温泉美食倶楽部活動報告書

温泉の成分分析表に興味ある人向け

144・然別峡 菅野温泉

温泉

f:id:sticknumber31:20200822201653j:plain

カンノミホ…。

施設入り口。

日帰り入浴は昼の12時からだそうですが、予め調べてから行くと良いでしょう。

HPでアナウンスされてますが、今回の入った経験から云うと、此処は日帰りよりも絶対に宿泊で利用すべき温泉だ。理由は後述する。

 

成分分析表

f:id:sticknumber31:20200822202250j:plain

10号泉・12号泉の湯。通称ウヌカルアンナーの湯。

「また会おうね。」の意味らしい。

f:id:sticknumber31:20200822202444j:plain

5号泉。ウヌカルアンノーの湯。

「また会おうぜ!」の意味らしい。

f:id:sticknumber31:20200822202642j:plain

2号泉。コンカニペの湯。

「金の雫」という意味らしい。

f:id:sticknumber31:20200822202758j:plain

7号泉。シロカニペの湯。

「銀の雫」という意味らしい。

f:id:sticknumber31:20200822202902j:plain

3号泉。波切の湯。

 

男湯だけで5つの源泉があった菅野温泉だが、

f:id:sticknumber31:20200822203137j:plain

温泉棟と宿泊棟と貸切湯、男湯とは別に女湯にも別の名前の浴槽があるので、おそらく全て個別源泉の湯だと思われます。今回は幌加温泉からのハシゴ湯であり、日帰り入浴だったので全てを見知る事は出来なかった。そういう意味で、ここは宿泊で利用すべき施設なのである。

 

概要

f:id:sticknumber31:20200822203655j:plain

この菅野温泉の紹介で、恐らく私の北海道での秘湯紹介は一区切りつくものと考えています。5年ほどかけて北海道は色々旅をして回ったが、このブログで紹介してきた中では大雪山系で最後の秘湯宿かと思われます。

トムラウシ温泉程ではないにせよ、菅野温泉もかなり山奥にあります。オソウシ温泉に比べるとまだ舗装路なので、車では行きやすい場所かもしれません。ここは経営者の高齢化により数年程前までは閉鎖状態でしたが、近年新しいオーナーの元で経営を再開したという経緯のある温泉です。

 

幌加温泉もそうですが、この手の秘湯は後継者問題が常々付きまといます。そういう意味で云えば、菅野温泉は良い経営者に恵まれたのではないかと思います。いずれも掛け流しの湯でありますし、源泉別に浴槽を分けてあるところとか、現オーナーの源泉への強いこだわり・情熱を感じるからです。

f:id:sticknumber31:20200822204855j:plain

宿泊棟は新築したという感じではなく、元あったものを改修してあるようです。

f:id:sticknumber31:20200822205050j:plain

ここが別料金の離れの湯です。幾稲鳴滝の湯というらしいが、恐らく貸切風呂かな?

入ればよかったんですが、この日は朝風呂(糠平温泉)→幌加温泉とハシゴ湯して、さらにここ菅野温泉の日帰り湯で5つの浴槽を入り回ったという経緯もあり、もう半分湯あたりしかけていたので断念。やっぱ泊りでこないとアカンね。

何にせよ、源泉多すぎじゃね?

f:id:sticknumber31:20200822205502j:plain

温泉棟の裏にはこのようにあちこちに源泉槽があり、資源の豊富さを伺わせます。

いや、資源が豊富なのは結構なんだけど、これって維持するのスゲー大変なんだよね・・・。なので、みんなもガンガン宿泊しに行って、ゼニ、落とそう?

f:id:sticknumber31:20200822205758j:plain

幾稲鳴滝の湯の近くに滝があったので、恐らくこの滝に混じっているのが鳴滝源泉だと思われます。茶色く鉄の混じった色をしていますね・・・。

 

源泉以外にも池やら坂に色々と名前が付いていて、遊び心が感じれましたね。

ゼルダの伝説の小さい村みたいな感じ。

 

総評

f:id:sticknumber31:20200822210821j:plain

開店直後の一番風呂ゲットで他に客が入る前に撮影成功。

奥までは流石に遠慮しましたが、手前にあるのがウヌカルアンナーの湯。

洗い場の右奥にはウヌカルアンノーの湯があり、奥の階段を下っていくとコンカニペの湯、シロカニペの湯、波切の湯があります。

 

源泉数が多いので総括での評価ですが、全体的に似た泉質なんですよね。

基本はナトリウム/塩化物・炭酸水素泉。

これにそこそこの炭酸ガスと、微量の鉄分&硫化水素が含まれた湯です。

 

しかし見た目がそれぞれ異なっていまして、コンカニペは金の雫の名の通り、茶色い濁りが見える湯でした。一方でシロカニペも茶色くはないが、銀の雫?って程の透明度は無く、波切の湯も似たような薄茶色の濁りのある湯でした。

 

対照的に、写真にも写っているウヌカルアンナーの湯は最も鉄分が多いにもかかわらず透明で、同じくウヌカルアンノーの湯はより透明度がハッキリとした湯でありました。

 

いずれの源泉もイオン型の硫化水素を含んだ湯ですが、pHがそれほどアルカリに傾いてない為か、鮮やかな緑色を呈するような感じはなかったです。濁り湯の方は光の加減によっては緑色に見えなくもないか?

