温泉美食倶楽部活動報告書

温泉の成分分析表に興味ある人向け

45・野中温泉(雌阿寒温泉)

温泉

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施設外観。冬季閉鎖あり。

新館と別館があり、ライダーなどに人気の模様。

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浴場の様子。奥にでかでかと「湯元」と、源泉湧出部位が書いてありますね。

素晴らしい。

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ドバドバと掛け流しの源泉。ぬるくもないですが、そんなに熱もないです。

硫化水素が豊富な湯ですが、ガス型に特化しているためか、白濁はしていません。

 

成分分析書

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拡大して遊離硫化水素を見てみてください。

なんと遊離硫化水素が28.5mg/kgという異常な数値を示しています。

硫黄泉を名乗るのに必要な硫黄含有量が2mg/kgですから、実に基準値の14倍以上もの硫黄を含んでいるのです。やっべぇ~↑

 

概要

野中温泉は阿寒湖温泉から車で30分ほどの距離にあり、にぎやかな温泉街よりも鄙びた秘湯が好きというマニア向けの宿です。

 

さて唐突ですが、野中温泉と云うのは実は別名です。本来は雌阿寒温泉と名乗った方が有名な温泉かもしれませんね。

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野中温泉の隣には潰れた旅館がぽつんと立っており、本来はあそこが雌阿寒温泉を名乗っていたようです。写真の下部に流れているのは、奥の旅館から流れ続けているかつての雌阿寒温泉です。

 

何故このような事になっているのかと云うと、あの奥に見える雌阿寒温泉では、この稀有な温泉が発する大量の硫化水素ガスにより、浴客が死亡するという事故が起きてしまったからなのです。

営業は停止・・・そのまま閉館となってしまったようです。

 

別の施設とはいえ、野中温泉も厳密には温泉地としての名称は雌阿寒温泉となっております。先程の成分分析書の通り此処の湯は今でも凄まじい量の硫化水素ガスを発しており、事故対策の為に浴室の窓は寒々しい秋でも開けてあります。

 

この温泉は他にも複数種の火山性ガスを含んでいるためか、脱衣所の時点で油っぽい匂いが充満し、軽い頭痛を覚えたのを記憶しています。最初は暖房の灯油の匂いかと思ったのですが、どうも温泉の匂いのようですね。

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雌阿寒温泉オンネトー温泉と呼ばれたりもしてるようです。

直ぐ近くにはこのような美しい湖が存在し、観光ついでに寄るにしても見ごたえのある所です。奥に見えるのが雌阿寒だけね。

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オンネトーの駐車場から歩いて30分ほどでオンネトー湯の滝を見る事も出来ます。

ここは非常にぬるいです。天然のマンガン床を守るため、入浴禁止です。外来種の魚とか放流するアホもいるらしいのですが、何故わざわざこんな所まで外来種を持ってくるんだ・・・?

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はえー、すっごいキレイ。(小並感)

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これが天然のマンガン床らしい。苔も多いし、眺めるだけにしておきましょうね。

あとこの辺は当然のようにヒグマも出るので、歩いてここまで見に行く人は自己責任で。

 

総評

個人的に道東で標茶温泉(モール)、川湯温泉(酸性泉)と並んで三大名湯の一つに挙げている温泉です。

強烈な成分とは裏腹に、湯の温度は源泉で43.2℃、窓も開けている事から浴槽時点では41℃程度に下がり、pHも5.8と弱酸性の入りやすい湯となっています。

 

源泉が目の前にある為、湯の活きもよく入った感じはサッパリとして非常に気持ちが良いです。とはいえこれは強力なガス型の硫黄泉、そして炭酸ガスも500mg/kgほど含んでおり、低温でありながら血管は十二分に拡張し、浴後は得も言われぬ疲れが全身を襲ってきます。

 

お湯自体の匂いはあまり無いのですが、しっかり硫化水素は吸い込んでいますので、あまり無理をした入り方はしないのが得策でしょう。

 

優しくも厳しい、北海道の大自然を象徴するような温泉ではないでしょうかね。

 

美食

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こないだ鹿肉のロースト載せちゃったので、今回はししゃも・・・かな。

この辺りは根室産のモノが出回るようで、阿寒湖温泉の飲み屋街などで食べる事が出来きます。

写真だと全く伝わりませんが、冷凍モノのシシャモとは別次元のシシャモです。

今まで食ってたシシャモはシシャモを名乗る別の何かだったという事が解るでしょう。

 

あと、番外編で・・・

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なんと阿寒湖温泉街の飲み屋で見つけた、まりもサワーです。

まりものような何かが沈んでいますが、正体は現地で飲んでみてからのお楽しみと云う事で・・・。