12・西桔梗温泉
温泉
建物内の源泉掲示
成分分析書
ナトリウム・カルシウムー塩化物泉
概要
西桔梗温泉は函館市内の外れ、北美原と桔梗地区の境目の農用地にポツンと存在している渡島地方最強のカルト系温泉である。
そもそも函館市が湯の川以外に数々の泉質の温泉を抱えた別府並の一大温泉地だという認識を持っている人は少ない。というか、当たり前のように温泉があるために、地元函館市民にもその特異さが全く周知されてないのである。
西桔梗温泉は市の外環を走る産業道路の外れにある農地にポツンとあるため、函館市民からも殆ど馴染みのない温泉である。見た目と中の設備のボロさも相まって、一度訪れた市民でもリピーターになるものは少なく、北海道の中でも怪しさ満点の超一流カルト温泉としての資質を秘めている。
入湯料もアホみたいに安く、300円台だった気がする。
総評
ナビ上では「西ききょう温泉グランド」などとスーパー銭湯チックな名前でヒットするのだが、建屋のボロさは折り紙付きで、中の浴室にはシャワーなどなく、浴槽に至ってはコンクリート製の土管という、マニアにとっては役満級の高得点を叩き出す設備となっている。
しかし、薬剤師免許を持つ温泉マニアとしてどうしても押さえておきたいのが、この温泉の持つ特異な泉質である。
成分総計で10.65g/kgというその濃さも海が近いこの地域にしては珍しい高張泉であるが、その成分のばらつきにも注目してもらいたい。
主たる成分であるナトリウム・塩化物イオンの他、1000mgを超える炭酸水素イオンと500mgを超える遊離炭酸ガスは、この湯がかなり強力な血管拡張作用を持つ炭酸泉であることが判るし、800mg以上の硫酸イオンはそれだけでも温泉の王様と評される硫酸塩泉としての資質を充分に秘めた泉質も兼ね備えている。
これらの成分に加えて、通常測定されない事が多いカリウムイオンの豊富さと、特筆すべきはフッ素、臭素、ヨウ素といったハロゲンイオンがぼちぼちの量測定されている点である。他にも、鉛、ヒ素、アルミニウム、亜鉛など、およそ飲泉には適さないような微量な元素も幅広く測定されており、如何とも形容しがたい、混沌とした泉質を持つ温泉なのである。
一体地下に何があるんだ・・・?
お湯の色は透明な茶褐色のモール泉(?)であり、実際にその色が化石植物による有機物の色なのか、微量に溶けた金属イオンによるものの色なのかは正直わからんが、多分匂いから判断して化石植物による色なんだと思います。
pHは弱酸性であり、肌を荒らすような湯ではないと感じたが、髪の毛を洗うのには少々成分がキツ過ぎる湯のようである。
なんせ生理食塩水よりも濃いお湯なので、一般的には重く、疲れる湯だと思っておくとよいだろう。
浴槽は前述の通りコンクリート製の土管であるが、内湯に3か所、露天に3か所と小分けにしてあるところが面白い。内湯も露天も温度で分かれており、露天風呂には1か所水風呂代わりのような地下水で薄められた冷たい浴槽もあった。長湯するのに冷たい湯は非常にありがたいので、シャワーがないのは残念だが、ここはポイント高い。
もちろん、加温循環などという金のかかる設備は一切ないので、カランの湯も浴槽の湯も全て、源泉と水だけである。
見た目のカルトさ以上に泉質のカルトさが際立つこの西桔梗温泉は、北海道でもトップクラスのマニア向け温泉である事は間違いないだろう。
美食
五稜郭にある炭火割烹・菊川で食べた、大間サザエである。
津軽海峡を挟んだ函館では、北海道らしいツブ貝の他、青森県側の海域からサザエが入ることもあるのだそうで・・・。
注:いつでも食べれるわけではありません。
海水の綺麗な大間のサザエは、身の香りも露骨に磯臭くなくて上品であり、かつ綺麗な海藻を食べて育ったサザエのワタが非常に美味い一品であった。
伊豆界隈でもサザエは好んで食べていたが、つぼ焼きならともかく、ワタまで刺身で出してくれるところは少なく、食べれたとしても臭みの方が強くてあまり美味いと感じたことはなかった。海水の差はサザエのエサの差に直結しているのかなー?とも感じた一品でした。
冷酒は地元函館米を青森で仕込んだというガスバリをお勧めする。安くて美味い。