと、第一滝本館ではこのロケーションを見ながら露天風呂に入れ、しかもお盆に日本酒浮かべながら浸かれるんだからマジで最&高なわけですよ。今回はさぎり湯の紹介だけども。

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こちらは地獄谷にある鉄泉の写真。若干青く染まっているのは恐らく銅ではないかと思いますが、鉄や銅は結構色々な成分と反応して様々な色を呈するので、推測に過ぎません。黒いのは間違いなく硫化鉄ですね。

目の湯も白濁ながら若干の黒みがかった鉱泥を含むので、登別温泉は硫黄泉であると同時に鉄分も豊富な温泉な事が判ります。まぁそれも源泉次第ですが。

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地獄谷を流れる川はこのように言おうと各地質の成分が反応して様々な色を呈しています。茶色いのもアレは酸化鉄ですね・・・。

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登別温泉の面白い所は、地獄谷以外にも奥の湯や大湯沼といった巨大湧泉地があるという事です。今回は鈍った身体に活を入れるべく、地獄谷散策路からこの大湯沼まで歩いて回りました。(それほど距離はないが、結構きつい。トータル3km位。)

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奥の湯。基本的に硫黄が豊富で、やはり温泉らしい白濁とした色を呈しています。

やっぱ温泉といえばこの色だよなー。

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大湯沼の崖からはこのように噴煙と共にお湯がぶしゃあああ!と噴き出して沼に注がれていました。あぁ、これが産まれたての温泉・・・。

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大湯沼は縁の辺りは一見足場があるように見えるのですが、鉱泥の溜まったぬかるみなので、下手に足を踏み入れるとそのまま抜け出せなくなって骨まで溶かされてしまうという、まさに地獄。そもそも表面温度で50℃ほどあるそうで、浸かればあっという間に火傷で死んでしまいます。深さも22メートルほどあるらしく、怖すぎますね・・・。

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これが天然足湯と呼ばれる場所ですが、大湯沼から渓流に流れ込んだ源泉がそのまま足湯として利用可能になっています。

大湯沼からは下流のホテルに引き湯され、加水ではありますがあの沼の源泉がそのまま大浴場の湯として利用されています。恐らく野口観光のホテルとか、石水亭辺りはこの大湯沼の源泉なんじゃないでしょうか。立地的にも近いし。

 

総評

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こちらが今回入ったさぎり湯の目の湯源泉浴槽。普段は人でごった返してますが、閉店間際の時間で撮影させてもらいました。白濁ながら少し黒みがかっているのが特徴です。噴湯口の下には少量ではありますが、鉱泥がたまっています。

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こちらが一号乙泉の浴槽。こちらは目の湯に比べると微かに白が濃い。こっちにも鉱泥は溜まっています。

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もう止まってますが、こちらがジャグジー。このジャグジーが実はこのさぎり湯の最大の特徴といってもよいだろう。

 

さて、登別温泉で最も源泉の状態が良いのは何処かと聞かれたら、第一滝本館の大浴場の一部にある金蔵の湯が完全空冷の掛け流しを達成しているのでそれが該当します。でも小さいんですよね、金蔵の湯。そもそも第一滝本館は日帰り入浴でも2000円位するし。

 

一般的大浴場として、加水率が低く、湯の良さを最も残している温泉はやはりこのさぎり湯が該当するかと思われます。源泉温度が非常に高いので加水はあるかもしれませんが、それでも色々なホテルの風呂に入ってきた中で、私が感じる濃い源泉はここ。

湧出口の下に鉱泥が溜まりまくっているのが何よりの証拠です。泉質は分析表の所でも書いたようにガッツリ決まる系の硫黄・酸・鉄に加え、さらにラドンも含んだ放射能泉の要素も残しており、とにかくガツンと決まる系、疲れる系の湯である。

 

しかし疲れる湯ながら、このさぎり湯は水風呂の他に大正義の極ぬるジャグジーという存在があり、地元民はその使い方をしっかり理解している。即ち、内湯に浸かって生じた疲労を、このかなりぬるい(ほぼ温水プールくらいの温度)ジャグジーに浸かる事でクールダウン&休憩し、そして交代浴を繰り返すのである。私はもう何度もこのさぎり湯には入りに来ているが、このジャグジーだけは常に満員で、空く事がほぼない。なまじぬるいので各々の滞在時間がおのずと長くなり、占有率が高くなってしまうのである。みんな譲り合おうね!!(威圧)

 

その代わり水風呂の占有率が低いので、ジャグジーが空かない時はこの水風呂を使うとよいだろう。とにかく酸性度と硫黄分の濃いここの温泉は、浸かってしばらく経つと皮膚表面でヒリヒリと弱炎症を起こしている事が実感できるようになる。このヒリヒリ感、火照りをこのジャグジー、或いは水風呂で冷やすのである。水温もやや低めなので、皮膚が締まりビシッと整う感覚が味わえるはずだ。

 

こうした強い湯の良い所は、水風呂との交代浴で神経を刺激し、精神をスピリチュアルな領域へと誘ってくれる。そらもう、浸かるドラッグと呼ぶに相応しい。

 

登別温泉は散策路も豊富なので、早めにホテルにチェキラして、ガッツリ汗をかいて歩き、飲み放題バイキングでガンガン飲み食いして、そして〆に温泉でキメるというのが最高の過ごし方といえる。湯治の基本やね。

 

ちなみに今回私が泊まったのはこのさぎり湯からほど近い、登別万世閣という宿でしたが、ここも一号乙泉を掛け流ししている大浴場を持っていたので、ホテルに入ったのにわざわざ公衆浴場に行くのはどうもなーという人は、登別万世閣なら同じ源泉を堪能する事ができます。お湯の扱い方も悪くなかったです。

 

美食

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今回は登別万世閣のバイキングでしこたまジンギスカン食べてたわけですが、バイキング故に写真は撮ってなかったので、苫小牧の味の大王のランチメニューを紹介しときます。前も載せたかもしれんけど。

カレーとラーメンって、一見カレーが全てを台無しにしてしまいそうな印象を受けるが、大王のカレーラーメンはそこら辺が絶妙なハーモニーで掛け合わさっていて、気付けばスープを完飲してしまっているという恐るべきカロリーモンスターフード。

セットの炒飯がまたパラりと焼きあがっていて美味く、やはり炒飯の美味い店はラーメンも美味い!!

 

味の大王は一応登別温泉街にも店舗があるのだが、あんまり開いてる印象がないので、もし開いていたらチャレンジしてはどうだろうか。