 

源泉自体はどれも50℃前後と熱いわけですが、これら湯の色の違いに関しては流量の影響もあるのかもしれない。ウヌカルアンナーの湯は極少量ずつ源泉をフローしているためか、お湯はかなりぬるめに設定されていて心地よかった。前述の通り、この湯は最も鉄分が多いにもかかわらず色が透明で、代わりに浴槽の壁に茶色い付着物が見て取れた。対照的にウヌカルアンノーの湯は鉄分を含まないので浴槽壁も含めて全くの透明で、階段奥にある他3湯に関してはいずれも一般的な鉄泉らしい茶色っぽい濁りが見て取れた。

 

強塩泉という程の塩分はないが、いずれも豊富な炭酸水素イオンと炭酸ガスを含んだ温泉で、泡付きはそれほどでもなかったが、血管拡張作用としては充分な作用があったように思う。この日は既に3回目のハシゴ湯だったため、効果の実感に関しては既に他のハイスペック温泉の影響を受けていた事から、ハッキリした事は口にできないが、スペック的には申し分のない泉質だと思われる。

 

水風呂が無かったので水シャワーを浴びながら交代浴を行ったが、個人的には一番ぬるいウヌカルアンナーの湯が低負担でお気に入りとなった。

既に湯あたりしかけていたからしょうがないね。

f:id:sticknumber31:20200822213352j:plain

館内はこんな感じで、浴室同様に温泉棟もリニューアルされて大変キレイな環境になっていたので、初心者にもお勧めの秘湯といえるだろう。

 

美食

f:id:sticknumber31:20200822213455j:plain

ここでは宿泊していないので、鹿追町に戻って昼ごはんとして蕎麦寿司というものを食べてみました。

まぁ鹿追町新得町の隣だからね。蕎麦は美味いっしょ?という動機です。

 

写真の通り、茹でた蕎麦を海苔で巻いて酢〆にした料理です。不味くはないんですが、酢で〆ると蕎麦の風味が飛んじゃって、なんかもったいない感じしましたね。蕎麦は普通に食べた方が美味いかもしれん。まぁ、珍しい料理ではありますので一応の紹介にしておきます。

143・幌加温泉 鹿の谷

温泉

f:id:sticknumber31:20200821230339j:plain

施設がいか・・・ファッ!?

幌加温泉に唯一残る鹿の谷という旅館には常に鹿がいる。

やけに人を恐れないので、もしかして餌付けされてるんじゃないかな・・・。

 

成分分析表

不明。というか、何処かにあるんだろうけど掲示してなかったですね・・・。

f:id:sticknumber31:20200821232442j:plain

その代わりに脱衣所に掲示してあったのがこれ。

ナトリウム泉、鉄鉱泉、カルシウム泉、硫黄泉の4源泉があるらしい。

いずれも自然湧出とか色々オーバースペックな温泉。

 

概要

f:id:sticknumber31:20200821232833j:plain

北海道住んでると色々感覚がマヒしてくるわけですが、割ととんでもない所にありますよね、この幌加温泉。大雪山の南側に位置しており、冬は積雪的にはどうなんだろう?まぁ山沿いだから降る事は降るんでしょうね。層雲峡とかに比べると少なそうですが。

f:id:sticknumber31:20200821235920j:plain

今回この幌加温泉は前回の糠平温泉の帰りに立ち寄ってみた温泉なんですが、来るのは3度目です。この旅館は耳の全く聞こえないお婆ちゃんが運営しており、休業してる場合も多い。営業していても難聴のお婆ちゃんに気付かれず入れてもらえない場合もあるのだ。過去3度来て、入れたのは今回が2回目。そんなギャンブルな宿です。

f:id:sticknumber31:20200822000050j:plain

筆談で会話するしかないお婆ちゃん用ホワイトボード。

この温泉も近々入れなくなる日が来るのかねぇ・・・。

f:id:sticknumber31:20200822000221j:plain

宿の周辺には数頭のエゾジカが跋扈していて、時折キタキツネも現れます。

なんというか、生活圏がもうサファリパークみたいなところね。

鹿を狙ったクマが出たらどうしよう・・・ってなるよね。

 

総評

f:id:sticknumber31:20200821233821j:plain

浴室は完全混浴です。脱衣所こそ男女別ですが、辿り着くのはこの浴室。手前から

1.ナトリウム泉

2.鉄鉱泉

3.カルシウム泉

という並びで湯が張られています。

f:id:sticknumber31:20200821233955j:plain

これがナトリウム泉の浴槽。

美しい白い結晶が浴槽を覆っています。一体何のナトリウム塩なのか気になる所ですが、北海道であるという事を考えると、やはり重曹と塩化ナトリウムベースの湯なのではないかと思います。味はそれほどしょっぱくない。白い結晶はカルシウム塩だとは思いますが、石膏のように刺々しい結晶には見えませんでした。

源泉は恐らく50℃以上の熱い湯ですが、少量フローで比較的ぬるめの温度だった。浴感もクセが無く、総じて入りやすい泉質だと思う。

f:id:sticknumber31:20200821234252j:plain

続いて鉄鉱泉ですが、見た目にも鉄を含んだと思しき茶色をしていますね。

しかし鉄泉という割にはお湯自体は透明で、浴槽の色が茶色なのが若干気になったところ。最初、元々そういう色の浴槽なんじゃねーの?と思っていたのだが、よく見ると浴槽の底に青いタイルの名残が見受けられ、やはりこの茶色い浴槽は温泉の成分が浴槽そのものをコーティングして出来上がったものだと思われる。茶色い結晶が張るって事で、やはり鉄泉といえば鉄泉なのだろう。

 

