番外編・成分分析書の読み方について
今更感があるわけですが、このブログでは基本的に温泉の紹介にできるだけ成分分析書を併せて掲載するようにしています。(読みづらいけど)
成分分析書から判る事(前半)
今回はその泉質が特殊な野中温泉
で解説します。
まず分析表の上半分。温泉を評価する上で重要なスペックが記してありますね。
①泉温・・・源泉の温度。
まぁ温度なんでみれば判るやろって話ですが、家庭の風呂が40-42℃位だとイメージしてください。温泉はその成分濃度によって普通の真湯と比べて熱を感じにくくなる傾向があるので、同じ温度でも家庭の風呂とは感じ方が違う事があります。
家の風呂で44℃にしてしまうと、入る時に熱ゥイッ!となる筈です。
あと、この温度は源泉部位での温度。源泉と浴槽との距離を考察してみれば、その湯が何処かで沸かしているのかどうかを推測する事ができます。
②知覚的試験・・・見た目や味の事です。
酸性が強ければ酸っぱく感じ、アルカリ性→特に単純泉であるほど甘く感じる傾向があります。蛍の歌とかでも云われてますね。こっちのみーずはあーまいぞーって。
これに塩類が入る事で複雑な味になります。塩化ナトリウム(食塩)ならば塩辛く、マグネシウムやカルシウムなど、それ以外のミネラルを含むとカン味と呼ばれる独特の味を呈します。
③pH・・・酸性&アルカリ性の指標です。
よもや教養のレベルなので特に解説しませんでしたが、pHは液体の酸性度・アルカリ性度を意味する指標です。
・pH1~2は胃液と同じ強さの酸
・pH7がちょうど中性で、それ以上はアルカリ性となります。
温泉の最高pHは12程度であるとされており、アルカリ性が強い程皮膚が溶けます。角質が溶けてヌルヌルとするため、アルカリ性泉はしばしば美人の湯と呼ばれます。
密度や揮発残留物はあまり気にしてません。
成分分析書から判る事(後半)
反射で少しわかりづらいですが、ここからが本番。
中央から左側が陽イオン・右側が陰イオンの分布を記してあります。
④陽イオン
・水素(H+)・・・pH値の基準となる元素であり、これが検出されると強力な酸性泉である事を意味します。
・ナトリウムイオン(Na+)・・・食塩の主成分。大体の温泉はこのナトリウムが主たるイオンとなります。水の表面張力を下げ、熱の伝わりを高めます。また、皮膚表面上の脂肪酸とくっついてコーティングし、保温効果を与えます。
・カリウムイオン(K+)・・・ナトリウムイオンに近い作用があると思われますが、こちらの方が粒子が大きい。
・アンモニウムイオン(NH4+)・・・これが多いとアンモニア臭がします。臭いですが、これはこれでレア成分です。身体に与える効能は不明。窒素化合物だけに何らかの効果はあると思うのだが・・・。地質学的にも興味深い成分。
・マグネシウムイオン(Mg2+)・・・ナトリウムと同じく皮膚の脂肪酸と結合してコーティング作用があると思われます。下剤効果もあり、その昔は湯の花が薬として利用されていました。
・カルシウムイオン(Ca2+)・・・マグネシウムイオンと同じくコーティング作用と、飲めば下剤効果があります。
・アルミニウムイオン(Al3+)・・・ミョウバンの元となる成分。皮膚のコーティング効果のほか、傷の回復を促す効果があると思われます。
・鉄(Fe2+またはFe3+)・・・皮膚関係への効果は不明ですが、湯の熱を皮膚に伝える効果に影響がありそうです。飲泉しても貧血にはあまり効果が無いと思われます。鉄を含む温泉は赤茶色になったり、硫黄と絡むと黒い色になったりします。
⑤陰イオン
・フッ素(F)・・・身体への影響はよくわかんないです。
