温泉美食倶楽部活動報告書

温泉の成分分析表に興味ある人向け

129・豊富温泉&初山別温泉&岩尾温泉(食道楽の旅3日目)

温泉

f:id:sticknumber31:20190724205415j:plain

施設外観その1。

豊富温泉は旅館集落の中心地にあるふれあいセンターに入浴。

直ぐ近くに源泉を湧出しているであろう設備があるので、どうやらこの地区の温泉は同じ源泉を使っている模様。

f:id:sticknumber31:20190724205643j:plain

施設外観その2。

初山別温泉は道の駅と併設された立派なホテル内にある温泉で、食事も可能。

食事については後述するが、最近北海道では結構身のデカいフグが取れるようになっているようで、稚内でもこのフグの幟を見た気がする。今回はフグは食べませんでしたが、いずれチャレンジしてみたいものです。

f:id:sticknumber31:20190724205827j:plain

施設外観その3。増毛の少し南にある岩尾温泉は比較的近年に公共施設としてこのあったまーるが建設されていました。景色の良い事を売りにした温泉ですが、もう1軒高台に日帰り可能な旅館もあるので、次はそちらも試してみたい。

 

成分分析書

f:id:sticknumber31:20190724210249j:plain

豊富温泉の分析表です。

温泉って奥が深いなーと思うのが、この温泉の最大の魅力はこの成分分析表に載らない有機成分にあるという点です。詳細は後述しますが、此処でも稚内や利尻と同じように豊富な炭酸水素イオンが出ている所に注目。それにしても、メタホウ酸もエライ多いな!

f:id:sticknumber31:20190724210644j:plain

初山別温泉の分析表。

スペック的には豊富温泉に近い印象を受けますが、泉温が低い事と、やはりこの表では掲載されない有機成分の差が歴然としていました。採湯地が海に近づいた事で少し薄まったような印象を受けますね。にしてもやはり多いな、メタホウ酸!

f:id:sticknumber31:20190724211004j:plain

そして増毛の岩尾温泉

薄っ!同じ日本海沿いでも留萌から北と南とではこうも泉質が違うもんなんですねー。

カテゴリ的には正当名称では温泉を標榜できない冷鉱泉にあたりますが、pHが3.5あるのは少し気になりますね。

しかしここの温泉が薄いのはまぁ何となくわかる気がする。だってすぐ北にある増毛町内には日本最北端の酒蔵「国稀酒造」があり、日本酒の仕込み水が湧いているわけです。硬度が低い水が出るのは何となくそこと近いからなのかもしれませんね。

 

概要

f:id:sticknumber31:20190724212923j:plain

帰りと言っても自宅まで最短距離で350kmあったんですよね・・・。

やっぱ稚内遠すぎぃ!!

 

帰路の始まりは朝9時半頃に稚内のホテルを出る所からスタート。

下道を地道に走り、バイパスを経てまずは豊富温泉へ。

f:id:sticknumber31:20190724213422j:plain

豊富温泉は小さな温泉集落で、しかしながらその泉質は道内外にも知れ渡るレア泉であります。元々天然ガスの採取から発見されたのか、石油くさい事で有名です。

f:id:sticknumber31:20190724214018j:plain

温泉については後述しますが、まぁとにかく一度現地で味わってもらいたいレア温泉。

f:id:sticknumber31:20190724214336j:plain

湯治用浴場と一般浴場で温度が分けてありました。

今回は時間の都合で一般浴場のみを利用しましたが、宿泊出来たら湯治用にじっくり入ってみたいものですね。

 

お風呂を出た時点で午前10時30分。

食堂は11時からだったのですが、まだ先の長い帰路だったので豊富温泉は敢えてここで立ち去る事にしました。

 

次に道の駅天塩で遅めの朝飯を食し、その後はぶらぶらと道の駅に立ち寄りながら何かしらを食うという食道楽の帰路が続いて行きます。

 

