8・新屋温泉
温泉
成分分析書
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展示なしにつき撮影できず
概要
恐るべきは北の温泉県・青森県。何気ない町中にとんでもなく良質の温泉がそこかしこに湧いているのが特徴的であるが、ここ平川市新屋にある新屋温泉はその特異な泉質に、個性が特に際立っている。
見た目は入り組んだ住宅街の奥にぽつりとある銭湯であるが、みどりの湯を標榜するこの温泉は豊富な硫黄と独特のアブラ臭を持つマニア涎垂モノの温泉なのである。
地元民以外は狙って来なきゃまず来ない、新屋温泉はそんな町中の秘湯なのである。
総評
成分分析書を撮れなかったので、各種サイトで調べてみての総評になるが、とにかく強いアブラ臭と鮮やかなミドリ色が目を引く不思議な温泉である。
成分総計は約1000mg/kgをちょっと超える程度の成分らしい。液性はpH8~9の弱アルカリ性。濃い硫黄成分が入浴時に強烈なヌルヌル感を演出している。
源泉は入浴に適した適温であり、40℃少々との事。冬場は加温しているかもしれない。
浴室はシンプルな中央堀型の浴槽で、周囲にカランが配置されている。
私が入った時は鮮やかで透明感のある緑色だったが、日によっては濁って見えることもあるようだ。
地元青森の友人と一緒に行った温泉であったが、仕事の疲れが溜まっていたのか、それとも豊富な硫黄分が身体にきつすぎたのか、翌日にその友人は体調を崩してしまったので、温泉としてとても強い湯であることは間違いなさそうである。
美食
美食というかジャンクですが、
近隣の黒石市といえば黒石焼そばが有名なようです。
特別美食かと言われれば別段そうでもないような気もしますが、すぐ近くには古い酒蔵「鳴海酒造」もありますので、そちらの方を手土産に、古い町並みを散策してみるのはいかがだろうか。
7・湯の澤鉱泉
温泉
写真は施設入り口。
日本秘湯を守る会の提灯が見受けられる。
成分分析書
概要
茨城県はあまり温泉県のイメージがないのだが、街道沿いに湯治場や温泉宿場として栄えた町が乏しいというだけの事であり、探せば古くから地元民に愛されてきた温泉はポツポツと散見される。
この湯の澤鉱泉は茨城県の常陸大宮の山中にひっそりと佇む一軒宿であり、日本秘湯を守る会の提灯が象徴するように、冷鉱泉ながら自噴源泉がかけ流し(加温)されている宿である。
市街地からそれほど離れてはいないが、カーナビ通りに道中を進んでいくと、それなりに険しい道に入り込むので、妙な冒険心をそそられる秘湯である。首都圏からのバイクツーリングであればちょうどよい場所にあるのではないだろうか。
総評
泉温15.5℃、湧出量毎分24Lと、その資源の細さも気になるが、成分総計550mg/kgと単純泉であり、炭酸水素イオンが330mgとかなり惜しいラインを行っているが、現行の温泉法上では温泉に該当しないものと思われる。
言い方を変えればこの湯の澤鉱泉の湯は事実上の「湧水」であり、湧水を沸かして浸かっている、と考えると何だか釈然としない感を受けるかもしれないが、あくまで「鉱泉」を名乗っているので、それはそれで何ら問題はないのであろう。
㏗8.2と、酸性度としてもほぼ中性に近い弱アルカリ性で、ますます湧水感が溢れるスペックとなっている。
加温しているので、唯一の豊富な成分である炭酸水素イオンもいくらかは分解してしまっているのかと思うとなんだかもったいない感じがする。源泉の水風呂なんかがあればよいのだが、自然湧水で、かけ流しを維持するには湧出量も少なく、仕方のない事なのだろう。
ここまでネガティブな総評が続いているが、浴室全体が木造でいい感じの落ち着いた造りであり、自然湧出のノンフロー源泉であることから、湯の活き・・・水の透明度や香りもフレッシュであり、成分が少ない故に単純泉らしい肌触りもなかなかに良かった。
何より、険しい山林の奥にひっそりと佇む宿の雰囲気は、日常の喧騒を忘れるに充分な風情があり、転地効果を楽しむという意味ではまずまずの施設なのではないだろうか。
美食
ここに来たのは大洗でのフェリー待ちの時間を使うという目的であったので、実質茨城での美食は大洗で摂っている。
ガルパンでおなじみになった大洗の名産といえばあんこう鍋であるが、
この時季節はちょうど12月、私が食べた料理で最もおいしかったのは・・・
〆鯖である。
写真は大洗港周辺にある「居酒屋しゅんさい」の〆鯖であるが、季節が良かったのか、トロリとして身が柔らかく、程よい酢締めで非常に美味しかった。
日本酒が入る入る入る入る・・・入っちゃった。とまんね。
日本酒といえば函館の日本酒イベントで大洗の月の井酒造さんから特別純米酒を頂く機会がありまして、その節は大変美味しかったです!とお礼を述べておきたい。
ちなみに日本酒は使用する湧水が命らしいので、飲用も浴用もできる茨城県には湧水に一定の評価を与えても良いのではないだろうか?
