77・湯ノ岱温泉
温泉
施設外観。非常にレトロな雰囲気。
適度に利用者がいて浴場の写真は撮れなかったが、ここは析出物のアートと言っても過言ではない位に素晴らしい結晶が浴場に形成されているので、是非自らの足で入りに来ていただきたい。
成分分析書
ここは恐らく道南で唯一の天然炭酸泉だと思われる。
他にも鉄、重曹、カルシウムが豊富で、様々な温泉の良いところが集まったようなスペックを誇る。
適応症は色々と書いてあるが、ここはストレスとかで神経が病んだ人向け。
理由は後程記す。
概要
湯ノ岱温泉は道南でも最も古くから和人が住んだとされる上ノ国の山奥にある温泉だ。
アクセスは新幹線も停車する木古内駅から道道5号線を車で20分くらい。
保養施設としての歴史も古いらしく、最初の写真からも解る通り建物は長年の風雪に晒されてかなり老築化している。しかし当時は結構税金を投じて造られたのか、中には休憩室や食堂もあってそれなりに快適だ。
総評
この湯ノ岱温泉、施設そのものは古いのだが、温泉のスペックは道南で屈指の性質を誇る。
浴槽は3つあり、39℃の源泉は浴槽部位38℃として主浴槽に掛け流されている。
この他、加温された42℃浴槽とジャグジーの加水35℃浴槽があり、この二つのぬる湯がこの温泉の個性を際立たせている。
際立つ成分はやはり炭酸ガスだが、シララ温泉よりはやや少ないものの、加温された42℃浴槽の湧出口からはパチパチと弾ける泡を視認する事が出来た。源泉浴槽では弾けるような気泡は目立たないが、肌には他の炭酸泉ではあまり見ないようなきめの細かい泡が付着する。
この他にもカルシウムの量が豊富で、湯はツルツル系ではなくパツパツ系のミネラル泉である。この豊富なカルシウムはあちこちで結晶化し、特に打たせ湯の壁と床にはもはや自然のアートと言ってもいいくらいの見事な石灰華の結晶を見る事が出来る。
(まるで無数の乳房が壁から垂れ下がっているようにみえる)
炭酸を含む湯であるが故に、主浴槽は実際の38℃のお湯よりも少し暖かく感じるので、長湯はやや厳しい。しかし35℃浴槽ではこれが実に快適で、もう永遠に入っていられるような快適さがある。
炭酸泉らしく風呂上りには清々しい爽快感があり、特にこの暑い夏の時期にうってつけの温泉である。
前述したが、このぬるさ故にここの湯はストレスを溜めた社畜兄貴にうってつけの温泉である。そもそも回復の泉こと我が国の温泉はストレスと不摂生で神経をすり減らした社畜兄貴達への癒しとしてはどれも一定の効果を持つが、この湯ノ岱温泉はこれらのぬる湯に加えて、隔絶された山奥にある。
そのため、夏は冷涼感のあるリアルサウンドが風のリグレットと化して我々の心を喧騒ある都会から郷愁漂うサターンへと誘導してくれる事であろう。
ちなみに、冬も営業している。
年末辺りに仕事を放り出して入りに来るにはうってつけだ。
美食
これ多分冬から春先の写真だったと思うんですけど、この湯ノ岱温泉の食堂で期間限定で出してた「行者ニンニクのラーメン」です。
懐かしい味の中に、食欲をそそる行者ニンニクの香りがふぅ~↑
この辺りは知内のニラも有名なので、春先は牡蠣と併せてニラ系を狙うとよいでしょう。