39・白馬八方温泉
温泉
施設外観。
古い記録の為、浴場などの写真は残っておらず、この写真のみ。
夜間だったし記憶もあいまいですが、温泉街の中心にあったような気がします。
成分分析書
残念ながら撮影しておらず。
詳細はググってみてください。
概要
国内で最も酸性度の強い温泉は秋田の玉川温泉(源泉としては群馬県・草津の香草温泉)らしいですが、アルカリ性の最高峰は実は埼玉県の都幾川温泉と並んで、この白馬八方温泉になります。
そのpHは実に11.3前後に及び、還元性の高い湯として近年再評価が高まっている温泉であります。本当は埼玉に住んでいる時に都幾川温泉も行きたかったのですが、あそこ1日4組限定の食事つきプランしか用意していないため、独り者の私は入る事が出来ませんでした。
さて、白馬と云えば長野オリンピックでスキー競技の会場となった場所で有名ですが、あんまりスキーに興味のない私はあるペンションを狙ってこの時の旅に臨んだのです。
こんや12じ だれかが しぬ
みどりさん・・・
階段を降りるとそこには・・・。
そう、ここはサウンドノベルの金字塔「かまいたちの夜」の舞台となった、ペンションクヌルプです。
思い入れのあるゲームでしたので、テンションが上がる上がる。
過去のファンが残して行ったかと思われる落書き。
ペンションに迷惑だからトイレの壁に落書きをしてはいけませんよ。
おうネタバレやめろや!
まぁそんなわけで、往年の名作ゲームの思い出を巡ってついでに温泉も楽しむにはいい旅程なんですよね、白馬八方温泉。
また、この時は季節が良い時期でしたので・・・
黒部ダムも見に行ってきました。紅葉のシーズンだったので、凄い人でごった返してました。
絶景なり絶景なり
時間の都合で室堂にあるこのみくりが池高原温泉には入れず。
ここは日本最高地点にある温泉なので、いずれ入りに来たい・・・。
まぁここの美しさは実際に来ないと伝わらないので、詳細は割愛します。
次に来るときは宇奈月温泉まで抜けてみたいね。
総評
大分脱線しましたが、白馬八方温泉は世界的にも珍しい高アルカリの温泉です。
理論上、アルカリが強い温泉と云うのは皮膚がヌルヌルと溶けていくはずなんですが、実は割とそんな事は無かったのが印象的でした。
臭いは硫黄とも土の臭いとも違う、独特の香りがしました。例えるなら、水酸化ナトリウムの試薬瓶・・・。アレなんて例えたらいいんでしょうかね。
確かにヌルヌルはしているのですが、もっと中性よりの温泉でローションみたいな温泉(この時点では山梨の奈良田温泉)を知っていたため、あれ?っと拍子抜けた気がしたのを覚えています。
その後の経験で分かった事ですが、ヌルヌル感はpHとはまた別の要因で高まっているようです。詳しい事は新潟の咲花温泉の所で書いた内容を読んでもらえると良いかもしれません。
美食
(写真が)ないです・・・。
ペンションクヌルプの晩御飯はかまいたちの夜みたいに、ちょっとしたホテルのコース料理然として美味しかったですよ。
また、作中に登場する謎のケーキ「ミシシッピーマッドケーキ」ってのも本当にあるので、みんなもペンションクヌルプに泊まって、かまいたちの夜ごっこ、しよう?
38・伊豆山温泉 走り湯
伊豆の海原雄山を名乗る割に北海道の温泉ばかりなので、今回は伊豆の温泉を紹介します。当時はあまり成分分析書を撮ってなかったからなー。
温泉
源泉が湧く洞窟。中は蒸し風呂の様に熱い。
洞窟の奥で沸いている温泉が水路を通ってホテルに引き湯されています。
意外に知らない人も多いんじゃない?
