温泉美食倶楽部活動報告書

温泉の成分分析表に興味ある人向け

5・伊豆長岡温泉(混合泉)

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温泉

写真はあやめの宿・ハート型の内湯

 

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成分分析書

 

概要

伊豆長岡温泉は静岡県の東部、JR三島駅から伊豆箱根鉄道で南下した伊豆半島の玄関口に位置する温泉地である。

 

古くから鎌倉時代にまで遡って湯治場として栄え、戦後は社員旅行や慰安旅行の聖地として、バブル経済と共に温泉コンパニオン文化の発祥の地として発展し、日本人の文化人類学的にも実に趣深い温泉地なのである。

 

我が国の湯治場の歴史の中で比較的早期から湯枯れが懸念された温泉地でもあり、現在では徹底した温泉の集合管理システムが浸透している。それ故に自家源泉を持つ宿も少ないものの、ノウハウの詰め込まれた集合管理システムは素晴らしく、町の公共浴場に入ってみればその湯の質の高さに驚かされるはずである。

 

伊豆長岡温泉は大きく分けて長岡地区と古奈地区があるが、長岡地区はほぼ全ての施設がこの混合泉で配湯されている。古奈地区では源泉を持つ宿に京急ホテルとサンバレー富士見がある。私はサンバレー富士見を何度か利用していたが、湯の活き・香りの面ではやはり長岡の混合泉以上のクオリティがあった。しかし、長岡地区の混合泉も決してくたびれた湯ではない。以下の総評は長岡地区の混合泉について行う。

 

総評

一号貯水槽、二号貯水槽ともに約60℃程度の高温泉である。

成分的にもいずれも600mg/kg前後の単純泉であり、湯はほぼほぼ無臭であるが、伊豆特有の溶岩石の地盤というか、石を磨いたような、ミネラルを感じる香りがある。味はほぼ無味。

 

混合泉であるが各宿や公共浴場に配湯される時点での温度は入浴にちょうど適した温度になっており、むしろ温泉慣れしていない一般人では熱いと感じる温度である。

 

施設によってはそこから循環・加温などで湯を回すため、温泉にこだわるならば宿選びは慎重にするべきである。集合管理をしている温泉地の場合、経営的に小規模の宿の方が循環施設を持たない事が多いため、混合泉をそのままかけ流している事が多い。

 

pHは9.0とアルカリ性であるが、ぬるぬるツルツルした感じはなく、まったくもってクセのない湯である。入る人を選ばない湯とはまさにこの事で、皮膚の薄い小児から乾皮症の老人まで、あらゆる層の人々に親しまれるであろう懐の深い温泉なのである。

この特徴は古奈地区の源泉でもほぼ同様である。

 

長岡地区の混合泉を堪能するには町営の公共浴場に入るのが良い。

長岡地区には2カ所の公共浴場があり、順天堂大学病院の近くにある長岡南浴場(セブンイレブンの近く)と、もう一つは通称「湯らっくすの湯」と呼ばれる町はずれの公園の近くにある長岡北浴場である。

(古奈地区にはあやめの湯という浴場がある。)

 

長岡の公共浴場は古奈地区の湯に比べてどちらも浴槽温度が高い。

特に湯らっくすの湯は番台の婆さんの加減によって浴槽温度で42~44℃に保たれており、熱を感じやすい単純泉(※)の44℃浴槽は毎晩シャワーで済ましているような都会人ではまず入浴困難なレベルの熱さとなっている。

(※温泉は成分が薄いほど熱く感じやすい傾向がある。)

でも、この熱さがね、たまらんのですよ。

 

初心者は南浴場にするとよいだろう。

 

美食

長岡南浴場から射的場などが見受けられる昭和の温泉街をそぞろ歩くと、金城館の近くにひっそりと餃子の専門店がある。「餃子の喜むら」である。

 

