温泉美食倶楽部活動報告書

温泉の成分分析表に興味ある人向け

64・カムイワッカ湯の滝

温泉

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現地に掲げられた看板。有名な場所なので、多くの観光客が訪れていました。

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観光には良い時期だったので、結構見に来ている人も多かった。

カムイワッカ湯の滝は結構長さがあるのですが、足元がかなり滑るので移動はちょっと注意しないといけません。

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硫黄を含んでいるらしく、湯は美しいエメラルドグリーンを呈している。

そこそこ温度もあり、場所によっては入れそうな深さもありましたが・・・人が多すぎて流石に入浴は断念。足湯のみで堪能しました。

 

成分分析書

なし

 

概要

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カムイワッカ湯の滝は知床半島の自然保護区の奥にある温泉で出来た滝で、恐らく日本で最も有名な秘湯だと思われます。

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下り落ちる水全てが硫黄山から湧く自噴の天然温泉。実際に歩いてみると圧巻!

これらが全て自然物とはたまげたなぁ・・・。

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湯の流れる足元はヌメリのある岩でできていて、滑りやすい。

転ぶとマジで滝壺まで転落死の可能性もあるので注意。

 

総評

結論から云うと人が多すぎて全裸ドボンという訳にもいかなかったので、足湯としての入浴感想を述べておきます。

 

湯の温度は水が混ざってぬるいが、温水プールよりは温かい。入浴できないような温度ではなかった。

硫黄を含んだこの温泉は相応の酸性度があるようで、足元にひりひりとした刺激がありました。実際に源泉の酸性度はpH1.6-1.8程度の強酸性であり、その主たる成分は硫黄に由来する硫酸だそうです。

 

雨やら流入する水の量で温度や泉質が変わる為、一概のこの湯の状態が正しいとは言えませんが、この山から海へと流れ込む大量の硫黄分は知床近海の海に多大な恩恵を与えている事は間違いないと思います。

 

海中の豊富な資源は、意外にもこうした山から流れ込む温泉によってもたらされていたりするもんです。南茅部がいい例ですもんね。

 

美食

この時は宿泊しなかったので無し。

泊まるならウトロ温泉かな・・・そのうち宿泊で来たいものです。

63・晩成温泉

温泉

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施設入口。浴場写真は撮影できず。

 

成分分析書

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源泉は12℃。この界隈には地熱が無いのでしゃーなしともいえるが、ここの温泉を紹介する理由としては、他では見られないレア成分が豊富だという点に尽きます。

 

概要

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今回の晩成温泉はここにあります。

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ファッ!?

襟裳岬から程なく東、大樹町にある晩成温泉は他ではちょっと見られないユニークな泉質で温泉マニアの注目を集めています。

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そう、ヨード(ヨウ素)が他の温泉に比べて多く含まれているのです。

 

ヨウ素・・・実はこの成分、浴用に関してはどういう効果が期待できるのかまだ謎が多いのです。

ヨウ素イオンといえば、ポビドンヨードとして遊離ヨウ素イオンによる殺菌、消毒効果・・・飲用ではヨウ化カリウム甲状腺への影響などが考えられますが、モール泉でもあるここの温泉は飲用には向かず、仮に飲用したとしても甲状腺に影響が出る程の量を飲むにはリッター級のがぶ飲みをキメないといけない筈なので、現実的ではありません。

基本的には浴用での利用を前提として、1kg辺り9.3mgのヨウ素イオンがどの程度の効果を持つのかは私にもイマイチ想像がつきませんでした。皮膚から多少の吸収があるにしても、甲状腺機能を左右する程のものではないのではないかと。

 

とにかく珍しい泉質なんだよー!という事ですな。

 

総評

ヨウ素含有量の多さをメインに売り込んでいる晩成温泉ですが、実はアンモニアイオンもかなり豊富です。どうやらモール泉には比較的アンモニアが含まれることが多いようなのですが、此処も見た目には真っ黒なモール泉でした。

 

ちなみに他のヨウ素泉では新潟県の西方の湯が有名だが、こちらもアンモニアイオンが豊富なモール泉。ヨウ素泉は千葉県・房総半島にもよく見受けられ、やはりそのどれもがモール泉です。

 

此処は恐らく北海道内でも天塩温泉に続いて2番目にアンモニアが多い温泉かと思われます。浴場にはツンと鼻を突くようなアンモニア臭が立ち込め、思わずしかめっ面になってしまう程でした。アンモニア臭と云うのはとどのつまり便所の匂いに近い臭気があるので、苦手な人も多いかもしれません。