走り湯は1300年もの歴史を持つ日本三大古泉です。
この貴重な湯は熱海ビーチライン沿いにある「うみのホテル中田屋」さんで入れます。
成分分析書
成分総計12500mg/kgと、結構濃いです。
塩化ナトリウムがメインかと思いきや、陽イオンはカルシウムが豊富な所がポイントですね。
概要
施設外観。
一般人には「熱海」のイメージで知られている温泉かもしれませんが、熱海のすぐ手前にある伊豆山温泉は歴史上熱海よりもずっと古い温泉になります。
前述の通りこの走り湯は日本でもトップクラスに古い温泉で、1300年もの歴史があります。そのため、陰陽師の役小角が見つけただの、源頼朝も入ったとか、いくらか尾ひれもついてはいるのでしょうが、歴史上の多くの著名人に愛されてきた温泉であります。過去には多くの旅人の疲れを癒してきたのでしょうなぁ。
そのため、貴重な資料もボチボチ残っているようで、中田屋さんの裏には走り湯資料館が無料で開放されているので、見に行った方は走り湯神社と併せて拝観・見学してくるとよいでしょう。
昔の走り湯の様子。手前からドバドバ海に流されているのが走り湯温泉だそうです。
当時は今みたいに整備された道路もなく、東伊豆の海岸沿いはこのような危険な道が続いていたようです。そのため、下田に向かう時にはもっぱら船を使うか、歩く場合は修善寺・中伊豆から天城を越えるルートが一般的だった。
藤枝梅安も入りに来てそうは旅籠ですねぇ。中田屋さんは200年以上の歴史があるそうです。手前で頭からドバドバお湯被ってる人が印象的な一枚です。
総評
北海道に移住してから判った事ですが、伊豆界隈の温泉の多くは炭酸水素イオンが含まれていません。この走り湯も海の温泉らしく、塩分質が殆どを占めています。
(カルシウム・ナトリウム/塩化物泉)
これは伊豆という地の成り立ちが、地球規模で見ると比較的歴史の浅い、海底火山の噴火によってできた溶岩大地であるという事からも窺い知れます。要するに、伊豆は大昔に肥沃な森林地帯が無かったよ!という事実を温泉が証明しているようなものなのです。一方で北海道の温泉は大体どこもカーボン(炭酸水素や炭酸イオン)を含むので、そこには大昔に森林があったんやなーというのが推測できるのであります。
さて、脱線しましたがお湯の質に関する評価ですが、塩分の強いこの湯は強力な保温効果をもって、旅人の疲れを癒してきた筈です。湯の重さも生理食塩水以上の高張泉であり、大抵の旅人は数日の滞在を経て次の宿場へと向かって行ったんじゃないでしょうか。なんせ日帰りするには若干強い湯ですからね。普段お湯慣れしていない人は湯疲れしてしまうでしょう。
なので、興味を持った方は是非一泊で堪能して頂きたいですね。
美食
まぁ熱海に限った事じゃありませんが、伊豆に来たらやっぱりこいつは食べたいですよね。
これは熱海ではないんですが、西伊豆などに行けばこのような豪遊をしても1泊で18000円くらいで収まります。
あと写真悪いですけど、サザエは外せませんねぇ。
伊豆山温泉だと宿泊なので旅館飯になりますが、このように夜の熱海に繰り出して美味しい店を探すのもなかなか楽しいと思いますよ?