・塩素イオン(Cl)・・・基本的に食塩の成分としてナトリウムとセットですが、ナトリウムや他のミネラルが少ない場合は塩酸の一部だと思って下さい。
・水酸化物イオン(OH)・・・アルカリ性の指標です。これが検出されると相当なアルカリ性だという意味になります。まず検出されないので、省略されている事も。
・硫化水素イオン(HS)・・・液中にイオン化した硫化水素ガスです。相当な高い圧が掛からないと硫化水素はイオン化しないため、珍しい成分と云えます。これが溶けると液の色が緑色とか水色とか、鮮やかな色になる事が多いです。
・チオ硫酸イオン(S2O3)・・・硫黄の総量の指標としてカウントされます。余談ですが、イソジンの茶色い色を消します。
・リン酸イオン(H2PO4)・・・あまり検出されません。詳細な効果は不明ですが、人体中ではエネルギーを伝えるリンの提供やpHの調整役として存在しています。
・硫酸イオン(SO4)・・・硫酸は非常に水分子と結合しやすく、保湿作用があるものと思われます。飲むと下剤効果があります。
・炭酸水素イオン(HCO3)・・・重曹の主成分です。皮膚を洗浄したり、血管の拡張作用があります。これが多い温泉は液性がアルカリに偏る傾向があります。
・炭酸イオン(CO3)・・・これはイオンがどうとかよりも、ガス成分の方に意味があります。
⑥その他の成分
・メタケイ酸&メタホウ酸・・・まだあまり細かい効果についてはハッキリしていませんが、基本的に反応性の低い成分なので、個人的には吸収されてどうこうというよりも皮膚のコーティング効果に意味があるのでは?と考えています。
・遊離炭酸ガス(CO2)・・・炭酸ガスには強力な血管拡張作用があります。筋肉も解れますが、風呂上りには血管も拡がって熱の放散がしやすくなるため、逆に湯冷めしやすくなる成分です。スーパー銭湯の高濃度炭酸泉が1000mg/kg程度ある事を考えると、その温泉の遊離炭酸ガス含有量で、湯がどの程度のポテンシャルにあるのかが分かると思います。
・遊離硫化水素(H2S)・・・よく死亡事故にもつながるアレです。湯に溶けると白濁を呈し、卵の腐ったような匂いがします。水分子と性質が似ており、皮膚からもよく吸収されます。硫黄は他の水分子を引き込む効果があるので、保湿作用があるのではないかと思われます。飲泉でも下剤効果があります。とにかくこの硫化水素はよく身体に吸収され、非常に多くの効果を身体にもたらすため、浴後はかなり疲れます。
名湯とは即ち白く濁った硫黄泉と呼ばれるのは、この為なのではないしょうか。
⑦成分総計・・・その温泉に溶けている各主成分の総量です。
・1000mg/kg以下→単純泉(とても薄いお湯)
基本的に水圧が低く、身体への負担が少ない湯です。熱を感じやすい湯です。
・1000~8000mg未満/kg→低張泉(生理食塩水よりも薄い)
大抵の温泉はここに属します。適度に塩分を含み、保湿・保温効果に優れます。
・8000~10000mg/kg→等張泉(生理食塩水とほぼ等張)
体液と浸透圧差が少なく、熱いお湯でも熱を感じにくくなります。塩分も大分溶けているので、浴後かなり温まります。
・10000mg以上/kg→高張泉(生理食塩水よりも濃い)
かなり重い湯で、使っているだけで大量の汗をかき、身体からどんどん水分が奪われていきます。負担の強い湯ですが、ホルミシス効果も高く、医学的にも興味深い効果がある湯と思われます。湯治向き。
また、強い放射能泉は大抵この高張泉に属するため、よく体調を考えながら入る必要があります。
ざっくりですが、こんなところかな。
温泉とは教養であり、文化であり、治療であり、立派な学問であります。