しかしフォローとして述べておくのは、この湯から香るのは決して便所の様な腐敗した匂いではないと云う事です。あくまで保健室にあるアンモニア水のような化学的な臭気です。

 

基本的には成分総計で10g/kgを超える高張性ナトリウム塩化物泉。

浴後は塩化物泉特有の心地よいほてりが身体を満たす事でしょう。

 

ちなみに、晩成温泉としてはヨード泉としての個性を売り込んでますが、他にもブロム(臭素)も豊富な温泉です。

 

この臭素も温泉の成分としては謎が多い。

臭素ブロムワレリル尿素など、睡眠薬とか鎮静剤に使われてるイメージなんですが・・・もしかして入浴で鎮静効果が得られる?・・・まさかね。

 

浴場自体は普通に近代的な設備なので、ヨード、ブロム、アンモニア・・・謎の多いレア成分満載の温泉を体験してみたい人は、是非この晩成温泉に来てみるとよいでしょう。

 

美食

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大樹町に行くなら襟裳岬に行きなさい。えりも町は温泉が無いので非常に残念なのですが、ウニありカニありで美食するなら最高の場所なのですよ。

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煮込んだつぶ貝も最高に旨いです。

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常々美味いカニランキングの上位に入る毛ガニ先輩。襟裳産は評価も高いです。

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襟裳岬のドライブインではエゾバフンウニ食べれます。あぁ^~最高なんじゃあ^~。

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浦河、様似界隈のドライブインでも運が良ければエゾバフンウニが食べれます。当然、天然モノです。ちなみにこの定食は1100円でした。やっすっ!

62・愛山渓温泉

温泉

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施設外観。冬場は雪に閉ざされ、閉館となる。

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館内はこんな感じ。簡易宿泊施設って雰囲気。主に登山客向け。

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贅沢に湯が注ぎ込まれている給湯管。湯はうっすらと白く濁っているのが分かる。

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源泉は44℃。加水は無く、入るのに最適な温度なのである。

 

成分分析書

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微妙に硫化水素の存在もあるようだが、此処は硫黄で白濁しているわけではない。

重曹とカルシウムがあるので石灰水の色?かとも思ったが、そこまでカルシウムイオン自体が豊富という訳でもないような・・・。或いは何らかの有機物かもしれない。

トムラウシ温泉と同じく自噴である事もそうだが、さらに源泉温度が入浴に最適な温度である事にも注目してもらいたい。これらが揃う温泉はなかなか無いのよ。

 

概要

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今回紹介する愛山渓温泉は、前回紹介のトムラウシ温泉とは大雪山を挟んで真裏にある秘湯です。

此処は学生時代にも一度来ようとした事があったのだが、5月のGW期間中でも閉鎖中だった為に断念した経緯があります。

 

元々熊討ちの猟師が見つけた温泉だそうで、旭川から国道39号を層雲峡へと向かう途中で安足間(アンタロマ)川沿いに鬱蒼とした樹海へと車を進めるとこの温泉に辿り着けます。

国道からも結構距離があるので、ガソリン残量には注意すること。

また道中はキタキツネほか様々な動物が高確率で出現するので、運転も油断しない事。

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安足間川と道道223号。舗装はされているが、途中から荒れた道になる。

 

総評

一言で云うと泉質面では道内でも最上位に入る素晴らしい温泉。

豊富な雪解け水を抱える大雪山系の温泉はあちこちで自噴の湯が出ているが、トムラウシ温泉は高温すぎる為に加水などの調整が必要となる一方で、此処は入浴に最も適した44℃での自然湧出となります。

前述の通りこの条件を満たす温泉は滅多になく、ここで紹介した温泉では

sticknumber31.hatenablog.com

この標茶温泉などが該当します。

 

源泉が加水も加温もなくそのまま放流されているという点において、湯の鮮度が抜群に良いのがこの温泉の一番の特徴であると云えるでしょう。

 

成分的には温まりの良い硫酸塩泉であるが、陰イオンとしては炭酸水素イオンの割合が多く、そこそこ炭酸ガスも含んでいるので非常に血管拡張作用の強い温泉でした。

筋肉をほぐす効果のある重曹・炭酸系の温泉は足を酷使する登山客にうってつけの温泉と云えるでしょう。

 

自噴とはいえ、源泉は浴槽に入るまでに配管を伝う過程で多少は温度が下がるものであるが、ここは湯量が豊富なため、殆ど温度低下はないように感じました。

 