37・仏生山温泉
まさかのうどん県2回目。
温泉
施設外観。浴場は人が多く撮影不可。
成分分析書
概ね冷泉が湧く四国だが、源泉32℃と比較的温度は高い。
また、放射能も含んでいるようだ。
炭酸水素イオンの濃度に注目して頂きたい。
概要
飛行機が高松空港に接近した時にまず目を引いたのが、その溜め池の多さです。
四国の中でも香川県の水不足は昔から深刻だったそうで、上空から見た香川県は、そこかしこに溜め池が散見されました。そのくせ現代に於ける絶対的うどん王国なんだから、水不足なんだか水使い過ぎなんだかよくわかんねぇな。
そんな香川県も近年のボーリング技術であちこちに温泉が掘り当てられているようで、今回は2年前の四国旅行ではスルーしてしまった仏生山温泉にいよいよ入湯♂。
仏生山温泉は高松市内の住宅街にポツンと存在する小奇麗な日帰り入浴施設で、比較的最近整備された温泉なのだという事が窺い知れる。いや詳しいルーツまでは知らんけど、自然湧出ではこの泉質は恐らく出ないと思われます。
前述の通り、香川県民は浸かる水があるならまずうどんを茹でる習性があり、あまり温泉文化があるように思えない香川県ですが・・・この仏生山温泉は泉質が良いためか、そこそこ地元の人からも利用されているようです。
やはり日本人、温泉の少ない県でもやはり足を延ばして入れるお風呂は皆さん大好きなんですね。
さて、友人の案内で屋島にもいってきたのですが、もしもこの地にも熱い温泉が湧いていれば、源平の戦いの構図も変わったものになっていたかもしれません。ケガの回復にはうってつけですから。
屋島寺。友人二人も参拝中。しかし古い寺だこと・・・。
関西から西側は本当に古代日本の気配を感じる史跡が多い。
ロマンがあるねぇ。
総評
成分分析書の所でも書きましたが、特筆すべきは1kg辺り5000mgを超える炭酸水素イオンの濃さです。
この濃度は1L辺りの水に5g以上の重曹が溶けている計算で、塩素で処理されているにもかかわらず相当なヌルヌル感が肌にありました。pH自体は7.5とド中性なのですが、まるで角質が溶けたかのようなヌルリッぷり。
浴後には同行した友人の顔がテッカテカになっていたので、皮膚の軟化作用と角質を溶かす作用があるようです。まさに美人の湯。
四国は土地が狭いためか、ここも規模としては中・小規模の浴場でした。
洗い場の数が少ないなど、あまり大きなキャパが無いのがネックですが、その中でも内湯のほかも露天に3種類の浴槽が用意されていて、飽きないような工夫が施されていました。
特に評価したいのは、露天エリアにある恐らく源泉をそのまま使ったと思しき超ぬる浴槽です。冬空でしたのでぬるいというかむしろ寒いくらいだったのですが、加温浴槽で温まった身体をクールダウンするのには絶妙に気持ちのいい湯で、この浴槽は地元民の間でも争奪戦になっている気配すらありました。
みろく温泉の湯はあまり特徴が無かったのでそこまで期待してなかったのですが、四国の湯もなかなか侮れないと感じた技ありの温泉でした。
うどん県もうどんだけじゃなかったんですね・・・。
美食
今回は山田屋でうどんを食べました。県内では高級店に類されるうどん屋。
色々食べましたが、ここが一番美味かった。
また、超人気店やまごえうどんも食べに行きました。朝からこの行列。
釜玉と月見を食べるつもりだったのだが、注文間違えて「釜玉大2・月見大2」と注文してしまい、8玉食う羽目に。6玉で限界がきて、2玉は友人にヘルプしてもらった。
やまごえも美味いは美味いんだけど、クオリティはやはり山田屋の方が上でした。
しかしこの価格が現すように、ここは味よりもコスパが良いうどん屋なのです。
香川の有名店・一鶴の骨付鳥「おやどり」
美味かったけど、肉が異様に硬いので初心者は柔らかい「ひなどり」にすべきでしたね。タレがめっちゃ美味いので、おにぎりを浸して食うと最高です。