温度的にはやや熱め、42℃位?しかしこれも際立ってクセがある湯ではなく、入りやすい泉質だと思う。塩味も少ないので、恐らくは低張泉。

 

f:id:sticknumber31:20200821234923j:plain

続いてカルシウム泉。見た目も浴感もナトリウム泉に非常によく似ているが、こちらの方がカルシウムイオンが豊富なのか、浴槽の底で決勝が波打っているのが判る。浴槽の縁部分も結構しっかりとしたカルシウムの結晶がコーティングしており、恐らくこの浴槽も鉄鉱泉のように元はタイル張りの浴槽だったのだろう。

浴感はそれいずれもあまり差が無く、これも低張泉だと思われる。源泉温度は恐らく50℃以上で、熱い。浴槽温度では恐らく42~43℃位。

 

いずれのお湯もヌルヌル系というよりはキシキシとしたミネラル感を感じさせる温泉であった。スタンダードな塩類泉らしい浴感。

f:id:sticknumber31:20200821235455j:plain

各浴槽の表示はこんな感じ。

うーん、全部源泉から殆ど離れてない掛け流しで、贅沢な温泉だと思う。

f:id:sticknumber31:20200821235555j:plain

露天には硫黄泉が張られている。仄かに硫化水素の香りがして、イオン型の硫化水素も含むのか、色も若干緑がかっている。硫黄分を好む藻も生えており、石灰華らしき塊が出来ているのもポイントが高い。

開放感があって良いのだが、手入れはあまり行き届いてないので、もう半野天風呂状態です。藻やら虫の死骸と格闘しながら入る事にはなる。

というか、熊が出てこないかちょっと怖い。ヌルヌル感もあるのだが、藻のヌルヌルなのか成分のヌルヌルなのかよく分かんない辺りが評価に悩む。

 

ともかく、自噴の源泉を4つも掛け流しで味わえるというのは温泉マニアとしては至上の環境なんだけども、やはり宿泊で利用しないと日帰りではここの湯は堪能しきれないね。湯治宿らしく、食事なしの素泊まりのみらしいですが、意外に連泊で泊まり込んでいる人もいます。

 

此処は確かに結構な山奥にある秘湯なのだが、車があればアクセス自体はさほど難しくない。耳の聞こえないお婆ちゃんを心配してか、温泉好きの若い人も結構頻繁に様子を見に来ているようです。コロナ騒動のこのご時世、顔見せに行くのはあまり良い事ではないのかもしれないが、まぁ耳の聞こえない婆ちゃんだけで回してるってのは心配っちゃ心配ですよね。家族もいるに入るっぽいですが、火の始末とかね・・・。

 

美食

f:id:sticknumber31:20200821232130j:plain

朝飯食べた直後だったので以前来た時の写真で濁します。

幌加の隣には三国峠の手前に十勝三股って駅があったらしいんだけど、そこの喫茶店の食事を晒しときます。以前も載せたかもしれんな。

f:id:sticknumber31:20200821232203j:plain

形成肉ステーキ丼とサラダ。

形成肉といっても和牛なので、まぁ普通に柔らかくて美味い。

ハンバーグみたいなもんやね。

142・糠平温泉

温泉f:id:sticknumber31:20200820224838j:plain

施設近影。大分年季が入ったホテルですが、ここは自家源泉を持っている。

 

成分分析書

f:id:sticknumber31:20200820225104j:plain

最初入った感じでは単純泉かと思ったが、成分総計1096mg/kgでギリギリ泉質名が付くライン超えてますね。

f:id:sticknumber31:20200820225321j:plain

これが掲示できる温泉施設は強い。もう云う事ないね。

 

概要

f:id:sticknumber31:20200820225707j:plain

糠平温泉ってこんな所。札幌から大体200kmあって、まぁー遠いわ。

今回1泊2日で行きましたけどね、そらもう疲れましたわ。

いや、高速使えばもうちょい楽なんですが、

f:id:sticknumber31:20200820230144j:plain

今回このルートで行ったからね。

f:id:sticknumber31:20200820230542j:plain

途中富良野に寄ったのだが、特に何もせずスルー。ヒグマ怖いワン。

f:id:sticknumber31:20200820230705j:plain

ゴールが見えてきた頃、扇ヶ原展望所で位置関係を確認。ここは十勝平野を一望するスポットだが、大昔に火山活動の名残があるとかで、帯広市内はモール泉ばかりなのに、何故然別湖近辺にはモール泉が出ないのか、なんとなくその秘密が判ってきましたね・・・。

f:id:sticknumber31:20200820231040j:plain

この日は気温が高かったのでちょっとガスってますが、この先に広大な農地が広がっているのはわかりますね。まさにデッカイドー。

f:id:sticknumber31:20200820231258j:plain

扇ヶ原からさらに進んでいくと、然別湖に到着します。

この界隈では唯一の自然湖らしいです。

北海道の湖界隈の中では割とマイナーな方じゃないかと思うのですが、

f:id:sticknumber31:20200820231626j:plain

実は結構いい温泉が出ています。ホテルは1軒だけ存在し、これはそこの無料の足湯コーナーですが、時間があればガッツリ浸かりたかったね。見た感じ、なかなかの含鉄・強塩化物泉ではないかと。遊覧船もあるのだが、これも時間の都合でスルー。

f:id:sticknumber31:20200820232426j:plain

足湯からのロケーションも最高やね。意外に穴場ホテルの様な気がする。

f:id:sticknumber31:20200820232537j:plain

然別湖は透明度がそれほどあるようには見えなかったが、なんすかこの魚群リーチは?

