温泉美食倶楽部活動報告書

温泉の成分分析表に興味ある人向け

85・八甲田温泉(龍神の湯・ミルクの湯・ラムネの湯)

温泉

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施設外観。

青森市内から車で約40分。それほど遠くはないが、AUの電波は入らなかった。

しかしここの湯の素晴らしさは広まり続けているようで、駐車場は外来入浴の車で溢れていた。

 

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これは今回再訪したラムネ湯の写真。壁面に張り付いた硫黄化合物が蛍光するかのように緑色に輝いている。湯に漬かると全身を泡が覆い、泡の境界が光に反射して緑色に輝くので、マグネットスーツを着たサムス・アランみたいでちょっとカッコイイ気分になる。

 

成分分析書

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これが龍神の湯源泉。64℃もある高温泉だが、中性。鉄を含んでおり、赤茶けた湯の色が龍神っぽさを感じさせる。

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続いてミルクの湯。ガス型の硫化水素と1200ppmを超える超高濃度炭酸泉だ!スーパー銭湯で人工的に作るレベルの炭酸ガスが天然で溶存している。しかも源泉35℃がそのまま掛け流されている。

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こちらもミルクの湯らしき成分表だが、源泉が39℃と少し暖かいため、露天風呂に利用されている源泉だと思われる。pHはどちらも2前後と非常に強力。

 

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そしてラムネ湯源泉。ミルクの湯に近い泉質だが、硫化水素ガスは最も少なく湯が白く濁っていない。緑色の蛍光を放っているのはこの湯だ。

 

概要

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新幹線のお陰で随分と行きやすくなりました。

青森市内から国道を酸ヶ湯へ向けて走ると、途中で十和田に抜けるルートが出てきますが、この八甲田温泉はその十和田方面に抜ける道の途中にあります。

 

青森県の温泉といえば伝統の混浴方式を貫くヒバ千人風呂の酸ヶ湯温泉が有名ですが、その手前に古くから存在していたこの八甲田温泉は、ここ数年と思われるリニューアルで酸ヶ湯の人気を食う勢いで勢力を伸ばしている温泉です。

 

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元々の古い温泉旅館施設をそのまま残しつつ、巨大な木造の湯殿をこしらえたこの旅館は、秘湯感と共に快適な入浴体験を味わう事が出来る。

 

最近では有名になりすぎた感のある酸ヶ湯はいつも人でごった返していますが、ここはまだ穴場的な雰囲気を残していて、これから爆発的に人気が出る温泉施設だと思われます。それくらい湯の質が凄い。

 

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宿泊棟そのものは古いのだが、湯屋だけは新しい。

この旅館には大きく分けて二つの浴室が用意されていて、3つの源泉が楽しめるのがこの巨大な湯屋「秘湯 龍神の湯」だ。こちらはラムネ湯と違って洗い場の揃ったメイン浴室である為、利用客が多く写真は撮れていない。

 

中は総ヒノキ造りの洗い場と小浴槽(ミルクの湯・源泉35℃の方)と大浴槽(龍神の湯・源泉63℃・加水)に分かれている。洗い場設備も新しく、カランは酸性の強さで少し腐食こそしているものの、ストレスのない入浴ができる。

露天風呂にもミルクの湯と龍神の湯があったので、恐らく露天の方のミルクの湯は39℃源泉の方だと思われる。(35℃掛け流しだと明らかに寒い筈)

 

ラムネの湯の方はこちら

sticknumber31.hatenablog.com

でも紹介しているので割愛するが、別の建物での入浴となる。

料金は両方入って1000円なのだが、惜しまず是非両方味わっていただきたいところ。

 

総評

前回は時間が無かったのでラムネの湯だけ足早に入って直ぐに退散したという経緯から、詳しい評価を下す事が出来なかった訳だが、今回の再訪ではこの温泉のレベルの高さを改めて思い知る事が出来た。

 

まず龍神の湯。

登山客などに嬉しい温まりの良いナトリウム・カルシウム/硫酸塩・炭酸水素塩泉で、それ程成分の重くないこの中性の湯は、その名前とは裏腹にこの4つの源泉の中で最も肌に優しい。云わば初心者向けの湯。

赤茶けた鉄の色が雄々しい炎を吐く龍を連想させ、白い湯とは紅白の湯として非常に見栄えも良い。ミルクの湯がぬるいので、熱いの好きも満足の一湯だ。

 

次にミルクの湯。

内湯の方のミルクの湯は完全に35℃源泉の掛け流しであり、最初に入るには温すぎる温泉だった。先ずは龍神の湯で身体を温めてから入るのが良いだろう。

 

しかし温めの湯とは裏腹にこのミルクの湯は非常に酸性度が強く、長湯の反動が最も出やすい湯である。また、ラムネの湯以上に豊富な炭酸ガスを含んでいる事から、知らない内に全身の血管は激しく拡張してしまいます。

 

それにより硫化水素の経皮的吸収量はされに増える事となり、これもまた強力な酸性と並んで湯あたりの原因となります。長旅の途中で入るライダーなどは、その後の旅程にも影響が出る事を考えると是非宿泊で利用してもらいたいものです。

 

滅多に湯あたりしない自分がたった1回の入浴で湯あたりしましたからね・・・。

露天にも同じように熱めの龍神の湯とぬるいミルクの湯があるので、病気による湯治客や疲れのある人は湯あたりのリスクは常に頭に入れておくべきだろう。

 

再訪でラムネの湯も入りましたが、湯の美しさはこちらが一番。緑色に美しく輝くあの湯が一体何の成分によってあのような現象を引き起こされているのか、未だによく分かりません。しかしこちらも強力な酸性泉ゆえ、気持ちよいからといって長湯すると同じく湯あたりのリスクが高くなります。濃度は低いとはいえ、かなり硫黄の匂いがしてましたので・・・。

 

さて・・・総評としてこれらの個性に富んだ4つの源泉は、いずれもが一級品の泉質と抜きんでた個性を持ち合わせている事から、泉質ガチ勢として、ここ最近の俺的温泉ランキングの中でSSSの最大評価を与えても差支えが無いと判断しました。

 

とにかく温泉として全てが異例。

強力な酸性泉+強力な炭酸泉の融合は日本広しといえども恐らくここだけではないでしょうか?これに付け合わせとばかりに含鉄中性泉が出ていて、しかも市内から車で1時間もかからないのだから、青森県温泉勢のレベルの高さはホンマにえげつない。

 

美食

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青森市内の飲み屋街を歩けば、そこで食べられる海の幸は北海道にも引けを取らない。

写真はマグロセットと、八戸産の〆鯖。

 

中でもマグロは絶品で、

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解凍品ながらこのトロの差しは本当にヤバい。

口の中でバターのようにとろけた。

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今回は八甲田温泉だったので、日本酒も「八甲田花吹雪60」。

甘みが薄くキリっとしていて、マグロとの相性が最高だった・・・。

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二軒目では初サンマとメバルを田酒で頂きました。

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この他、甘みの強い嶽きみの天婦羅。

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地元でしか出回らない、市浦牛のステーキ。

この牛は出荷が少なく、今年は県内6頭しか出回ってないんだってさ。

これはマジで美味かった・・・いや、美味すぎた。

 

温泉と美食の地において、青森県の持つこのポテンシャルの高さは、今一度再評価されるべきだと思う。

 

ふぅー満足満足。