今回は香川がうどんだけじゃないという所もアピールしましたが、まぁ基本うどんでしたね。
実は今回の旅ではもう一つ温泉に立ち寄っているのですが、またそれは別の機会にでも。
36・瀬石温泉(知床)
温泉
恐らく現状で入れる温泉としては日本最東端の温泉ではないかと。
海から直湧きの温泉。
確かに、どっかで見た事あるような・・・。
ポコポコいうとるで、ほっほっほ。
成分分析書
なし
概要
日本最後の秘境であり、神の住まう地「知床」・・・。
そんな知床半島の温泉で云うと、昆布で有名な羅臼町の温泉がまぁ一般的に入れる湯として有名ですけども、実はそこから東へ十数キロ進んだ秘境の地にもいくつかの温泉が存在しています。
この瀬石温泉は車で行ける場所として、現時点では日本最東端にある温泉なのですが、本当はナンバー2です。
というのも、この相泊温泉が本来の温泉大国ニッポンの最東端温泉だったのですが、
相泊温泉は2016年の台風被害を受け、このような惨状に成り果てているからなのです。知床は自然保護区に付き、修繕しようにも重機などが簡単にはも持ちこめないのかもしれませんねー。
いずれにせよ、現時点ではこの瀬石温泉が最東端です。
心してはいるように。
総評
完全に海と一体化した温泉だけに、入った感想は
「うーん、海!」
です。成分分析書もないし、温泉として精細な評価のしようもないわけですが、温度はそう高くなく、ちょっと温かい海水という感じの温度でしたね。熱いって事はなかった。まぁ、その辺は潮の満ち引きにも左右されるのでしょうけども。
ただ、このお風呂は浸かりながら目の前にはロシアに不法占拠されてる国後島がデーンと鎮座しているので、ある意味複雑な心境にさせてくれることでしょう。
「エライところに来ちまったなぁ・・・」
転地効果は高いかもしれません。少なくとも、忘れられない体験ではありました。
実際、どえらい所ですよ。
実際に目の当たりにしてみると、国後島の大きさは本当にクソでかい。
この国土がロシアに占領されてるのかと思うとなぁ・・・。
それなのになんで道民は左寄りなん?
此処が車で来れる所としては知床の最東端。国後島長ーい。
日本国の最東端としては根室半島の先っちょが最東端となります。
コレも向こうに国後島が見える。あそこにもきっと温泉があるんだろうなぁ・・・。
海はなんかグロかった。
美食
知床はいつも走り抜けてばかりで美食ってした事が無いんだけども、ついでなので道東の美味しいものをいくつか紹介します。
海の宝石箱や…標津で食べたサーモン科学館のイクラ丼。
厚岸の牡蠣卵とじ丼。美味くないわけがない。
根室・花咲港の花咲ガニ。(朝茹で直後)
ここの花咲ガニは俺のカニランキングの中で最上位に来る旨さだ。朝一で茹で上げられたこのカニを食べるためだけに、わざわざ根室に来る価値があると思う。
帯広周辺に展開する謎の中毒性を誇るインデアンカレー。エビカレーが好み。
インデアンカレーは釧路にもあるぞ。
標茶町・多和平の飲むヨーグルト。
阿寒湖の鹿肉マイスターによエゾシカロースト。
清里町のオホーツク虹色うどん。ここには温泉施設もありました。
35・富岡温泉
温泉
施設入り口
更衣室から見た浴室。
奥に3つの浴槽があり、右から源泉、中温泉、低温泉と段々と左に流れ込む放流式になっている。要するに一切水で埋めておらず、どれも恐ろしく熱い。右は真冬でも入るのがキツイ。夏は無理。絶対死ぬ。中温浴槽でもキツイ。
成分分析書
湯の川温泉はどちらかと云うと塩化ナトリウムがメインの成分であったが、これに対して富岡温泉は炭酸水素イオンが豊富だったり、溶存量もほぼ生理食塩水と同等の濃度勾配となっていて、実にバランスの取れた成分分布といえる。
源泉は何と65℃!あの浴槽はこれをドバドバと放流しているのである。
概要