ガツンとキマる熱さ。

 

風呂上りに山の冷水でさっと身体を締めれば、気分はもう最高ですよ。

あぁ^~たまらねぇぜ。

 

美食

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愛山系の山荘でも軽食はやってたんですが、この日は層雲峡で食べました。

ざる蕎麦と豚丼のセット。蕎麦は流石に道北地域だけあって美味い。

蕎麦道を突き詰めるなら幌加内とか士別辺りで食うと外れないですよ。

 

61・トムラウシ温泉

温泉

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満を持して登場。北海道内で特に行きづらい場所にある名湯。

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浴場全体の様子。ホテルは1軒、東大雪荘のみで、何と冬でも営業しているらしい・・・。

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内湯・高温浴槽。透明度の高い、美しい湯だ。

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露天風呂。その道のりは非常に険しいが、設備がキレイなので初心者にも入りに来やすい。

 

成分分析書

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湯の色からも判るが、成分自体は濃い湯ではない。

塩化物・炭酸水素塩泉であるが、ここは海から遠く離れた山奥の秘湯だと云う事を考慮してもらうとよいだろう。水の美しさを堪能すべき温泉。

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浴槽の広さが結構あるので、加水はやむなし。

だが、極力源泉を優先して使ってくれているようだ。

 

概要

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トムラウシ温泉がどれだけ行きづらい場所かと云うのはこの画像を見てもらえるとわかると思います。辛うじて舗装されているとはいえ、山道に入ってから片道50km位あるからね・・・。ガソリン残量には充分注意しましょう。

地形からも判る通り大雪山系の南側、山々に包み込まれたかのような場所にあるトムラウシ温泉は海から遠く離れた火山性温泉です。

熱源は火山性地熱だが、水源は大雪山に降り注いだ雪が地下深くに染みた霊水です。

磨かれた水は透明度の高い温泉となって湧き出し、大地に磨かれた良い香りがします。

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ホテルのすぐ前にある源泉地。湯気を濛々と吐き、確かに高温源泉である事をうかがわせる。なんせ91.2℃ですからね・・・。

しかしこんな山奥によく見つけたものだ。

 

総評

やはり大雪山周辺の温泉は一味違う。個性も様々だが、ここの湯は硫黄分は殆ど含まれていない。カテゴリ上は塩化物泉にあたる温泉だが、入った感じは単純泉を感じさせる肌触り。透明度の高い湯は見た目にも非常に美しく、高温であるが故に匂いも殆ど有機物を感じさせない爽やかな鮮度がある。

 

この東大雪荘は館内も結構立派なホテルで、浴場の清潔さも申し分なく初心者でも充分堪能できる設備なのはありがたい。

温度管理の都合上やはり露天風呂の方が源泉割合が高いのではないかと思うが、内湯は高温浴槽と低温浴槽の二つに分かれており、高温浴槽の方は結構ガツンと来る温度がありました。より源泉を感じたいならやはり露天と高温浴槽に入るべきであろう。

 

前述の通り、国道から逸れて山道を延々50km位走らないと辿り着けないという秘湯中の秘湯ですので、「ついで」で寄る事の出来ない温泉です。

 

しかし・・・それでも尚、行く価値のある温泉ですよ。

間違いない。

 

美食

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全然トムラウシと関係ないんだけど、実はこの温泉は知床から帰る際にフラリと立ち寄った日帰り入浴だったので、往復100kmの山道を走りそのあと南富良野から札幌に戻りました。そらもう札幌到着したら深夜よ。

写真は南富良野の道の駅で食べたプリンと牛乳とポテチ。

トウモロコシのプリンも美味かったけど、フロマージュプリンがくっそ美味かった。

牛乳は・・・やっぱ道南だな!

60・大鰐温泉 霊湯大湯

温泉

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施設外観。マニアが唸る風格の建物だが、残念ながら老築化の為に建て直しされる事になりました。このお風呂自体はもう入る事は出来ません。

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浴槽はこれのみ。ジャグジーになっている。

源泉温度がクソ高いため、加水での提供のようだ。

 

成分分析書

 

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ちょい加工。よく見ると混合泉ですね、あぁそれで・・・(察し)

 

概要

大鰐温泉と云えば南津軽にある昔ながらの温泉場で、最近では温泉もやしで有名になったところでもあります。

今回入った霊湯大湯なんですが、簡単に結論を言えば

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つまりはこういう事で、現在ではこのお風呂にはもう入れなくなってしまっています。

公共浴場としては道の駅の方に施設の新しいものがあるので、そちらを利用されたしと云う事なのでしょう。

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道の駅はJR大鰐温泉駅のすぐ近くにあって、鉄オタもご満悦の弘南鉄道大鰐駅もある。

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猿の干支で有名らしいのですが、温泉街を歩けば大円寺というお寺がありました。

赤い色がこう・・・ご立派ぁ!