ホテル側が餌付けして、客に出す晩御飯にでもしてるのかな・・・?

f:id:sticknumber31:20200820232740j:plain

今回はこの湖畔を左側から時計回りに爆走して北上し、糠平湖を目指します。

f:id:sticknumber31:20200820232927j:plain

そんなわけでホテル前についたわけですが、わかりますかね?

普通にエゾジカが闊歩してるんですよここ・・・。

f:id:sticknumber31:20200820233106j:plain

1919年開湯ですから、丁度101年目なんですね。

ベルサイユ条約とかの年だから、結構激動の時代に開湯されてます。

f:id:sticknumber31:20200820233446j:plain

毎分40Lって意外に少ないですね・・・。

f:id:sticknumber31:20200820233706j:plain

こちらは足湯用の源泉。糠平温泉も他の温泉地と同じように公園やら遊歩道がありまして、足湯は公園の中にあります。

f:id:sticknumber31:20200820233902j:plain

ネイチャートレイルってのが自然散策路みたいな感じですが、然別湖をスルーした分、今回はこのネイチャートレイルに挑戦しました。たまには歩いて汗かかんとな・・・。

f:id:sticknumber31:20200820234209j:plain

散策道を歩くとこの橋梁に到達します。

この界隈では有名な鉄道遺構ですよね。糠平から幌加の辺りにかけて、ここ以外にもいくつもの橋梁跡が残されています。自分はあんまり興味ないので、フーンって感じですが。

f:id:sticknumber31:20200820234403j:plain

下から撮ってみたけど、イマイチだねこの写真。

f:id:sticknumber31:20200820234724j:plain

ちなみに上を歩く事も出来ます。何かが出て来そうなロケーションよなぁ。

RPGだと絶対イベント起きる奴や。

f:id:sticknumber31:20200820234843j:plain

橋の上からは糠平湖が見えたので、歩いて湖畔を目指すことにしました。

f:id:sticknumber31:20200820234956j:plain

もしかして深刻な水不足なのでは・・・?

然別湖と比べても明らかに水量が少なく、湖畔感全く無し!!

あとクッソ暑い日だったので虫が多すぎ。まぁでも結構歩いて汗だくになったので、この辺りで引き返してホテルの風呂に入る事にしました。

 

総評

f:id:sticknumber31:20200820235308j:plain

混浴露天風呂。無人なのを確認して撮影。

f:id:sticknumber31:20200820235415j:plain

ロケーションはマジで云う事ない。渓流沿いの露天風呂。温度は結構高く、汗流してサッパリするつもりが、更に汗がジワリと出てくる。

f:id:sticknumber31:20200820235836j:plain

この透明度よ。最初入った時は単純泉だと思ったが、ギリギリ1000mg/kgの枠を超えており、ナトリウム/塩化物・炭酸水素塩泉である。でもほぼ単純泉だねこれ。

f:id:sticknumber31:20200821000039j:plain

こちらは内湯&露天。微かに硫化水素の香りがしたので成分分析表を見直したら、確かに僅かですが硫化水素がガス型、イオン型ともに検出されてましたね。

59℃の源泉を熱交換しつつ掛け流しなので、浴室内にはムワッとした熱気が漂っていた。あと、地味に水風呂もスバラであった。

f:id:sticknumber31:20200821000746j:plain

開湯当初からの変遷が見れる案内もあった。

 

ロケーションなんかも含めると、透明な湯でこのクオリティはなかなか評価が高い。

蟠渓温泉の湯に近い印象も受けたが、若干硫黄の香りがするのでその辺が個性の違いを感じる。ともかく、道内でモールや泥炭の混じらない湯は貴重なので、その上で掛け流しをしているこの施設は高く評価したい。

 

美食

f:id:sticknumber31:20200821000717j:plain

旅館メシ。グレードアッププランだったが、意外にあっさりとしたものだった。

串揚げのアブラにエビの殻突っ込んで素揚げにして食ってやったわガハハ。

f:id:sticknumber31:20200821001018j:plain

清美、怖いでしょう。

いや、普通に美味しかったですよ。

f:id:sticknumber31:20200821001151j:plain

朝もまぁこんな感じで可もなく不可もなく。

贅を尽くすという感じではなかったが、まぁ温泉面は大変良かったので満足しましたワン。

141・登別温泉 さぎり湯

温泉

f:id:sticknumber31:20200807234227j:plain

言わずと知れた地獄谷。第一滝本館は主にここの源泉を使った浴場を展開しているが、適正な温度に保つために金蔵の湯以外は加水してある。

今回は温泉街の中にあるさぎり湯という公共浴場のレポート。

 

成分分析表

f:id:sticknumber31:20200807234538j:plain

登別温泉を代表する一号乙泉のスペック。意外に塩分は濃くなく、酸・鉄・硫黄の特殊成分で勝負をしている技巧派。しかしこれらの要素はかなり強い浴感があり、ガッツリとキマる系のハイパワー温泉である。低張泉故に細胞への浸透性も高く、その事がむしろこのお湯の力を高めている感すらある。

f:id:sticknumber31:20200807235126j:plain

そしてこちらは鉱泥の豊富な目の湯源泉。白濁だが第三鉄も豊富で、色は若干黒い。

この強烈な硫化水素の量を見よ!!そのままの源泉だと硫化水素中毒で死者が出るレベルなので、恐らく処理(直源泉ではなく、プールされている等)はされていると思います。加水もあるか?