6・禰宜之畑温泉
温泉
写真は町営やまびこ荘の浴槽
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成分分析表
概要
西伊豆の海沿いの国道から県道59号(伊東西伊豆線)を進むと、仁科峠の手前に大沢里という小さな集落がある。禰宜之畑温泉はここの旧小学校の敷地内に湧く温泉で、現在は廃校となったこの小学校は「やまびこ荘」と名を変え、町営の宿泊施設として伊豆内外から多くの人々に親しまれている。
熱い湯が多く湧く伊豆の中にあって、源泉温度にして39℃という絶妙な湯温を誇るここの温泉は、伊豆の他のどの温泉地にもない癒しを提供してくれる湯として、かなり希少価値が高い事は云うまでもない。
そのぬる湯の温度は絶妙で、冬こそ加温が必要であるものの、夏場はその豊富な湯量もあってか、全く加水も加温もすることなく湧いたまま浴槽に注がれ続けており、その湯の高い鮮度を感じながらもさして熱くはないので、長く入っていられるというのが最大の魅力の一つであろう。
総評
39℃の中温泉にして、主たるイオンは陽イオンにしてカルシウム>ナトリウム、陰イオンにして硫酸イオンという典型的な石膏泉である。
カルシウムイオンが豊富なため、水道蛇口付近には白い結晶が大量に付着しており、湯の味も塩味は低く、硫酸塩特有のエグ味があるのが特徴。飲泉は可否は不明だが、もしも飲泉が可能であれば、その硫酸イオンの豊富さから便秘によく効く湯となるであろう。
pHは8.9とそこそこにアルカリ性であるが、カルシウム分が濃いためかヌルヌル・ツルツルとした肌触りはなく、むしろ陽イオンが効いた突っ張る感じの湯である。成分総計も1758mg/kgとそれほど重い湯ではないが、静水圧的には長湯するにはちょうど良い重さであるともいえる。
この温泉はやまびこ荘の他に配湯している施設がほとんどない事から、湧きだした湯をそのまま掛け流して使用している。そのため湯の活きが良く、長湯するにしてもいつまでも湯が新鮮で、非常に心地よく長湯できるのが特徴である。
成分的には低張泉であるが故に、水分は細胞膜を通って身体に吸収される傾向があるが、豊富な硫酸イオンは特に保湿効果も高いので、長湯でしっかりと温泉を身体に吸収した後は、浴後直ぐにオイルなどでコーティングなどをするとなお美容にも良いと思われる。
中温泉で長湯になるだけに、浴後は炭酸泉に入った後のような心地よいけだるさが身体中を包む。血管の継続的な拡張が予測されるため、風呂上りに薄着でウロウロするとたちまち体調を崩してしまうので注意が必要である。
美食
西伊豆の温泉であるので、食そのものは西伊豆町内で海産物を食べるのが良い。禰宜之畑温泉にも民宿があるので、そこで泊まって腕をふるってもらうの良いだろう。
しかし敢えて禰宜之畑温泉の何某かをアピールするならば、伊豆の湧水を美食の1つとして推したい。
やまびこ荘からほどなく山奥に進むと、「わさびの駅」という小さな道の駅的な施設があるのだが、ここの最大の売りはわさびではなく「天城深層水・健」である。
適度にカルシウムと硫酸イオンを含んだ水は、なるほど禰宜之畑温泉のルーツを感じさせる中硬度の水であり、天城の山奥で風呂上りに飲む湧き水ってのも、なかなか乙なものでもあります。
風呂上がりに県道59号を抜ける際には必ず目にする施設なので、この道を通過する際は是非立ち寄ってみるとよいだろう。
5・伊豆長岡温泉(混合泉)
温泉
写真はあやめの宿・ハート型の内湯
成分分析書
概要
伊豆長岡温泉は静岡県の東部、JR三島駅から伊豆箱根鉄道で南下した伊豆半島の玄関口に位置する温泉地である。
古くから鎌倉時代にまで遡って湯治場として栄え、戦後は社員旅行や慰安旅行の聖地として、バブル経済と共に温泉コンパニオン文化の発祥の地として発展し、日本人の文化人類学的にも実に趣深い温泉地なのである。
我が国の湯治場の歴史の中で比較的早期から湯枯れが懸念された温泉地でもあり、現在では徹底した温泉の集合管理システムが浸透している。それ故に自家源泉を持つ宿も少ないものの、ノウハウの詰め込まれた集合管理システムは素晴らしく、町の公共浴場に入ってみればその湯の質の高さに驚かされるはずである。