一般的な油で焼き上げる餃子と違い、ここのギョウザはモチモチとした皮で包んだ餃子を蒸して作るスタイルであり、店の奥さんは笑いながら「うちは小籠包風のギョウザ」と言っていた。

 

メニューは基本的にギョウザであり、冷ややっこやポテトサラダなど、餃子以外のメニューはちょっとしたつまみしかない。しかしこのギョウザがクッソ旨い。

 

立地も推したい。

「餃子の喜むら」は長岡南浴場から歩いて大体10分足らずである。

南浴場で真っ赤になるまで温まった身体を涼ませるのにちょうどよい距離であり、湯冷めをしないタイミングで店に入れるのだ。

 

まずハイリキレモン、そして餃子が現れるのを待つのである。

口の中に広がる肉汁、それを再びハイリキレモンで流し込むと、口直しに手作りのポテトサラダをつまむ。

 

こんな幸せ、伊豆長岡じゃないと味わえないんだよなぁ・・・。

4・女塚温泉・改正湯

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温泉

 成分分析書・写真なし

 

総評

蒲田の東京工科大の裏辺りにある温泉銭湯。

東京らしい銭湯ながら鯉の泳ぐ水槽が組み込まれているなど、現代風にいろいろアレンジされている公共浴場です。

 

普通の銭湯かと思いきや蒲田特有の黒湯に炭酸ガスを足してさらに温熱効果を高めた人工炭酸泉や、超微細気泡を入れたシルク風呂、源泉をそのまま使った水風呂など、様々な変わり湯を用意するなど、健康増進にひときわ高い意識で銭湯を営んでおられるのがわかります。

 

成分分析書を撮り忘れたので詳細を記載できませんが、成分的にはほぼ蒲田黒湯温泉に近いと思われます。ナトリウム・炭酸水素塩の真っ黒な冷鉱泉で、ツルツルとした肌触りと特有のモール泉特有の有機物臭がありました。他の近隣黒湯同様に源泉は貴重なので、湯は毎日交換で、加温循環というスタイルで配湯されています。

 

水風呂は黒湯を加温しない源泉のまま使用しているので、温熱浴と水冷浴の交代浴をするのが源泉そのものを堪能できてお勧めです。

 

JRの駅から少し歩きますが、設備は今風で清潔なので初めての人でも利用しやすいと思います。

 

美食

東京工科大の脇にとんかつ鈴文というとんかつ屋さんがあります。

 

美食・・・というか、まぁ普通のとんかつ屋さんなんですが、年配のご主人と奥さんらしき二人が手仕込みで揚げてくれるカツが食べれるので、実に下町らしくて良い感じです。ランチもやっているので、昼から温泉、その後にとんかつとビール・・・なんてのも、オツなもんじゃないですかね。

 

この他にも改正湯周辺は個人店経営の飲食店がちょくちょく散見されるので、外食チェーンに飽きた方はこの辺を探検するのも、面白いかもしれません。

3・蒲田黒湯温泉

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温泉

浴場は広くなく、内湯のみ。

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成分分析書

JR蒲田駅前にあるビジネスホテル・ホテル末広の大浴場である。

昼は日帰り入浴も可能。

 

総評

成分総計3127mg/kg、源泉温度17.4℃の冷鉱泉である。

主な成分は陽イオンでナトリウム、陰イオンは炭酸水素イオンという、いわゆる重層泉である。

 

珍しく成分分析書に記載があるが、黒湯温泉の名の通り化石植物と思われる有機物(腐植質)を含んでおり、浸かれば身体全体が見えなくなってしまう程の真っ黒い湯が特徴。

 

お湯もモール泉特有の有機物臭(化学的な匂い)があり、さらに重層のクレンジング効果でツルツルとした肌触りがあるのが特徴。pHは8.3と弱アルカリだが、pHだけなら熱海界隈の温泉と大して差はないので、やはりこのツルツルとした感触は重層泉故の特徴と思われます。

 