此処では書かなかったモール質など、地学面でも考察すべきところは多く、一朝一夕でに理解する事は出来ません。解れば解るほど解らなくなることも多く、私自身もまだまだ勉強中の身です。
この記事はそういった教養の入口になってもらえると良いですね。
52・恵山温泉
温泉
施設外観。泉温がぬるいため、冬は休館となります。
透明なように見えるが、時間と共に鉄分が酸化して赤茶けてくる。
成分分析書
源泉41.5℃。pH2.2。
成分総計5.077g/kgの酸性・含鉄・アルミニウム-硫酸塩泉。
見た目は地味だが、かなり個性の強い湯だ。
強力な酸性も注目点だが、キログラム当たりの鉄分が170mgもある事も注目したい。
概要
恵山とは函館市の東の外れ、渡島半島の右下にある山で、今も活発な火山活動が観察されている活火山だ。数年前にも震度6の火山性地震が起きている事にも注目したい。
このおどろおどろしさよ。しかし山自体は低いので、登山道から山頂までは1時間くらいで踏破できる。今回の温泉は、ちょうどこの足元から湧出しているのだ。
一人で来たんだけどマジで怖かった。
恵山にはこういうガス噴出口があちこちに見受けられる。この山が一目で硫黄を含んだ活火山だとわかる。
歩道を誤ると普通に危険。
この過酷な環境下でも様々な植物が生きている。
山から噴き出すガスが霧や雨となって降り注ぐと、溶岩が固まった岩山の石灰質部分(?)が溶け、このような奇岩が形成されるのだとか。まるで何かで削り取られたかのような岩が異様な雰囲気を醸し出している。
山頂。晴れてれば青森県の大間まで見える事だろう。
下を見ればこの景色。ちなみに、あの下の遊歩道周辺にはヒグマが出る事もあるらしい。
山頂からは北海道駒ケ岳も見えた。
天然の造形にしても素晴らしいよね・・・。
総評
道南函館地域の中でも、異質中の異質。
実は恵山には二ヶ所の温泉があるが、この恵山温泉の湧出部位は上記の写真で見せた火山の真下だ。
恵山温泉旅館はこの山の直ぐ麓にあって、山の中腹に注射の針を指すように真横に温泉を掘削・引湯している。(真下から掘削した温泉は硫黄を含まず、塩化物泉となるのだ。)
いわばこの温泉は恵山という山の血そのものであり、その成分分布を見ると海水の影響を殆ど受けていないと云う事が判る。
少しわかりにくいが、豊富な鉄分が浴室の壁を真っ赤に染めている。
海水の影響が少ないので、陽イオンの構成が
アルミニウム>カルシウム>鉄>ナトリウム
という分布になっている。
(海水は殆どナトリウムとマグネシウムが占める)
舐めるとアルミニウム泉らしく、酸味と共に独特の渋みとエグ味が舌に纏わりついた。
この湯は加水や加温は一切無く、湯温は完全に41℃の湧出温度に依存しているため、浴槽の温度が下がる冬は入れなくなります。
強烈な酸性泉ながら、41℃の源泉は程よくぬるくて実に入りやすい。
サッパリとした浴感があり、湯量も豊富なかけ流しなので、透明度と共に湯の鮮度も高い。あぁ^~最高なんじゃあ^~。
浴後は酸性泉らしく、皮膚に微弱な炎症が起きている事が判る。
酸性が強く皮膚の弱い人は肌が荒れるかもしれないのだが・・・しかしアルミニウムイオンには粘膜修復作用もあるので、もしかしたら逆に良い効果をもたらすかもしれない。
それにしても、液中の主たる陽イオンとしてナトリウムが第4位に来るってのは、なかなか類のない温泉ですよ・・・。
此処は登山とセットで楽しめる温泉なので、是非とも東北や関東圏にお住いの皆さんにも新幹線で気楽に遊びに来てもらいたいですね。
美食
恵山温泉旅館には2度宿泊しているため、旅館メシを紹介。