伊豆長岡温泉は大きく分けて長岡地区と古奈地区があるが、長岡地区はほぼ全ての施設がこの混合泉で配湯されている。古奈地区では源泉を持つ宿に京急ホテルとサンバレー富士見がある。私はサンバレー富士見を何度か利用していたが、湯の活き・香りの面ではやはり長岡の混合泉以上のクオリティがあった。しかし、長岡地区の混合泉も決してくたびれた湯ではない。以下の総評は長岡地区の混合泉について行う。
総評
一号貯水槽、二号貯水槽ともに約60℃程度の高温泉である。
成分的にもいずれも600mg/kg前後の単純泉であり、湯はほぼほぼ無臭であるが、伊豆特有の溶岩石の地盤というか、石を磨いたような、ミネラルを感じる香りがある。味はほぼ無味。
混合泉であるが各宿や公共浴場に配湯される時点での温度は入浴にちょうど適した温度になっており、むしろ温泉慣れしていない一般人では熱いと感じる温度である。
施設によってはそこから循環・加温などで湯を回すため、温泉にこだわるならば宿選びは慎重にするべきである。集合管理をしている温泉地の場合、経営的に小規模の宿の方が循環施設を持たない事が多いため、混合泉をそのままかけ流している事が多い。
pHは9.0とアルカリ性であるが、ぬるぬるツルツルした感じはなく、まったくもってクセのない湯である。入る人を選ばない湯とはまさにこの事で、皮膚の薄い小児から乾皮症の老人まで、あらゆる層の人々に親しまれるであろう懐の深い温泉なのである。
この特徴は古奈地区の源泉でもほぼ同様である。
長岡地区の混合泉を堪能するには町営の公共浴場に入るのが良い。
長岡地区には2カ所の公共浴場があり、順天堂大学病院の近くにある長岡南浴場(セブンイレブンの近く)と、もう一つは通称「湯らっくすの湯」と呼ばれる町はずれの公園の近くにある長岡北浴場である。
(古奈地区にはあやめの湯という浴場がある。)
長岡の公共浴場は古奈地区の湯に比べてどちらも浴槽温度が高い。
特に湯らっくすの湯は番台の婆さんの加減によって浴槽温度で42~44℃に保たれており、熱を感じやすい単純泉(※)の44℃浴槽は毎晩シャワーで済ましているような都会人ではまず入浴困難なレベルの熱さとなっている。
(※温泉は成分が薄いほど熱く感じやすい傾向がある。)
でも、この熱さがね、たまらんのですよ。
初心者は南浴場にするとよいだろう。
美食
長岡南浴場から射的場などが見受けられる昭和の温泉街をそぞろ歩くと、金城館の近くにひっそりと餃子の専門店がある。「餃子の喜むら」である。
一般的な油で焼き上げる餃子と違い、ここのギョウザはモチモチとした皮で包んだ餃子を蒸して作るスタイルであり、店の奥さんは笑いながら「うちは小籠包風のギョウザ」と言っていた。
メニューは基本的にギョウザであり、冷ややっこやポテトサラダなど、餃子以外のメニューはちょっとしたつまみしかない。しかしこのギョウザがクッソ旨い。
立地も推したい。
「餃子の喜むら」は長岡南浴場から歩いて大体10分足らずである。
南浴場で真っ赤になるまで温まった身体を涼ませるのにちょうどよい距離であり、湯冷めをしないタイミングで店に入れるのだ。
まずハイリキレモン、そして餃子が現れるのを待つのである。
口の中に広がる肉汁、それを再びハイリキレモンで流し込むと、口直しに手作りのポテトサラダをつまむ。
こんな幸せ、伊豆長岡じゃないと味わえないんだよなぁ・・・。
4・女塚温泉・改正湯
温泉
成分分析書・写真なし
総評
蒲田の東京工科大の裏辺りにある温泉銭湯。
東京らしい銭湯ながら鯉の泳ぐ水槽が組み込まれているなど、現代風にいろいろアレンジされている公共浴場です。
普通の銭湯かと思いきや蒲田特有の黒湯に炭酸ガスを足してさらに温熱効果を高めた人工炭酸泉や、超微細気泡を入れたシルク風呂、源泉をそのまま使った水風呂など、様々な変わり湯を用意するなど、健康増進にひときわ高い意識で銭湯を営んでおられるのがわかります。
成分分析書を撮り忘れたので詳細を記載できませんが、成分的にはほぼ蒲田黒湯温泉に近いと思われます。ナトリウム・炭酸水素塩の真っ黒な冷鉱泉で、ツルツルとした肌触りと特有のモール泉特有の有機物臭がありました。他の近隣黒湯同様に源泉は貴重なので、湯は毎日交換で、加温循環というスタイルで配湯されています。