 

概要

f:id:sticknumber31:20200807235817j:plain

まぁ言わずと知れた登別温泉です。

北海道が誇る最大の温泉場で、地獄谷から湧く多数の源泉が特徴。

私も色々な温泉場に足を運びましたが、北海道内ではやはり泉質、エンターテイメント性で総合的に断トツで1位の温泉地です。クマ牧場も地味に面白いし。

f:id:sticknumber31:20200808000308j:plain

地獄谷方面から見た第一滝本館はこのように見える。男性の露天風呂が丸見えなのだが、まぁ遠いから多少はね?逆に言うと、第一滝本館ではこのロケーションを見ながら露天風呂に入れ、しかもお盆に日本酒浮かべながら浸かれるんだからマジで最&高なわけですよ。今回はさぎり湯の紹介だけども。

f:id:sticknumber31:20200808000531j:plain

こちらは地獄谷にある鉄泉の写真。若干青く染まっているのは恐らく銅ではないかと思いますが、鉄や銅は結構色々な成分と反応して様々な色を呈するので、推測に過ぎません。黒いのは間違いなく硫化鉄ですね。

目の湯も白濁ながら若干の黒みがかった鉱泥を含むので、登別温泉は硫黄泉であると同時に鉄分も豊富な温泉な事が判ります。まぁそれも源泉次第ですが。

f:id:sticknumber31:20200808001331j:plain

地獄谷を流れる川はこのように言おうと各地質の成分が反応して様々な色を呈しています。茶色いのもアレは酸化鉄ですね・・・。

f:id:sticknumber31:20200808001511j:plain

登別温泉の面白い所は、地獄谷以外にも奥の湯や大湯沼といった巨大湧泉地があるという事です。今回は鈍った身体に活を入れるべく、地獄谷散策路からこの大湯沼まで歩いて回りました。(それほど距離はないが、結構きつい。トータル3km位。)

f:id:sticknumber31:20200808001911j:plain

奥の湯。基本的に硫黄が豊富で、やはり温泉らしい白濁とした色を呈しています。

やっぱ温泉といえばこの色だよなー。

f:id:sticknumber31:20200808002024j:plain

大湯沼の崖からはこのように噴煙と共にお湯がぶしゃあああ!と噴き出して沼に注がれていました。あぁ、これが産まれたての温泉・・・。

f:id:sticknumber31:20200808002206j:plain

大湯沼は縁の辺りは一見足場があるように見えるのですが、鉱泥の溜まったぬかるみなので、下手に足を踏み入れるとそのまま抜け出せなくなって骨まで溶かされてしまうという、まさに地獄。そもそも表面温度で50℃ほどあるそうで、浸かればあっという間に火傷で死んでしまいます。深さも22メートルほどあるらしく、怖すぎますね・・・。

f:id:sticknumber31:20200808002510j:plain

これが天然足湯と呼ばれる場所ですが、大湯沼から渓流に流れ込んだ源泉がそのまま足湯として利用可能になっています。

大湯沼からは下流のホテルに引き湯され、加水ではありますがあの沼の源泉がそのまま大浴場の湯として利用されています。恐らく野口観光のホテルとか、石水亭辺りはこの大湯沼の源泉なんじゃないでしょうか。立地的にも近いし。

 

総評

f:id:sticknumber31:20200808002844j:plain

こちらが今回入ったさぎり湯の目の湯源泉浴槽。普段は人でごった返してますが、閉店間際の時間で撮影させてもらいました。白濁ながら少し黒みがかっているのが特徴です。噴湯口の下には少量ではありますが、鉱泥がたまっています。

f:id:sticknumber31:20200808002954j:plain

こちらが一号乙泉の浴槽。こちらは目の湯に比べると微かに白が濃い。こっちにも鉱泥は溜まっています。

f:id:sticknumber31:20200808003231j:plain

もう止まってますが、こちらがジャグジー。このジャグジーが実はこのさぎり湯の最大の特徴といってもよいだろう。

 

さて、登別温泉で最も源泉の状態が良いのは何処かと聞かれたら、第一滝本館の大浴場の一部にある金蔵の湯が完全空冷の掛け流しを達成しているのでそれが該当します。でも小さいんですよね、金蔵の湯。そもそも第一滝本館は日帰り入浴でも2000円位するし。

 

一般的大浴場として、加水率が低く、湯の良さを最も残している温泉はやはりこのさぎり湯が該当するかと思われます。源泉温度が非常に高いので加水はあるかもしれませんが、それでも色々なホテルの風呂に入ってきた中で、私が感じる濃い源泉はここ。

湧出口の下に鉱泥が溜まりまくっているのが何よりの証拠です。泉質は分析表の所でも書いたようにガッツリ決まる系の硫黄・酸・鉄に加え、さらにラドンも含んだ放射能泉の要素も残しており、とにかくガツンと決まる系、疲れる系の湯である。

 

しかし疲れる湯ながら、このさぎり湯は水風呂の他に大正義の極ぬるジャグジーという存在があり、地元民はその使い方をしっかり理解している。即ち、内湯に浸かって生じた疲労を、このかなりぬるい(ほぼ温水プールくらいの温度)ジャグジーに浸かる事でクールダウン&休憩し、そして交代浴を繰り返すのである。私はもう何度もこのさぎり湯には入りに来ているが、このジャグジーだけは常に満員で、空く事がほぼない。なまじぬるいので各々の滞在時間がおのずと長くなり、占有率が高くなってしまうのである。みんな譲り合おうね!!(威圧)

 

その代わり水風呂の占有率が低いので、ジャグジーが空かない時はこの水風呂を使うとよいだろう。とにかく酸性度と硫黄分の濃いここの温泉は、浸かってしばらく経つと皮膚表面でヒリヒリと弱炎症を起こしている事が実感できるようになる。このヒリヒリ感、火照りをこのジャグジー、或いは水風呂で冷やすのである。水温もやや低めなので、皮膚が締まりビシッと整う感覚が味わえるはずだ。