函館らしくイカ飯も用意してあるねぇ。
しかしここでは右上の煮付け(種類忘れた)が一番美味かった・・・。
もうね、プリップリよ。
この辺りはタラや宗八カレイなどが美味しい。
冬はごっこ汁が絶妙ですよ・・・。
51・ほったらかし温泉
温泉
富士山と甲府盆地を一望する圧巻の露天風呂
この時は日の出直前でした
施設外観でもこんな感じですが、結構前の写真だから今は変わっているかもしれません。
成分分析書
撮影しておらず、なし。
透明なツルツル系の柔らかい湯です。
概要
今回はアニメ『ゆるキャン』に便乗して、山梨の超有名な絶景温泉・ほっとけや温泉・・・もとい、ほったらかし温泉をご紹介。
場所が判り難い事で有名なこの温泉ですが、笛吹川フルーツ公園の上にあるので、まずは笛吹川フルーツ公園を目印に昇ってくると分かりやすいと思います。
写真はもう10年以上前のものなので、今は改築や整備が進んで大分快適な施設になっていると思います。その間随分と人気も出たようで、観光バスなどもやってくる大人気スポットとなってしまいました。
あっちの湯とこっちの湯はどちらも景色は良いのですが、景観をみる向きがそれぞれ少し違います。別料金につき、まぁ商売上手よね。結構オシャレなタオルなんかも売ってます。
以下、おまけ。今回はゆるキャン繋がりと云う事で・・・
もうずいぶん前の話ですが、このほったらかし温泉から国道沿いを北に進み、雁坂トンネルの手前辺りまで登っていくと、西沢渓谷という風光明媚な渓流があります。
どっちかと云うとヤマノススメ状態ですが、結構歩きごたえのある散策路で、2時間くらいで回れるルートもありました。
渓谷の入口にはキャンプ場もあるので、もしかしたら漫画のネタになっているかもしれませんね。まぁ、自分はキャンパーじゃないのでよく知りませんが・・・
いい感じの滝もあって楽しかったよ。
道も比較的歩きやすい。完全にヤマノススメになってしまいましたが、以上おまけでした。
総評
浴槽も広く利用者も多い事から、割と湯は草臥れています。
この広さになると流石に掛け流しだけでの衛生管理は難しいのでしょうから、塩素系の消毒はしているんじゃないかと思います。
なんせ、日の出前から夜景の時間帯までビッチリ営業してますからね。
お湯の質は前述の通り柔らかな単純泉。近隣にある塩山温泉や隼温泉ともよく似た泉質です。ネックがあるとすればさっきも書いた湯の鮮度ですが、それを上回るだけの絶景があるので、この温泉の評価はやはりそのロケーションを中心にしなくてはならないでしょう。お湯の感じも、塩素消毒された上でもしっかりツルツル感を堪能できるレベルにありました。
ここは景色を楽しむ湯。
人はいつ行っても多いので、敢えて行くなら日の出前か、夜景の綺麗な夜をお勧めします。
美食
写真が残ってないですが、『ゆるキャン』でも紹介されていた揚げ温玉は絶品です。
あと、早朝限定で卵かけご飯もやってたな気がするんだよなぁ・・・。
確かその卵かけご飯もかなり美味かったと思います。
景色のなせる転地効果なのか、こういう所では変に捻ったものよりもああいった単純な料理の方が旨く感じるんですよね。
50・那須塩原元湯温泉 旅館えびすや「梶原の湯」「弘法の湯」
温泉
今回は記念すべき50記事目と云う事なんで、個人的に選ぶ温泉で最高位に位置する那須塩原の元湯温泉を紹介しますが、手元にある写真の中でも最も古い記録なので、ガラケー時代の画像サイズです。写真のバイクは当時の愛車・隼です。
源泉が間欠泉から6分おきに湧出するという弘法の湯。
弘法の湯の隣には那須塩原温泉郷で最も古いとされる御神湯・梶原の湯があります。
その歴史はなんと1200年!
