213・折戸温泉
温泉
施設外観。
山奥の小さな温泉宿である。宿泊棟とは別なので、写真は温泉棟のものである。
成分分析表
入浴に適した43℃弱の掛け流し温泉。動力揚水であるが、間欠泉みたいな注がれっぷりを見せる。
概要
大分県って小さいけど面白い地形してるよなー。面積の大半は山間部で、やはり平地は大分市内だけ。それでも大分市内も此処と同じく45℃前後の温泉が湧くので、県内全域に地熱があるわけである。恐らくその中心は由布岳や鶴見岳といった活火山であろうし、九州全体が火山とは切っても切れない関係にある事が判る。
特にこの耶馬渓界隈は例によって阿蘇山噴火を由来とする景勝地だそうで、このような奇岩の数々や、
こんな感じの洞窟があちこちにある。
今回と立ち寄ったのは青の洞門だが、近くにはこのような奇岩を削って建てられた羅漢寺なんかもあって、自然現象と歴史が積み重ねられた、The九州って感じの史跡が結構集まっている。
今回泊まった折戸温泉、部屋からはこのような景色が見渡せるようになっていて、とにかく山深い秘境と云うに相応しいロケーションになっている。
私は関東方面にも住んでいた事があるが、都内から最も近い秘境は伊豆半島の湯ケ野~湯ヶ島辺りで、あの辺は鎌倉幕府が起こる前後辺りに由来する史跡が数多く残されているが、九州各地の由緒は神話時代にまで遡ったりするので、マジで古さを感じるんですよ。こうしてみると北海道なんかはああ見えて、何処を走ってても人の手が入った近現代開発の痕跡が色濃いですよね。
折戸温泉は数十年程度の歴史みたいですが、実際に湧出している温泉は阿蘇カルデラが大暴れした時代の名残なのだなーと思うと、なかなか感慨深いものがありますな。
総評
浴場は洗い場2つのマジでシンプルな小規模温泉。左奥のパイプからゴポゴポと不定期にお湯が注がれている。動力揚水なので、時々機械の音が聴こえる。
透明度はあるが、微かに黄色みのあるモール泉で、しかしながら仙景の湯と比べるとその濃度は薄く、匂いもツルツル感も色に比例している感じ。
温度は浴槽で39~40℃位であまり熱くはなくむしろぬるい位である。
湧出口のお湯は少しだけ熱いが、温度はほぼ成分分析表の通りだと思う。お湯にはあまりモール泉特有の匂いは感じなかったが、湧出口の配管からは微かにアブラの匂いがしたので、やはり地下深くには化石化した植物堆積層があるのだと思う。
泉質で勝負する感じの温泉では無いが、ロケーションは良いので秘境に来たっぽい雰囲気を楽しみたい人には良いといえる温泉だろう。
美食
旅館飯である。田舎料理が中心で、とろとろとした自家製の豆腐に始まり、
ドジョウの天婦羅はなかなか食べる機会無い。
メインの前に1回汁物も挟んでくれる。取れたての栗が入れてあり、季節を感じた。
こちらも日本酒で応じる。秋ですからね、ひやおろしの三種飲み比べ。
酔ってきたのであまり覚えてないんだけど、九州は結構旅館飯美味いところ多い気がする。
メインに豊後牛が入る。これは何処の旅館でも鉄板メニューですね。
豊後牛は総じてレベル高い。白老牛のような独特の香りはないが、食べやすい肉。
鮎の甘露煮の釜めしが出るのだが、何故か大分ではまぶしが流行っているようで・・・。
ひつまぶしのように出汁を足して茶漬けにして食べるという様式。
鮎の甘露煮の甘さが出汁で薄まっていい塩梅なんですよこれが。
今回は独自アレンジで、豊後牛の牛脂を入れて炊き込んでみたらバチクソ美味かった。
〆に山菜パスタも付くんですよ。本当に至れり尽くせりって感じだ。
朝飯はこんな感じ。特筆すべきは生卵と梅干で、梅干しは深耶馬渓でも仕込んでるの見たけど、この辺りの自家生産の品らしく、めっちゃ品質が良くて美味い。卵も黄身の色が異様に赤く、かなり良い卵だというのは瞬時で分かった。関東の旅館と比べるとこの辺のクオリティで明らかに差が付いており、このクオリティの差に気付けるか否かが、美食家であるかどうかの決定的な違いであるように思う。
北海道の旅館もこの辺は弱いが、あっちは圧倒的海産物という武器があるので、初見にはあっちの方がインパクトはデカいのだろう。
朝食後に提供された意識高い系のコーヒー。
ククク、こういう一手間が案外クズには出来ぬというもの・・・。
どうだ、貴様らも来てみたくなったか・・・?美食の地・九州っ・・・!!