 

こうした強い湯の良い所は、水風呂との交代浴で神経を刺激し、精神をスピリチュアルな領域へと誘ってくれる。そらもう、浸かるドラッグと呼ぶに相応しい。

 

登別温泉は散策路も豊富なので、早めにホテルにチェキラして、ガッツリ汗をかいて歩き、飲み放題バイキングでガンガン飲み食いして、そして〆に温泉でキメるというのが最高の過ごし方といえる。湯治の基本やね。

 

ちなみに今回私が泊まったのはこのさぎり湯からほど近い、登別万世閣という宿でしたが、ここも一号乙泉を掛け流ししている大浴場を持っていたので、ホテルに入ったのにわざわざ公衆浴場に行くのはどうもなーという人は、登別万世閣なら同じ源泉を堪能する事ができます。お湯の扱い方も悪くなかったです。

 

美食

f:id:sticknumber31:20200808010249j:plain

今回は登別万世閣のバイキングでしこたまジンギスカン食べてたわけですが、バイキング故に写真は撮ってなかったので、苫小牧の味の大王のランチメニューを紹介しときます。前も載せたかもしれんけど。

カレーとラーメンって、一見カレーが全てを台無しにしてしまいそうな印象を受けるが、大王のカレーラーメンはそこら辺が絶妙なハーモニーで掛け合わさっていて、気付けばスープを完飲してしまっているという恐るべきカロリーモンスターフード。

セットの炒飯がまたパラりと焼きあがっていて美味く、やはり炒飯の美味い店はラーメンも美味い!!

 

味の大王は一応登別温泉街にも店舗があるのだが、あんまり開いてる印象がないので、もし開いていたらチャレンジしてはどうだろうか。

140・黄金温泉(ニセコ)

温泉

f:id:sticknumber31:20200806222932j:plain

施設外観。ニセコエリアの温泉ではあるんですが、実は蘭越町

温泉のエリアとしては昆布川温泉が近い。

 

成分分析書

f:id:sticknumber31:20200806224125j:plain

成分総計としては3563mg/kgながら、含まれている成分の種類の豊富さに注目。

f:id:sticknumber31:20200806231417j:plain

二源泉の混合泉なんすねぇ。

 

陽イオンはNa⁺がメインだが、陰イオンはCl⁻とSO4²⁻とHCO3⁻がほぼ均等に配分。

塩化物泉でもあり、硫酸塩泉でもあり、重曹泉でもあるという多機能温泉。

地味にガス型、イオン型の両方で硫化水素が検出されてる所も好感度高い。

源泉が加温不要の40.8℃ってのも良い。とにかく良い事づくめの温泉。

 

概要

f:id:sticknumber31:20200806230112j:plain

ニセコエリアで切り取ってみましたが、黄金温泉はこの辺り。

スキー場エリアとはちょっと離れており、昆布川温泉の辺りになります。

国道沿いではないので、地図を確認しながらでないと道に迷うかも。

 

f:id:sticknumber31:20200806230421j:plain

ニセコには色々な温泉が湧いており、実は自分もまだ全部把握できておりません。

このエリアだけでも黄金温泉以外にこれほどの温泉施設があるわけですよ。まだ行った事ない温泉が沢山あるね。

 

エリア別に分けると、湯の里温泉、比羅夫温泉、昆布川温泉、駅前温泉、雪秩父温泉、五色温泉倶知安温泉、そして岩内方面にワイス温泉など、とにかく広いエリアで温泉が出ている事が判る。ニセコの温泉は泉質面でも様々な顔を見せるので、温泉マニア的にも興味深いエリアである。

 

総評

f:id:sticknumber31:20200806231606j:plain

個人経営の温泉らしく、脱衣所からしてプレハブ感があって渋い。

f:id:sticknumber31:20200806231715j:plain

沢山の旅人達によるメモ紙が秘湯感ある。秘湯って程山奥にあるわけじゃないんだけどね。

f:id:sticknumber31:20200806232003j:plain

今回は内湯のみ撮影。この温泉は3つの泉質を併せ持つ温泉という話はしたが、お湯そのもの曝気状態によって3つの顔を見せる事が判りました。

 

即ち、

1.露天非加温浴槽(透明)

2.内湯加温浴槽(透明だが若干白濁・上記写真)

3.露天加温浴槽(白褐色・底が見えない)

の順で透明度が低くなっているのです。

 

写真でも分かる通り、この内湯は多少の白濁が見られますが、恐らく加温の為と思われます。源泉40℃は少しぬるい湯なので、内湯と露天のメイン浴槽は加温してあるわけですな。曝気時間の長い露天の浴槽は更に混濁が強くなり、浴槽の底が見えない程度にに濁っていました。

 

一方で、露天にはもう一つ手付かずの生源泉風呂があり、面白い事にこれが全くの透明なお湯なんですわ。しかもこの生源泉、入った瞬間にチン毛が泡の樹氷と化すという、事実上の高濃度炭酸泉でした。成分分析書では炭酸ガスはそれほど含まれてなかった筈ですが、この温泉はスペック以上に濃い炭酸ガスを含んだ温泉か、或いは絶妙なイオン配分で炭酸水素イオンが活発に炭酸ガスに変化しているかのどちらかだと思われます。

 