弘法の湯も名湯だが、この梶原の湯はホント凄い。
成分分析書
写真記録なし。
いずれも含硫黄のナトリウム・カルシウム‐炭酸水素・塩化物泉で、弘法の湯は52℃の湯が6分おきに間欠泉から自動で流れてきます。
梶原の湯の方が炭酸類が豊富で、源泉も39℃とぬるめです。。
概要
那須塩原も色んな泉質の湯があるわけだが、この元湯温泉だけは別格で凄い。
他にも温泉ブログ書いてる人いっぱいいますが、皆さん一様に元湯温泉の評価は高いです。
元湯温泉はこのえびすやを含めて3軒の旅館が残ってますが、他の旅館も強烈な硫黄泉を有した個性の強い風呂を持っています。
ここえびすやの梶原の湯はその中でも最も古いのだそうで、毎年塩原温泉のお祭の際には御神湯として神社奉納されているのだとか。
その昔は重曹を含んだここの湯の湯の花が胃腸薬としても売られていたそうで、館内ではそうした歴史などを紹介した展示物などもありました。
総評
成分分析書が無いのでアレですが、ポイントをまとめて評価します。
ここの湯の特筆すべき点は2つあり、一つは間欠泉から直に流し込まれる弘法の湯の鮮度と、もう一つは強烈な硫黄泉でありながら同時に強烈な炭酸泉でもある梶原の湯のポテンシャルです。
お湯の鮮度は源泉から浴槽までの距離で決まってきますが、弘法の湯はゼロ距離です。
地面から自然湧出した湯がそのまま浴槽に流れ込んできているため、その湯は抜群の鮮度を誇ります。利用客が多い場合はその恩恵がイマイチわかりづらいかもしれませんが、朝一番とか深夜に入ったらハッキリその湯の力強さ・・・地球が持つ熱の力を感じる事が出来る事でしょう。
そして梶原の湯の炭酸泉としてのポテンシャルですが、源泉が39℃と炭酸を喪失しない絶妙な温度であるという点に注目して頂きたい。炭酸泉はぬるければぬるい程その液中にガスが溶け込みますが、あまりぬるいと温熱効果が失われてしまいます。39℃と云うのは絶妙な温度であり、ここが一つの奇跡的な特徴と云えるでしょう。
しかし実際に入ってみると39℃以上あるのではないかと感じてしまう方もいるようです。これは隣の弘法の湯から溢れた湯が流れ込んできているというのもあるのでしょうが、強い硫黄が皮膚を刺激しているモノとも考えられます。(溶存ガス型の硫黄泉はpHがそれほど低くなくても皮膚にピリリと来る刺激感がある)
このように梶原の湯は一見ぬるい湯で、長湯しやすい湯なのだが、前述の通り液が白濁する程度の強い硫黄と炭酸・炭酸水素類を含んでいます。そのため、強力な血管拡張作用に加えて、硫黄による刺激効果も重なり、風呂上りには日頃の疲れが一気に表面に出てきます。
硫黄泉と炭酸泉の複合泉は他にあまり類が無く、八甲田温泉が近い泉質になるのかもしれません。
ただ、こっちは酸性が強くイオン型で白濁してないです。
過去に2度ほどバイクのツーリングでここの湯には入りに来ていますが、来る度に帰りたくなくなります。浴後にドッと疲れが噴き出てくるので、帰るのがしんどくなるのです。
歴史・泉質・浴感・ロケーション・・・あらゆる意味でインパクトの大きな湯だったため、自分の中の個別温泉ランキングでは今のところ一位です。
美食
那須塩原と云えばスープ焼きそばです。
最近ケンミンショーかなんかで少し話題になったようですが、ソース出汁を上手く使ったスープ焼きそばは当時のツーリング雑誌でもよく紹介されてました。
よく知らんけど、汁焼きそばってここ那須塩原が一番古いんじゃないの?
49・奈良田温泉 白根館
今回も古い記録(2007年)の温泉紹介ですが、山梨県身延の山奥にある奈良田温泉を紹介します。
温泉
建物外観。日本秘湯を守る会の提灯が雰囲気を出している。
内湯・静かな雰囲気でとても良い。
露天風呂。鮮やかなエメラルドグリーンが美しい。
成分分析書
当時はまだ温泉道の駆け出しだったので、撮影なし。
含硫黄・ナトリウム‐塩化物泉で、49.8℃、pH8.8の弱アルカリ性泉とのこと。
概要
JR身延駅からバスで1時間半くらいかかったような気がしますが、結構な山奥にあります。
七不思議の湯とか七色の湯とか言われているそうで、アルカリ性の泉質でイオン型の硫化水素を含むという特性から、気温や気圧によって湯の色が変化する特性があります。
これはチェックイン直後(夕方)に撮影した露天風呂の湯の色です。仄かに緑がかっているのがわかりますね。
これが翌朝行ってみると・・・?
あれ、透明・・・むしろ仄かに青くないですか?