以前も書いたかもしれないが・・・ここがカルト温泉たる所以は、客層はほぼ半数が893に占められているからである。
近くに893の事務所があるからという理由らしいが、建前上はタトゥーの方はお断りとなってはいるものの、派手な彫り物を背中に背負った相当ガラの悪いジイさんやらオッサンがうようよしています。比率としては普通の爺さん:893=1:1位なので、まぁ半数は893ですね。午前中に行ってもいました。
とはいえ、893は特にガンつけなければ絡んでくる事も無いので、一人で静かに入る分には特に問題になる事も無いでしょう。
ここには何度も入りに来ていますが、流石に近所に噂も経っているのでしょう、子連れ客は一度も見た事がありませんでした。いや、そもそも子供が入れる湯の温度じゃないですね・・・。
そういう意味では、ある意味では静かに入れる銭湯かもしれません。
この看板も相当カルト。サウナもあるが、ほぼ893に占拠されているので、一度も利用した事がありません。
総評
お湯の質は恐らく函館市内でもトップクラスの良さでしょう。
加水・加温が一切なく、ゼロ距離・自家源泉の直流しであるため、恐ろしく湯の活きが良いです。しかも塩類と重曹のバランスもよく、効率よく身体に熱を伝える事の出来る等張泉に分類されます。
しかし65℃の湯を容赦なく掛け流しているため、源泉浴槽まず殆ど人が入る事が出来ないと思われます。というか死にます。地元の爺さんも殆ど低温浴槽の方に入っていました。
一部の893が中温浴槽を使い、その中でも特に熟練の893がサウナの後に水風呂をキメて、身体を慣らしてから高温浴槽に挑戦しているようです。
とはいえ、夏場は誰もこの高温浴槽は入れないと思われます。体感的にこの源泉浴槽は冬場でも47℃以上の温度になっており、私も真冬に数回チャレンジした事がありますが、中温→水風呂で数回慣らした後でもギリギリ10秒浸かれるかどうかでした。
とにかく、常人ならば指先を付けただけでも飛び上がるほどの熱さなのです。
浴場の設備は少々古く、カランは押している間だけ噴出する形式で、シャワーも昔ながらのレバーを捻る形状です。椅子も小さいので少し洗いづらい。
何よりここは客の半分が背中に墨を入れた893ですので、気持ちの面で居心地が良いかと云われれば良くないです。
実際に入りに行く方はよく注意するようにしてくださいね。
美食
美食らしい美食はこの周辺では五稜郭に出なければ無いのですが、カルト繋がりでマニアックな居酒屋を紹介しておきます。
たこ焼き・こけし。
富岡温泉の割と直ぐ近くにあるので、興味ある方は行ってみると良いでしょう。
店内は狭く、カウンターのみで4席程度だったような記憶が。
大量のフィギュアが展示してあり、猫もウロウロしているなど非常にディープなサブカル臭の漂うたこ焼き屋です。ちなみに明石焼きも選べる。
西尾維新の作品が大好きなマスターがぼちぼち話し相手になってくれることでしょう。
34・大雪山高原温泉+α
温泉
施設外観。日本秘湯を守る会の提灯が出ている。
ホテル自体は立派。主に登山客が泊まる宿のようで、とても山深い奥地にあるので冬季閉鎖。
内湯の様子です。一目で解る硫黄泉。潤沢な白濁の湯が溢れているのが判る。
露天風呂。白い中にも少し茶色がかっている気がする。開放感があって最高でした。
成分分析書
源泉は約49℃。一応3:7で加水してあるようですね。
この分析書には一部記載間違いがあり、硫酸水素イオンが硫化水素イオンと表記されています。白濁している所からして、この湯はイオン型の硫化水素泉ではなく、主にガス型の硫化水素泉だと思われます。
pHは約2。
それ以外では特徴的な成分が硫化水素以外に無いという点が気になります。
純粋な硫黄泉と云うのはそれはそれで珍しい。露天が仄かにくすんで見えたのは恐らく鉄イオンの影響でしょう。真っ黒ではない辺り、硫化鉄にはなっていないのかも。