浴槽の縁が石灰華の結晶で覆われたこの源泉浴槽は、その底から絶えずフローされる源泉に強い金気臭があり、同じく炭酸泉として優れた湯ノ岱温泉に似た香りがあった。一方で、白濁した露天風呂は見た目にも同じニセコ鯉川旅館の温泉とよく似た印象を受けた。地理的にも近いので、もしかすると黄金温泉は鯉川温泉とは兄弟湯のような関係に当たるのかもしれません。鯉川温泉はもう少し山側にあって、源泉温度も高かった筈なので、成分と泉温の比率がこの素晴らしい浴感を演出しているのかもしれない。

 

事実上の天然高濃度炭酸泉であるこの黄金温泉は、浴後も強烈に発汗があり、確かな血管拡張作用を実感する事が出来た。黄金比を体現したこの黄金温泉、キマる系ではないがゆったりと長湯できるので、本当に良かったです。

 

SSSランクあげたい。

 

美食

ニセコは高いので)ないです。

本当は道の駅でフライドポテト食べたんだけど、写真を取り損ねた。

139・黒松内温泉

温泉

f:id:sticknumber31:20200804231534j:plain

施設外観。施設名がぶなの森といい、まぁ名前の通りブナの森に囲まれた、いかにも北海道らしい温泉です。なかなかの公金がブッ込まれているのか、館内もとてもきれい。

 

成分分析表

f:id:sticknumber31:20200804231715j:plain

水酸化物イオン(OH⁻)と微弱ではあるが硫化水素イオン(HS⁻)が検出されており、比率は2:1。pHは9あり、ツルツル系の王道の様なアルカリ性単純泉

ムホホ、良いですな。そしてやはり炭酸水素イオンが検出されてますね。北海道の温泉の特徴。

 

概要

f:id:sticknumber31:20200804232354j:plain

寿都の湯別温泉からハシゴ湯で訪れた黒松内温泉

札幌からはやはり遠いですね。道内では飲料水を販売している事で知られている黒松内は、湧水のきれいな所としても有名です。

アクセスも日本海側から来るか、内陸の羊蹄山付近を走り抜けて来るか、或いは太平洋側から来るかの3ルートがあり、ある意味函館方面をゆるりと旅する際の中継点としてはいいかもしれません。

ちなみにこの黒松内、温泉そのものも良いのですが、車でちょっと移動するだけで、

1.ウニも牡蠣も美味い寿都(温泉が良い)

2.スキーなどアクティビティも豊富なニセコ(温泉が良い)

3.新幹線の新駅予定地でカニ飯も旨い長万部(温泉が良い)

のハイパー温泉トライアングル地帯の中央に位置するため、案外住めば都かもしれません。そういえば新宿のカプホの風呂で全国的に名の知れた二股ラジウム温泉もこの近くなので、実際に住んだら飽きのこない温泉ライフが楽しめそうですね。まぁかなりの豪雪エリアですけど。

 

総評

f:id:sticknumber31:20200804233513j:plain

脱衣所入り口。通常の浴場の他、岩盤浴、家族風呂と充実のラインナップ。

f:id:sticknumber31:20200804233616j:plain

浴室も近代的で使いやすい構造です。

中には内湯の他、ヒノキの湯、外に出ると露天風呂にサウナ、水風呂も完備。

 

とにかく水質に定評のある黒松内温泉。温泉自体も透明度が高く、泉温が低く加温ながら、pH9となかなかのアルカリ性泉でした。ヒノキ湯に浸かれば尻がツルりと滑り、あぁこのツルツル感、良い単純泉だぁ!と感動を覚えましたよね。

 

若干の硫化水素も含みますが、この濃度ではほぼ硫黄感は無し。お湯の味は塩味もない甘い系ですね。とにかく湯の透明度が素晴らしい。露天のロケーションも良く、森林の中でゆったりと湯を楽しめる環境になっていた。水風呂の水質も素晴らしく、この辺の評価も高い。水風呂の水質で感動したのは、ここの他には北海道だと十勝岳吹上温泉の白銀荘のお風呂くらいかな。本州だと富士山麓の溶岩温泉とかも。

 

温泉も良いけど、とにかく水のキレイな所は水風呂がいい。流石はミネラルウォーターの採水地だけの事はありますね。

 

美食

今回は素泊まりだったのでなし。

昼に寿都で散々食べたからね。

138・寿都温泉ゆべつのゆ

温泉

f:id:sticknumber31:20200803203118j:plain

施設写真撮り忘れた。代わりに簡易スペック表。

f:id:sticknumber31:20200803203346j:plain

何とここは2つの源泉を持っている。

 

成分分析表

f:id:sticknumber31:20200803203827j:plain

これは美肌の湯の方の成分ですね。カルシウムメインの塩類泉だが、イオン型の硫化水素が含まれている事に注目。従って、肌触りがツルツル系。

f:id:sticknumber31:20200803204308j:plain

より深く掘ってあるこちらの源泉は、その分地熱が高い。泉質も硫化水素が消えて強力な塩類泉となり、よりガツンとキマる湯に。

 

概要

f:id:sticknumber31:20200803204752j:plain

じゅ・・・寿都って何処だよ問題。札幌と函館の中間?にしては日本海側にあるので、まぁ遠い。それでも、最近できた後志道のお陰で大分近くなりました。

f:id:sticknumber31:20200803205011j:plain

寿都港は道の駅とも併設になっているので、立ち寄るには良い場所。しかしそもそもアクセスが悪いので、今でも狙ってくる人しか来てないでしょう。積丹半島からも大分距離ありますからね。

f:id:sticknumber31:20200803205302j:plain

これは実際に使われていたニシン漁の舟らしいんですが、江差から北上してきたニシン漁師の子孫が住んでいると思われます。寿都は道内でもなかなか有名な漁港で、ニシンの他にもホッケやシラス、牡蠣の養殖もやっていてなかなか海産物が上手い所で有名です。