水風呂は黒湯を加温しない源泉のまま使用しているので、温熱浴と水冷浴の交代浴をするのが源泉そのものを堪能できてお勧めです。
JRの駅から少し歩きますが、設備は今風で清潔なので初めての人でも利用しやすいと思います。
美食
東京工科大の脇にとんかつ鈴文というとんかつ屋さんがあります。
美食・・・というか、まぁ普通のとんかつ屋さんなんですが、年配のご主人と奥さんらしき二人が手仕込みで揚げてくれるカツが食べれるので、実に下町らしくて良い感じです。ランチもやっているので、昼から温泉、その後にとんかつとビール・・・なんてのも、オツなもんじゃないですかね。
この他にも改正湯周辺は個人店経営の飲食店がちょくちょく散見されるので、外食チェーンに飽きた方はこの辺を探検するのも、面白いかもしれません。
3・蒲田黒湯温泉
温泉
浴場は広くなく、内湯のみ。
成分分析書
JR蒲田駅前にあるビジネスホテル・ホテル末広の大浴場である。
昼は日帰り入浴も可能。
総評
成分総計3127mg/kg、源泉温度17.4℃の冷鉱泉である。
主な成分は陽イオンでナトリウム、陰イオンは炭酸水素イオンという、いわゆる重層泉である。
珍しく成分分析書に記載があるが、黒湯温泉の名の通り化石植物と思われる有機物(腐植質)を含んでおり、浸かれば身体全体が見えなくなってしまう程の真っ黒い湯が特徴。
お湯もモール泉特有の有機物臭(化学的な匂い)があり、さらに重層のクレンジング効果でツルツルとした肌触りがあるのが特徴。pHは8.3と弱アルカリだが、pHだけなら熱海界隈の温泉と大して差はないので、やはりこのツルツルとした感触は重層泉故の特徴と思われます。
ビジネスホテルのお風呂ゆえ、温かい浴槽が1つのみというシンプルな構造となっている。昼間は利用客も少ないので、蒲田周辺でちょっとした用事があり、その合間にサッと入るにはうってつけの施設であろう。
美食
蒲田といえば中華料理屋ばっかりあるイメージなのだが、実は南口より少し西に歩いた先にちょっと面白いレストランがある。
西洋料理SUZUKIというのだが、ここはトロトロに煮込んだビーフシチューが非常においしいので、蒲田で洋食を考えている方は一度利用してみるといいかもしれない。
ただし、店舗は非常に狭く大人数には向かないので、あくまで個人か2人程度で行くことをお勧めします。
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2・下香貫温泉(月の湯温泉)
温泉
右が白湯・左が加温源泉
成分分析書
伊豆長岡から山一つ隔てた西側の沼津市内にある温泉で、翠泉閣というホテルのお風呂です。
源泉名はずばり月の湯。素敵な名前です。
総評
成分総計3379㎎/㎏の低張泉で、源泉温度は8℃の冷鉱泉です。
特筆すべきはpH3.2という伊豆にしては非常に珍しい酸性泉で、ナトリウムよりもカルシウムとマグネシウムが主な陽イオンの硫酸塩泉となっています。
鉄分も豊富に含んでおり、見た目は茶色く濁っています。
若干量の炭酸とメタ珪酸も含んでいるようだ。
冷鉱泉ゆえに加温しての配湯である。また、湧出量が非常に少なく、降水量によっては湯が枯渇してしまうこともあるそうで、加温循環という形で提供されている。
枯渇の事態も想定してあるためか、浴場には白湯と並んで提供されている。
加温に関しては白湯は熱めで、温泉はぬるめの設定となっているが、この温泉の発汗作用は素晴らしく、もしも入りに行くならば、是非とも白湯と入り比べてその効果を確認してみるとよいだろう。
低張性であるが、溶けている成分からしてなかなかに強い湯である。
こういうシブイ温泉、好きですね。
美食
近隣には徒歩圏だと五味八珍というコスパの高いファミレスがあるが、車を出すならば是非とも沼津港に行っていただきたい。
沼津港は駿河湾の深海魚から伊豆近海の金目鯛や伊勢海老など、珍しくて美味しいものが何でも食べられるスポットとなっている。
お勧めは魚河岸丸天。名物のかき揚げ天以外にも美味しいものが沢山あります。