概要
この大雪山高原温泉、車で来る事には来れるけども、非常に険しい未舗装路を延々10km以上運転しなくてはならず、足回りのしょぼいFFの軽自動車や車高の低い高級セダンなどではいかない事を推奨します。
自分も途中で不安になるくらい険しい道のりの果てにこの温泉はありました。
場所は国道273号の、層雲峡温泉から奥を帯広方面に曲がった先の人口湖付近に入口の看板があります。そこから約10km未舗装路ですから、まさに秘境中の秘境という言葉が相応しいかもしれません。
ですが、こんな山奥でも命知らずな登山者が結構このホテルには泊まりに来ています。
大雪山はヒグマも普通に出る危険地帯なので、僕は温泉だけでいいです。
山は舐めたらあかん。山は遠巻きに崇める位が丁度ええんや。
熊の出そうな沢
道中は自然が豊かで、全ての植物がバカでかい。
総評
単純な硫黄泉としては申し分ない湯でした。
酸性度が強いものの予め加水で薄めてあるので、それほど湯のキツさは感じませんでした。もっと秋田の玉川温泉みたいに開けていれば、湯を自然冷却して給湯する設備も作れたのでしょうけども、ここは正真正銘夏しか来る事の出来ない秘境ですので、まぁ入れるだけでもありがたい施設なのです。設備もきれいなのは嬉しい。
カテゴリ上は単純酸性泉というレアな湯ですが、なによりもここは壮大な大雪山の直ぐ側に位置するロケーション故、お湯が云々というよりもただ純粋に高原環境を楽しめばいいのではないでしょうかねー。
美食+α
国道を南下し、三国峠を抜けた先には十勝三股というかつての国鉄?の跡があります。
そこにはなにやらオシャレな喫茶店がありまして・・・。(三股山荘)
なんかこういう美味いものを食べたような記録があります。
地元牛のパテをのっけたステーキ丼だったかな。野菜もとても美味しかった。
この他、三国峠はトンネルの先にこのような展望駐車場(三国峠展望台)があって、此処でも簡単な食事を摂る事が出来るようになっています。(三国峠カフェ)
ハーブティーで一服。レモングラスには自律神経を整える効果があります。
この施設の売りは蕎麦だそうです。毎年新蕎麦の季節になると、ここでは麓の帯広やら新得界隈で採れた蕎麦を振る舞ってくれるそうで、上質な蕎麦を味わう事が出来ます。
あぁ^~たまらねぇぜ^~。
ロケーションとしてもこの白樺並木は大変北海道然として素晴らしいので温泉だけでなく様々な思い出を我々に与えてくれることでしょう。
ちなみに、この先にも幌加温泉という激カルト温泉(混浴)があるわけですが、耳の聞こえない老いたお婆ちゃんが一人でやっている温泉なので、もうそろそろ入れなくなっているかもね・・・。
33・奥尻島 神威脇温泉
温泉
施設外観。どーすかこの雰囲気ある建物。奥尻島は道内でもアクセスの困難な離島の一つ。此処まで温泉入りに来たマニアはそう多くはない筈。
周辺環境はこんな感じ。この温泉は島の西側にあるため、フェリー乗り場から車で移動しないと来る事が出来ません。風の強い所であり、夕日と白波がとても綺麗でした。
浴場はこんな感じ。露天ではないが、夕日を見ながら入る超高温の湯は格別でした。
当然の如くかけ流しで、熱すぎる場合は利用者が各自水で勝手に埋めてね♪って所も好感度が高い。ガッツリ系の塩泉。
成分分析書
海沿いの湯だけあってやはり塩泉。カリウムが豊富な辺りはやはり海水の存在を感じさせる。北海道らしく、炭酸や炭酸水素イオンが豊富な所も特徴だ。硫酸塩も多く、身体が温まる成分は一通り揃っているという訳だ。
あと、見た目にも曝気した湯はかなり茶色くなっている通り、そこそこの鉄分も含んでいる。
成分総計は約12g/kg。
塩類泉としてはかなりバリエーションに富んだ湯なのではなかろうか。
概要
奥尻島と聞いても、何処にそれがあるのか知らない人も多いのではないだろうか?
