52・恵山温泉
温泉
施設外観。泉温がぬるいため、冬は休館となります。
透明なように見えるが、時間と共に鉄分が酸化して赤茶けてくる。
成分分析書
源泉41.5℃。pH2.2。
成分総計5.077g/kgの酸性・含鉄・アルミニウム-硫酸塩泉。
見た目は地味だが、かなり個性の強い湯だ。
強力な酸性も注目点だが、キログラム当たりの鉄分が170mgもある事も注目したい。
概要
恵山とは函館市の東の外れ、渡島半島の右下にある山で、今も活発な火山活動が観察されている活火山だ。数年前にも震度6の火山性地震が起きている事にも注目したい。
このおどろおどろしさよ。しかし山自体は低いので、登山道から山頂までは1時間くらいで踏破できる。今回の温泉は、ちょうどこの足元から湧出しているのだ。
一人で来たんだけどマジで怖かった。
恵山にはこういうガス噴出口があちこちに見受けられる。この山が一目で硫黄を含んだ活火山だとわかる。
歩道を誤ると普通に危険。
この過酷な環境下でも様々な植物が生きている。
山から噴き出すガスが霧や雨となって降り注ぐと、溶岩が固まった岩山の石灰質部分(?)が溶け、このような奇岩が形成されるのだとか。まるで何かで削り取られたかのような岩が異様な雰囲気を醸し出している。
山頂。晴れてれば青森県の大間まで見える事だろう。
下を見ればこの景色。ちなみに、あの下の遊歩道周辺にはヒグマが出る事もあるらしい。
山頂からは北海道駒ケ岳も見えた。
天然の造形にしても素晴らしいよね・・・。
総評
道南函館地域の中でも、異質中の異質。
実は恵山には二ヶ所の温泉があるが、この恵山温泉の湧出部位は上記の写真で見せた火山の真下だ。
恵山温泉旅館はこの山の直ぐ麓にあって、山の中腹に注射の針を指すように真横に温泉を掘削・引湯している。(真下から掘削した温泉は硫黄を含まず、塩化物泉となるのだ。)
いわばこの温泉は恵山という山の血そのものであり、その成分分布を見ると海水の影響を殆ど受けていないと云う事が判る。
少しわかりにくいが、豊富な鉄分が浴室の壁を真っ赤に染めている。
海水の影響が少ないので、陽イオンの構成が
アルミニウム>カルシウム>鉄>ナトリウム
という分布になっている。
(海水は殆どナトリウムとマグネシウムが占める)
舐めるとアルミニウム泉らしく、酸味と共に独特の渋みとエグ味が舌に纏わりついた。
この湯は加水や加温は一切無く、湯温は完全に41℃の湧出温度に依存しているため、浴槽の温度が下がる冬は入れなくなります。
強烈な酸性泉ながら、41℃の源泉は程よくぬるくて実に入りやすい。
サッパリとした浴感があり、湯量も豊富なかけ流しなので、透明度と共に湯の鮮度も高い。あぁ^~最高なんじゃあ^~。
浴後は酸性泉らしく、皮膚に微弱な炎症が起きている事が判る。
酸性が強く皮膚の弱い人は肌が荒れるかもしれないのだが・・・しかしアルミニウムイオンには粘膜修復作用もあるので、もしかしたら逆に良い効果をもたらすかもしれない。
それにしても、液中の主たる陽イオンとしてナトリウムが第4位に来るってのは、なかなか類のない温泉ですよ・・・。
此処は登山とセットで楽しめる温泉なので、是非とも東北や関東圏にお住いの皆さんにも新幹線で気楽に遊びに来てもらいたいですね。
美食
恵山温泉旅館には2度宿泊しているため、旅館メシを紹介。
函館らしくイカ飯も用意してあるねぇ。
しかしここでは右上の煮付け(種類忘れた)が一番美味かった・・・。
もうね、プリップリよ。
この辺りはタラや宗八カレイなどが美味しい。
冬はごっこ汁が絶妙ですよ・・・。