天塩の次は道の駅富士見でも飯を食い、その後初山別で腹ごなしの入浴をする事にしました。

f:id:sticknumber31:20190724214915j:plain

この辺は星がきれいに見えるだか何だかで、宿泊で来るのもいい経験になりそうです。

とにかく帰路は疲労が蓄積していた事と、終始運転が続いたため、あまり写真は撮れてないのが旅ブログ的に残念。

f:id:sticknumber31:20190724215139j:plain

道の駅とままえにも温泉はあったのですが、流石にもう湯あたりを起こし始めていて足湯を撮影するにとどまり、運転中に襲って来た強い睡魔を消すために施設内の椅子でしばし爆睡してました。

f:id:sticknumber31:20190724215723j:plain

ちなみにこれは以前の写真ですが、苫前と云えば三毛別ヒグマ事件の場所なので、もし立ち寄る機会があれば是非この事件再現地に行ってみるとよいでしょう。

開拓民の過酷な日常が窺い知れる貴重な学習資料ですねー。

f:id:sticknumber31:20190724220107j:plain

苫前は町内の資料館もヒグマ事件についてかなりディープに取り扱ってます。

かなり見応えのある資料が展示されてますので、こちらも是非。

 

もう1回立ち寄りたかったが今回は帰路が異様に長かったので、資料館はスルー。

そのまま留萌へと南下し、その後高速は使わずに増毛経由で札幌に戻りました。

f:id:sticknumber31:20190724220443j:plain

岩尾温泉に到着した頃には時刻も夕方7時前になっており、朝9時半に出たから実に9時間近くかかっている計算になります。北海道デカすぎ問題。

 

自宅につく頃はもうすっかり日も暮れて真っ暗になっており、総走行距離で750km程を移動した三日間の旅となりました。

 

総評

f:id:sticknumber31:20190724220843j:plain

まずは豊富温泉の総評から。

ここは噂に違わぬディープなアブラ系温泉で、既に液面がヌラヌラとテカっているのがお分かりだろうか?とにかく石油が混じっているのはガチです。

匂いは石油というか灯油に近く、かなりケミカルな匂いが施設の外まで漂ってきていました。

成分分析表上の泉質としては塩類の濃い高張泉で、豊富な炭酸水素が特徴であったが、此処はそういった血管拡張作用以上に、この液面に現れているアブラの効果が最も際立つ温泉でした。

 

そう、例えるなら「浸かる軟膏」とでもいうべきだろう。

液面上のアブラは写真のような末端の浴槽では殆ど目立たなくなっているが、湧出口付近ではラーメンのスープに浮かぶ油膜のように丸い球となってお湯の上を漂っており、湧出口付近の浴槽の床や湧出口を指で触ると、ヌルっとしたワセリンのような感触があるのがとても印象深かった。

f:id:sticknumber31:20190724221544j:plain

今回入った浴場はこの温度での提供だったが、低温の湯治浴場だとアブラ成分の溶解率は更に下がるため、もしかすると浴感も大分変っていたのではないだろうか?

今回この湯を評価するにあたって「浸かる軟膏」という表現をしたが、この温泉は皮膚乾燥に弱いアトピーや尋常性乾癬の人に良く効くとの事で、恐らくこの大量のアブラ成分が皮膚をコーティングし、浴後の皮膚乾燥を防ぐという事が薬理作用の根底にあると考えて間違いないと思えたからだ。

公衆浴場という点で衛生面では若干のリスクもあるだろうし、元々が掘削で出た鉱物油という側面から、中には肌に合わない人もいるかもしれないが、とくにそういったアレルギーが起きないケースであれば、この温泉は乾燥性の皮膚疾患に対しては圧倒的な効果を発揮するはずである。

そもそも白色ワセリンも原材料は石油であるからして、奇跡的なバランスで湯に溶けたこのアブラは正しく天然の軟膏と言っても過言ではないだろう。

 

帰りの車内でしばらく自分の身体から醸し出る灯油臭で軽くキマッてたので、アブラ系温泉の底知れぬ力を実感。

利尻島の温泉も道内では他に類泉が見当たらない程レアリティが高かったが、この豊富温泉も同様に並ぶものがない激レア温泉で間違いないでしょう。

 

f:id:sticknumber31:20190724222617j:plain

続いて初山別温泉。こちらは色的にもそうだが、だいぶ薄まった豊富温泉といった感じで、浴場自体にはほとんどアブラの匂いはしなかったが、内湯で微かにアブラ臭を検知する事が出来た。

