17・標茶温泉
温泉
モール質で泡立つ浴槽。特徴的なライオンの口から、茶色い湯がかけ流しされている。
成分分析書
注目してもらいたいのは、自噴という二文字。
概要
北海道内でも寒い土地ランキングの上位に食い込む道東の標茶町であるが、ぶっちゃけ車で走ると、農地以外は何もない町のように見えてしまう。
摩周湖、屈斜路湖、そして川湯温泉を抱える弟子屈町に比べるとあまり観光客も来ないし、釧路からの通過点としてみる人も多いのではないだろうか。
それ故に、国道沿いには潰れた温泉施設もちらほらと見受けられる。
シロンドー温泉、五十石温泉など、なんとも寂しい風景が印象に深い。
このように、観光地するにしては些か派手さに欠けるこの標茶町なのであるが・・・実は、一ヶ所現存している温泉施設がありました。
上の写真は味幸園という、現在は日帰り温泉のみの営業をしている施設である。
(昔は旅館だったらしい)
そして、この味幸園・・・温泉を探し求めて道東をうろついた結果、道東一の温泉はこの標茶温泉である事が私の中で決定しました。
総評
この標茶温泉・味幸園を高く評価するにあたって、いくつかのポイントを上げておきたいと思います。
1.源泉温度45℃。
→浴槽で丁度43~44℃収まるため、加水加温の必要が無い。生の源泉がそのまま注がれています。初心者には少々熱いかもしれませんが、慣れれば癖になる温度。ガツンと決まる熱さです。
2.自噴
→まさか自噴だとは思わなかったなぁ・・・。最近できた国内温泉の殆どは、ボーリング技術の発達により、掘削で地下から掘り当てたものです。自噴源泉の貴重さは言うまでもないでしょう。
3.pH9.2のモール泉
→モール泉ゆえに茶色く泡が立ち、独特の土の匂いがします。そしてアルカリ性が強く、モール泉であるが故に、そのツルツル感は半端なく強い。浴槽内では足元が滑って転びそうになるほどです。ちなみにカランからも温泉が出ます。
4.湯の鮮度が高い
→実はここが最も大事な要素です。敷地内に源泉があり、しかも自噴。湧出時の温度が適温であるため、湯を冷ますためにプールする必要もない。
・・・要するに、ここの温泉は、他の温泉では再現が難しいような湯の鮮度が、さも当たり前のように再現されているのです。道東でも色々な温泉に入りましたが、ここの湯の活きは最高です。
もちろん、60kmほど北にある川湯温泉の湯も強力な酸性泉で非常に珍しいし、弟子屈や阿寒にも素晴らしい湯は沢山あると思うのですが・・・。
阿寒や川湯などの観光地は旅館組合などによる源泉の集合管理となり、そして他の温泉地でも源泉温度が高すぎるが故に少量放流しかできなかったり、逆に源泉温度が低すぎるが故に一旦沸かして放流したり、源泉が細くて循環式にせざるを得ないという温泉など、様々な事情で源泉をそのままドバドバぶん流せる温泉というのは、実はあまり多くないのです。
この標茶温泉・味幸園の最大の魅力は、この「湧きだした直後の湯がドバドバ注がれる風呂」に入れる事に尽きます。しかも、結構なアルカリ性で、浴槽に浸かれば尻もツルっと滑るほどのとろみがあります。泉質自体も申し分ない。
もしも標茶に来る機会があるのであれば、是非この温泉は入っておくべきだと思います。というか、お婆ちゃんが一人で番台をやってるこの貴重な温泉施設が、なくなってしまわない事を切に願っております。
美食
標茶の話でなくて申し訳ないんですが、色々とドライブインも潰れちゃってますからね・・・。今回は弟子屈町の有名ラーメン店「弟子屈ラーメン総本店」を紹介しておきます。標茶から車で40kmくらい離れてるんですが、ここは各地からラーメンを食べにくるリピーターの多い有名店となっています。
新千歳空港にも出店しているので、実は食べた事ある人も多いんじゃないかと思うんですがね・・・。気温の低い道東で食うこのラーメンは、空港で食うラーメンとはまた違った趣がありますね。
恐らく、お盆以降に道東を走るライダー達にとっては、暖を取るための最高のスポットなのではないでしょうか。