 

総評

温泉としての評価で云えば細かな点かもしれませんが、建物の風格こそ素晴らしいものの、混合泉である上に加水で適温に調整してあったので、お湯の鮮度がさほど良くない。塩化物泉ではあるが、入った感じではほぼ単純泉の様な印象を受けました。

 

設備が古かったので致し方ないのだろうが、霊湯を名乗るならその辺はもうちょっと荘厳さのある加水無しの放流式にするとか、拘ってほしいかなーとは思った。改築後に期待したい。

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高温の為か、余ったお湯は融雪用に放流されていた。触ると火傷する程熱い。

しかしこの湯をそのまま捨ててしまうのはもったいないなー。

 

気になったのは、混合泉にしてあると云う事はやはりここも湯枯れに苦しんでいる温泉地なのでしょうか?その割には派手に捨ててたからなぁ・・・。

 

温泉はメンテや権利的な問題もあるので、公共湯として残せるものは地域としてより良いものを残してもらいなーと思います。伊東や伊豆長岡では混合泉でも非常に良い湯を公共湯で提供できていたので、ここもきっとできると思いますよ。

 

美食

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大鰐温泉と云えば温泉もやし。温泉の湯を使って育てたもやしで、N○Kの朝の番組かなんかで紹介されて全国的に有名になりましたね。

ミネラルの豊富な温泉で育ったもやしはシャキシャキとした歯ごたえがあって旨い!!

これは道の駅でも食べれますが、お腹が空いてる人は食堂でもやしラーメン食べましょう。

 

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青森に行く時のもう一つの楽しみ・・・新幹線と云えばやっぱこれでしょう。

青森県の特産品が一挙に詰まった駅弁はお得感もあってナイスでーす!

59・上の湯温泉(パシフィック清龍園の源泉)

温泉

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施設外観。この日の気温は春もうららかなマイナス6℃。

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内湯の源泉口。高温浴槽の温度は足の指先も痺れる約46℃。

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浴室はこんな感じ。入浴料は400円だがアメニティは石鹸くらいしかない。

設備としては古い。

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露天風呂。後述するが、源泉掛け流しであるにもかかわらず温度管理が非常に難しいらしい。考察を交えて解説する。

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これは夜の露天風呂。岩風呂の縁には針状の硫酸ナトリウム(?)の針状結晶が大量に付着しており、これが鉄分で赤茶色に染まっている。

 

成分分析書

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源泉温度に注目。なんと驚愕の98℃。

熱川温泉並の温度だなぁ・・・。

しかし成分は7.2g/kgとギリギリ低張泉って位には濃い。

当然ではあるが石膏が多すぎて飲用には適さない。

 

概要

上の湯温泉とは以前紹介した銀婚湯と同じ湯脈の温泉でございます。源泉は別。

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清流園から5分も歩けば銀婚湯温泉がある。こちらは由緒ある高級老舗旅館なので、熟年富裕層夫婦向け。

 

八雲の南端、落部のチョイと先にあるこの上の湯温泉は道南でも屈指の高温泉が湧く秘湯エリアでございます。山一つ挟んで南には濁川温泉があり、このパシフィック清龍園と濁川のふれあい温泉館は経営母体が同じなのだそうな。

その為か、やはりここも源泉かけ流しに相応のこだわりを持っている事が窺い知れる。

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源泉98℃もあるのに加水も循環も無しだと・・・?

 

ワイくらいの温泉マニアになると、この努力がどれくらい大変なものかよーくわかります。そのこだわり故か、この施設では露天風呂の温度管理に相応の苦労を強いられているようです。

 

その理由がまず泉質。濁川は油の混じった独特の香りの湯が特徴だが、ここ上の湯は正統派の塩類・石膏泉。相当に塩分が濃く、しかも硫酸イオンが豊富で、掛け流しにすると大量の結晶が析出してしまうのである。その為あっという間に配管パイプは結晶で閉塞し、恐らく年に数回は配管を交換せねばならない筈なのだが、この地域は道南でもかなり雪が降るので、どうやら冬季は配管の交換が困難になっているようなのです。(配管ごと雪に埋もれてしまうため)