ビジネスホテルのお風呂ゆえ、温かい浴槽が1つのみというシンプルな構造となっている。昼間は利用客も少ないので、蒲田周辺でちょっとした用事があり、その合間にサッと入るにはうってつけの施設であろう。

 

美食

蒲田といえば中華料理屋ばっかりあるイメージなのだが、実は南口より少し西に歩いた先にちょっと面白いレストランがある。

西洋料理SUZUKIというのだが、ここはトロトロに煮込んだビーフシチューが非常においしいので、蒲田で洋食を考えている方は一度利用してみるといいかもしれない。

ただし、店舗は非常に狭く大人数には向かないので、あくまで個人か2人程度で行くことをお勧めします。

 

蒲田行進曲

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2・下香貫温泉(月の湯温泉)

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温泉

右が白湯・左が加温源泉

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成分分析書

伊豆長岡から山一つ隔てた西側の沼津市内にある温泉で、翠泉閣というホテルのお風呂です。

源泉名はずばり月の湯。素敵な名前です。

 

総評

成分総計3379㎎/㎏の低張泉で、源泉温度は8℃の冷鉱泉です。

特筆すべきはpH3.2という伊豆にしては非常に珍しい酸性泉で、ナトリウムよりもカルシウムとマグネシウムが主な陽イオンの硫酸塩泉となっています。

鉄分も豊富に含んでおり、見た目は茶色く濁っています。

若干量の炭酸とメタ珪酸も含んでいるようだ。

 

鉱泉ゆえに加温しての配湯である。また、湧出量が非常に少なく、降水量によっては湯が枯渇してしまうこともあるそうで、加温循環という形で提供されている。

 

枯渇の事態も想定してあるためか、浴場には白湯と並んで提供されている。

加温に関しては白湯は熱めで、温泉はぬるめの設定となっているが、この温泉の発汗作用は素晴らしく、もしも入りに行くならば、是非とも白湯と入り比べてその効果を確認してみるとよいだろう。

 

低張性であるが、溶けている成分からしてなかなかに強い湯である。

こういうシブイ温泉、好きですね。

 

美食

近隣には徒歩圏だと五味八珍というコスパの高いファミレスがあるが、車を出すならば是非とも沼津港に行っていただきたい。

沼津港は駿河湾の深海魚から伊豆近海の金目鯛や伊勢海老など、珍しくて美味しいものが何でも食べられるスポットとなっている。

お勧めは魚河岸丸天。名物のかき揚げ天以外にも美味しいものが沢山あります。

 

 

 

 

 

 

寿司屋の厳選海鮮8点セット

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1・三原山温泉

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温泉

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成分分析書

 

伊豆大島にある大島温泉ホテルの温泉です。

源泉名は三原山温泉5号井。

 

総評

成分総計752㎎/㎏の単純泉ながら、熱海や伊東などの温泉と違って濁りのあるお湯です。

成分所見としては洋上にある島の湯として、また火山性の温泉にしてはナトリウムなどの塩類が少ないという特徴を持ち、その結果として炭酸水素イオン(重層)の割合が高い単純泉であり、液性は中性ながら写真にある露天風呂では足元がツルツルとして転びそうになるほどであった。

源泉温度は高く、夏場などは加水も考慮されるであろう。

源泉を堪能するならば冬場の入湯が適切か。

露天風呂からの景色は絶景そのもので、秘湯感にあふれ、転地効果も高い。

 

美食

当然のことながら伊豆大島では海産物などは何処の旅館や民宿でも築地を通してない新鮮な魚介類が食べられる。

酒のみでないならば魚介類を中心にべっこう寿司、酒のみならばムロアジのくさやと島焼酎を食べましょう。くさやは変な先入観を捨て、発酵食品として非常に優れた栄養価を持つ食べ物なので、是非お勧めします。

 

新島 くさや 味付

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伊豆大島 麦焼酎 御神火720ml

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