基本的には濃厚な塩類泉で、色も鮮やかな黄色の濁りのない湯だった。ちなみに若干北にある天塩温泉は強いアンモニア臭が漂うというクセの強い温泉で、同じ塩類泉のカテゴリでありながら豊富温泉、天塩温泉、そしてこの初山別温泉とこれほどまでに個性が違うものかと温泉の奥深さを改めて感じた。

この初山別温泉は天塩温泉や豊富温泉に比べると激烈な匂いもない分、かなり入りやすい部類の温泉になると思います。露天風呂の景色も良いし、サウナもジャグジーも水風呂も完備という事で高評価。そもそもホテルの大浴場なんですよね、館内もきれいなのでマニア以外の人にはお勧めのお風呂です。

また、後述しますがここは料理も美味いので宿泊にもお勧めできます。

f:id:sticknumber31:20190724223253j:plain

最後に岩尾温泉ですが、前述の通り此処は厳密には温泉ではなく冷鉱泉なので、泉質に関しては特筆すべき点が無かった。

f:id:sticknumber31:20190724223416j:plain

ただ少し気になったのが、お湯はこの通り透明なんだけども何故か浴槽内が赤茶けて錆びた様な色になってるんですよね・・・。pHが3.5の弱酸性だから?

 

ちなみにここはサウナも水風呂もないので、露天からの景色を楽しむに割り切りましょう。

 

そんなわけで、次はいよいよ最終日に食べた食事の紹介です。

 

美食

f:id:sticknumber31:20190724214506j:plain

豊富温泉を出た後に天塩で食べた寄り道定食です。700円だったかな?

シジミの味噌汁がぐう美味かったが、ちょい高い気も。

f:id:sticknumber31:20190724223725j:plain

続いて道の駅・富士見で食べた刺身定食。

連休最終日という事もあって名産のタコがほぼ売り切れ状態だった中、刺身定食でタコを食うというファインプレー。刺身定食としては普通だった。1100円位。

f:id:sticknumber31:20190724223919j:plain

今回の帰り道で最も当たりだったのが初山別で食べた三食丼。

イクラエゾバフンウニ、ヒラメの漬けが乗ってなんと2300円。

ヒラメには食感を演出するゴマがふられ、しかも添えられたのが普通のワサビではなく山ワサビ。漬けの刺身には青い本わさびよりもこの山ワサビの方が合うような気がするんよね、個人的に。

というわけで、ここの板長はきっと美食を解っている人に違いないと勝手に認定。

既に定食を2つも食った後だったが、ご満悦で完食。素晴らしい!

f:id:sticknumber31:20190724224311j:plain

デザートがいるよなぁ?(威圧)

というわけで、増毛で旬のサクランボを食べた。佐藤錦おいしー。増毛はここ最近の気候変動がジャストマッチしているのか、近年サクランボが非常に美味い。酒蔵もあるし、甘エビだけじゃないところが魅力ですね。

f:id:sticknumber31:20190724224451j:plain

まーそれでも甘エビはやっぱ食べたいわけですよ。しかし連休最終日ともなると何処も甘エビは在庫が尽きてしまっており、連休明けの漁待ちの状態になってるんですな。

そこで、甘海老ダシで作った甘海老ラーメンを食す事に。

なんとこれ、この色で塩ラーメンなんですよ。海老ダシを本格的に味わうにはやはり塩ラーメンで間違いなかった!美味すぎたので既に3度飯を食ってサクランボも食った後だったけど完食。

 

そんなわけで今回は2泊3日で腹が炸裂寸前まで飯を食い、湯あたりするレベルで温泉に入れたので、温泉美食倶楽部としての活動は大成功という事で締めくくっておきます。

 

次はフグと水ダコ食べに行きたいンゴねぇ・・・。

でも稚内は遠すぎるので、しばらくはいいです。(真顔)