 

湯の細くなった露天風呂は温水プールくらいの温度に低下し、とてもじゃないが長湯できる代物ではなかった。

 

とはいえ、人手も設備も乏しい中でよくぞここまで掛け流しに拘った風呂づくりをやったのは素晴らしい。個人的には応援したい温泉です。

 

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周辺はこんな風景の秘湯。清龍園はマニア向きだと思います。

初心者には銀婚湯がお勧め。

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源泉の周辺にある設備もかなり手作り感がある。この日も雪かきに追われているようでしたが、源泉温度が高いだけに扱いが難しい模様。よくぞこんな山奥で此処までのモノを・・・。

 

ちなみに、かつてこの地に住んでいたという地元の料理人に話を聞いたところ、この上の湯に至る途中には「下の湯」という地名もあって、やはり此処と同じ超高温の温泉が出ていたそうです。

今でも源泉があるのかどうかは不明だが、結局濃い源泉を通す配管が度々詰まってダメになる為、設備を維持するためのお金が捻出できなくなったのだとか。

 

総評

純粋に温泉としての評価をすると、ここはモノ凄いですよ。

 

露天風呂はとても長湯できるほどの温度ではないものの、辛うじて温水プール程度の温度はキープされていたので、まず内湯で目一杯身体を温めてから入る事にしました。

 

内湯は足先が痺れる程熱い!そして極寒の露天風呂へGO!

 

クッソぬるい湯に漬かってお湯を調査。

そこそこの広さがあるここの露天風呂に濃い源泉が掛け流され続けた結果、岩風呂の縁には湯温の低下による溶解度の低下も相まって大量の硫酸ナトリウム?らしき塩類の結晶が生じていました。

尻の下にザラザラと砂のような感触があり、私は直ぐにこれらが全てこの温泉の湯の花なのだという事に気付きました。

 

これって・・・露天風呂の溶存成分濃度が実際の成分分析書のスペックよりも比較にならない位に濃くなってない?

 

普通、成分分析書の値は湧出部位での濃度を記載してある物ですから、広い面積で長い時間外気に晒され続けたこの露天風呂は、水蒸気で散った水分と上澄み湯が流れて減り、実際にはもっともっと濃い濃度になっている筈です。

 

その効果が実感できたのは風呂上りで、即寝落ちしそうなくらいにドッと疲れが押し寄せてきました。実際、ここの温泉の湯上りの脱力感は有馬温泉並なんじゃないかと思う程の威力があった。

 

思うに、この温泉の恐ろしい所は露天風呂が異様に塩分が濃くなっているくせに適度にぬるいと云う点に尽きます。何故なら、この露天風呂では誰もが一度浸かると首まで深く浸して外気の寒さから身を守ろうとするわけです。寒くて出られなくなるため、気付けば結構な長風呂になっているんですね。しかも熱々の内湯と交互に入るから自然と温冷交代浴をしていた。露天にはサウナもあったから、サウナとぬるい湯を交互に堪能している人も同様の効果を得ている事だろう。

 

夏場はきっと露天風呂も熱々になっている事だと思いますが、真冬ならではクッソぬるい露天風呂もそれはそれで面白い体験でしたね。

 

美食

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ここに来る前は数日コンビニ飯ばかりだったから、たまにはいいね旅館メシ。

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この八雲ポークの鍋がめっちゃ美味かった。

ビールと飯が進む進む。

 

浴後の疲労感からしても、宿泊で来て正解でしたね。

 

温泉レベル的にはかなり上級者向けの施設だと思いますが、一泊料金は割と良心的なので一人旅兄貴には良いんじゃないですかね。上の湯温泉自体がドエライ辺鄙な所にあるので、ピンポイントで狙って来ないとまず来る事はないと思いますが・・・総合的に宿泊場所として高い設備を求めるのであれば、強く銀婚湯温泉に泊まる事をお勧めします。

 

でも、此処は此処で面白いよ~。

58・水無浜海浜温泉(恵山岬温泉)

温泉

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施設外観。日帰り入浴はホテル恵風(ケープ)で入れます。

お値段400円ほど。函館市内から約50km弱程あり、ちょっと時間かかります。

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源泉は二つあり、この塩化物泉の浴槽のみが加水無し・放流式の純・掛け流し温泉となっています。結晶も美しいですが、色が透明度高くていいですね。