 

総評

f:id:sticknumber31:20200803205607j:plain

まず脱衣所で気になったこの教授の話。

「身体の疲れをとる力(還元力)」とあるが、いわゆる酸化還元電位(ORP)の事だと思われる。最近、温泉業界の中でもこのORPを泉質指標としてアピールにする動きがあるのは知っていたが、身体の疲れを取る事とは無関係です。(断言)

この学会の活動、ちょっとAM菌っぽいエセ科学な傾向があるんだよなぁ・・・。

 

ORPはいわゆる、お湯の鮮度の指標だと思って下さい。電子の放出のしやすさ、受け取りやすさを表す指標であるので、ORP値の高い湯は、そのままお湯そのものが曝気による酸化(劣化)を受けやすい(逆に言えば還元力が高い)という事を意味しています。地表から出る前の温泉に含まれる原子は、地面の圧などによって地表とは異なる平衡状態にありますから、湧出してその圧を逃れた原子は、地表の気圧や空気中の酸素などによって酸化され、地表下での平衡状態に落ち着く事になるのです。

これを「お湯の草臥れ」と私は称していますが、要は生魚を外に置いとくと段々劣化するよ、ってのと似たようなもんだと思って下さい。

 

この劣化(草臥れ)は急速に進行しますので、源泉の貯蔵環境や源泉から浴槽までの距離、循環等の影響によって大きく変化します。仮に湯に還元力があったとしても、人間はそれをお湯に浸かる事=経皮的にしか恩恵を得る事は出来ませんので、体内深部に発生した活性酸素の除去などにはほぼ影響しない訳です。当然、疲れの物質である乳酸が消える筈もないです。疲れを取るという点では、まだTCAサイクルを回すビタミンを含んだリポDアリナミンを飲む方が説得力があります。それどころか、こんな強力な塩類泉ですから、むしろお湯慣れしてない人に対しては得も言われぬ疲労を感じさせるはずです。

 

皆さんも安易なニセ化学に騙されないように。

お湯そのものが悪いわけではありません。

要は、入り方、使い方、宣伝の仕方の問題です。

 

使い方という意味で云えば、この温泉は湯の鮮度が良い事は確かです。

湯の使い方に関しても、それを活かそうというこだわりが随所に見られました。

f:id:sticknumber31:20200803211916j:plain

この図からも判るように、水道水の浴槽は塩素殺菌を行い、温泉の浴槽には紫外線による殺菌と、殺菌方法を使い分けていますね。紫外線殺菌だと塩素消毒の様な匂いはないから、その辺もこだわりだと思います。紫外線って、塩素と比べて殺菌力はどうなんか知らんけど・・・。

 

あと、内湯の美肌の湯、癒しの湯はそれぞれ掛け流し浴槽を個別に用意しています。湯は各浴槽それぞれ舐めてみましたが、恐らく露天や循環浴槽は2種の温泉を混ぜて使ってますね。(塩気で癒しの湯が混じっている事が直ぐに判る)

硫化水素泉である美肌の湯は微かに青みがかった透明な湯で、濃い塩類泉である癒しの湯は濁りのある薄茶色の湯でした。見た目でもすぐにわかりますが、美肌の湯は殆ど塩味を感じないのが鑑別のポイント。

 

浴感ですが、美肌の湯はやはり硫化水素イオンによる若干のツルツル感があるが、基本は塩類泉である事と、pHもそれほどアルカリに寄ってないので、まぁ多少ツルツルしてるって程度の浴感でした。これに対して癒しの湯は強い塩分がダイレクトに感じられるキマる湯で、濃い塩分で指の間がニュルニュルとしたり、肌自体にねっとりと張り付くような浴感がありました。

 

総合的には、浴槽が広く、湯を加温の上に少量フローしている美肌の湯は若干の湯疲れを感じるのに対し、小さな浴槽で加水&加温なしで提供される癒しの湯では後者の評価が高い。この辺の湯の使い方は、この施設が一定のこだわりを持って温泉を扱っている事を感じれましたね。

 

泉質自体も北海道内にしては炭酸水素イオンが少なく、硫酸塩が豊富な点も評価したい。北海道内ってなかなか硫酸塩泉がないのよ。ある意味貴重。

 

美食

f:id:sticknumber31:20200803213858j:plain

道の駅で食べた寿都ホッケ飯。新ご当地グルメって書いてあるから、町おこしの一環で考案されたメニューっぽいですね。蒲焼の様な味付けで、まぁ普通に美味い。セイコーマートのサンマ蒲焼重の上位版みたいな感じ。

f:id:sticknumber31:20200803214041j:plain

寿都の牡蠣、実は時期的にはもう終わりだった筈だが、漁協前のイートインにあった。

この時期の牡蠣は白子が乗ってクリーミーでウマイ。厚岸も牡蠣は春が旬だというので、春先から夏になる前位が丁度良いのだろう。

f:id:sticknumber31:20200803214428j:plain

バフンウニはこの時期、日本海側は稚内にかけてあちこちで採っているので、寿都でも食べてみましたが、かなーり美味かった。磯臭さも全くなく、上質で甘い口当たり。

1杯4000円しましたが、それでも積丹の相場に比べたら安いと思いました。

やっぱホッケとウニの勝負じゃウニが勝つわ・・・。

 

あと、本当は生シラスも有名なのですが、もう時期が終了したため食べられず。

機会があればそのうちチャレンジしたいですね・・・。