北海道の中でも利尻や礼文と違い、本州民の認知感覚からするとイマイチ影が薄い感じがする奥尻島ですが、渡島半島の西側・・・地図上で云うと函館の左上の方にあるのが奥尻島です。
航路は江差~奥尻、或いはせたな~奥尻の2ルートがありますが、函館民は比較的近い江差から向かう事が多いようです。
しかし、江差~奥尻便は1日2便あるものの、それらは早朝と夕方であり、地味に行きづらいのがネックであります。
今回私は昼に出向するせたな便を利用して奥尻に上陸しています。せたな便は地味にお勧めですが、せたなは函館からだと異様に遠いのと、冬はやらないらしいので興味持った人は良く調べてから行くように。
さて、奥尻にある温泉はここが唯一のもののようです。
フェリー乗り場から宿の送迎で島の裏側に向かいます。
1周約40km位ですかね?裏の方に温泉の案内があるのが見えます。
近くには奥尻ワイナリー、航空自衛隊の基地などが存在し、この温泉は割と自衛隊の兄貴達にとっては数少ない娯楽の一つとなっているそうです。
街の様子その①。これは東側のフェリーターミナル近くの様子です。
島で唯一のセイコーマートがあり、荒天で船が止まるとあっという間に食料が売り切れるのだとか。
島の役場。The村役場って感じの建物はなかなか年季が入ってます。
こういう世間と隔絶した世界に来ると、インターネットの力って本当にすごいなーと思うんですよ。
ここではむしろネットはテレビの電波よりも頼りになるかもしれない情報源かと思うんです。テレビ屋さんもちょっとそういう所は意識した方が良いんじゃないでしょうかねー。
北朝鮮から難民が押し寄せた場合って、多分ここが最初に影響が出る地点なんじゃないかと・・・。だからこそ、自衛隊があるのだろうけども。
今回泊まったのは奥尻湯ノ浜温泉ホテル緑館という施設。じゃらんで取れますが、このホテルも神威脇温泉と同じ湯が使われています。この写真はホテルの玄関からの景色で、敷地内には足湯が用意されています。
この茶色っぽさは鉄分の多さを彷彿とさせ、析出物の多さはカルシウムイオンの豊富さを感じさせます。景色が素晴らしいので、足湯だけでも結構しんみりできる。
総評
大体書きたい事は書いてしまいましたが、成分総計12g/kgのうち、主要成分の大半が塩化ナトリウムです。約2割くらいがその他の成分になりますが、kg辺り12gという成分量はしっかり生理食塩水よりも濃い数値なんですね。
その為この湯はガッツリ系の強い湯という分類に当てはめる事が出来ます。
前述の通り、血管拡張作用のある炭酸系成分、そして強力に皮膚をコーティングする濃い塩類が含まれている事から、浴後はかなり汗が出ます。なにより、掛流しの浴槽はお湯の温度がめっちゃ高い。
もちろん、ホテルの風呂は初心者向けに適切に加水されていましたが、源泉マニアは是非この神威脇温泉の施設まで出向くべきでしょう。ホテルからも歩いて行けますので、奥尻ワイナリーと併せて立ち寄ってみるとよいだろう。
いずれにせよこの景色です。湯に浸かりながら見る情景は最果て感が半端なく、素晴らしい転地効果をもたらしてくれることでしょう。
美食
ホテル飯。全体的にインパクトは弱く、あぁ・・・うん・・・。という感じでしたが、まぁ普通に旨かったですよ。時期が悪くウニとか生のものが手に入らない季節だったんですよね。行くなら初夏~真夏が良いと思います。
あ、生じゃないけど蒸しウニは絶品でしたね。
個人的には奥尻ワインは白かロゼが美味いと思うのです。
このワインは島の限定品だそうで、刺身の類とも非常に相性が良かったです。
奥尻ワイナリーはホテルのすぐ裏手にあります。
朝ごはん。まぁ、普通・・・かな。
おまけ。せたなの海沿いにあるヤマヨ斉藤漁業の直売店で食べた海鮮カレーとアワビの刺身。アワビにはワタが付いており、そのまま食っても旨いけど、この濃厚なワタを敢えてカレーに溶いて食べてみたら悶絶する程美味かった。
ここはせたなに来たらフェリー待ちの時間にでも食べに来るとよいだろう。他にも地物の美味しい魚が食べれるぞ!