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こちらは重曹泉。少し濁りがあります。成分的にはこっちの方が薄いのですが、カルシウムの結晶化が著しいですね。基本的には追加の湯は掛け流してるそうすが、お湯張り時のみ加水、そして循環方式です。

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両源泉を見比べるとこんな感じ。やはり塩化物泉の透明度が際立つ。

 

成分分析書

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こちらが透明な方の源泉。塩が濃く、ガッツリと温まる泉質です。

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こちらが重曹泉のほう。成分自体はそれほどの濃さではないですが、硫酸イオンが多いので、噴出口や浴槽の縁に形成されているのは硫酸カルシウムの結晶ですかね。

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露天風呂と小浴槽にそれぞれ違う源泉の掛け流しを用意している辺りが施設の湯へのこだわりを感じます。

 

概要

今回は女子高生バイクアニメ「ばくおん!!」の第4話の元ネタとなった水無浜海浜温泉を紹介します。

 

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ばくおん!!は大体こんな感じでモジャりっ毛の強い漫画。

 

夏休みを利用して北海道ツーリングをしに青森からのフェリーで函館に到着した佐倉羽音・天野恩紗・鈴之木凛・三ノ輪聖(&早川)の一行。その日に泊まった旅館の風呂は故障しており、金持ち女子高生・三ノ輪聖の提案で翌朝海の見える温泉にいこう!という流れになったわけですが、苫小牧に待つ来夢先輩を忘れて・・・。

 

劇中では聖ちゃんが「函館には海の見える温泉がありますのよー!」などと軽く言ってますが、位置的には以前紹介した恵山温泉の丁度真裏にあり、市内から此処まで50km位あります。

 

かつてSV400(無印)というバイクでこの函館に訪れた自分も、この水無浜海浜温泉の噂を聞きつけてフェリーの待ち時間の間に入りに来ようとした事はあったのですが、走っても走っても到達する気配がなく、フェリーに乗り遅れてしまう危険性が高い事から途中で断念した経験があります。

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さて、これがその水無浜海浜温泉。

道は此処で途切れており、恵山は外周する事が出来ません。

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作中ではこういう描写ですね。夏は海水浴で賑わい、ちゃんと脱衣所あります。

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来夢先輩が現れた岩場もちゃんとあるんですねぇ。あんな所にバイクで行けるか!!

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以前来た時は水か汚くて入る気が起きなかったんですが、この日は割と透明度もあり、結構状態が良かったですね・・・。色もそうですが、恐らく恵風の塩化物泉と似た泉質かと思われます。温度は海水で薄まって結構ぬるかったです。干潮だったせいか湯量も少なく、やっぱ夏じゃないときついね。

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こっちは聖ちゃんの執事・早川さんが入っていた方の浴槽。適温でしたが、やはり浅かったですね。野天風呂好きなら入れると思います。

 

ちなみに自分はSV400(無印)に始まり

→隼

BMW・F650CS

→SV650S

スカイウェブ250

と乗り継いでいるので、ばくおん!!の中で誰推しなのかは・・・解るな?

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総評

作中ではみんなサッパリ汗流してますが、実際にこんな海の湯に入ったら身体ベッタベタの髪の毛バッサバサになりまっせ!!

入浴するならホテル恵風をお勧めします。400円だし、安いよ。

 

前述の通りホテル恵風の風呂は二つの源泉を上手く使ったホテルでありまして、両方の掛け流しが堪能できる設備を持っています。

洗い場もきれいだし、露天風呂も開放感があって素晴らしいです。

 

源泉の温度自体は重曹泉の方が高く、こちらは外気に冷やされる露天風呂に掛け流しとして使用されています。重曹泉の方は成分自体はそう濃くはないのですが、色に濁りがあって独特の香りがあります。

対照的に内湯の塩化物泉は透明度が高く匂いはあまりありませんが、塩分濃度は生理食塩水よりも濃い高張泉となるので、風呂上がりの温熱効果が非常に高い湯となっています。

 

水風呂を挟んで交互に入り、〆に内湯の塩化物泉を使うのがベストな入り方でしょう。

 

しかし強塩化物泉特有の疲労感で風呂上りは何もやる気が起きなくなるので、ライダーの皆さんは無理せず堪能してくださいね。

 

美食

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ランチタイムからはずれていたので、飯は食べられず・・・。

セットメニューがあるのはありがたいですね。周辺には飲食店もないので、入浴狙いで此処に来たなら、食べるならここで食べちゃうのがベストでしょう。

もしくは、道の駅なとわ恵山まで出て食べるのもありかもしれません。