七色かどうかはともかくとして、こんな感じでイオン型硫化水素泉の不思議な特性を楽しむ事が出来る湯となっています。まさに南アルプスの秘湯に相応しい湯ですね。
総評
成分分析表を撮ってないのが悔やまれますが、ここのお湯は関東圏でも屈指のとろみを持つヌルヌル系温泉です。匂いも仄かに硫黄を感じさせますが、アルカリ性なので殆ど白濁していません。
身延の山奥と云う事で標高も高く、転地効果もボチボチありますが、連泊するにしても、通いで入りに来るにしても、少々しんどい場所かもしれませんね。
山梨県は塩山温泉を筆頭に、ほったらかし温泉、隼温泉、大菩薩温泉などヌルツル系の温泉が豊富な女性に優しい美人の湯大国ですが、この奈良田温泉はその中でも飛び抜けてヌルヌルしています。
まじでローションでも入ってるんじゃないの?と云いたくなるほど肌に纏わりつくヌルヌル感は、是非一度味わってみるとよいでしょう。マジで温泉観が変わります。
あくまで私の主観ですが、関東圏では最もヌルヌルしてる温泉だと思います。
ちなみに、此処に匹敵するヌルヌル感を感じたのは鳴子温泉のしんとろの湯です。
美食
旅館飯。ヘルシーな山村料理といった感じです。
ちょっと物足りなかったかな。
48・伊東温泉 東海館
温泉
湯屋外観。ここは建物自体が文化財になっており、同時にユースホステルとして経営されています。相部屋であれば一泊も安く、バックパッカーな外国人が沢山泊りに来てます。
一人用の貸切湯。浴槽は超小さい。
これとは別に共用の大浴場もある。
成分分析書
撮影せず。伊東温泉はいくつかの地区で集中管理されているため、周辺の銭湯と同じ泉質です。ここも混合泉でした。
概要
熱海に比べて地味な印象のある伊東温泉だが、湯治場としての歴史は長い。
住民の間にも温泉文化は深く染み込んでいて、市内に7ヶ所ある共同浴場は観光客が使うには少々勇気のいる雰囲気を出している。
総じて銭湯文化レベルが高く、お風呂の利用マナーも他の温泉地に比べても良い。
そんな湯治文化を象徴する重要文化財が、この東海館である。
漫画版テルマエロマエの小達さつきの実家のモデルとしても有名な旅館です。
東海館は1928年(昭和3年)の建物らしく、戦前の雰囲気を残すレトロモダンな建築物です。見学だけもできるので、興味ある方は是非。
各部屋にある小窓とかトイレの鍵なんかも意匠が凝っていて、映画の中に迷い込んだような雰囲気がある。
中は度重なる増改築でダンジョンのようになっているのだ。
マジテンション上がる。
ニンジャとか出そう。
建物は3~4階建てになっていて、一番上は展望室になっている。
展望室からは松川と伊東市街が見渡せる。
開かずの間みたいなのが沢山あってミステリアスだ。
宴会場のあと
建物の中にこんな小庭が。
あんまりいい写真残ってなかったわ・・・。
総評
忍者とか和風建築好きな外国人にとっては涎垂モノの宿泊施設だと思います。
全て木造、ガラスも近代ガラスではなく手作りのもの。
中は迷路のように入り組んでいて、自分が今何階にるのか解らなくなります。
それ故に転地効果は抜群、自分は個室で泊まりましたが、とにかく不思議な感覚に陥る宿でした。リビングだけはちょっとだけ近代化設備になっていて、コタツに入りながら熱心にSNSを更新している白人男性が印象的でしたね。
さて問題の温泉ですが、お湯そのものは最初に書いた通り伊東温泉の集中管理源泉となります。掛け流しではありますが、一度集められてからの配湯につき若干の鮮度ダウンは否めない。
しかしそもそも伊東温泉はお湯の質自体、透明感があって悪くない。
大浴場とは別に貸切風呂もあるので、そこは高評価となります。
レトロな建物に、程よく香る透明な湯が、旅情を感じさせてくれるでしょう。
美食
酔っぱらっててよく覚えてないんだが、近所の居酒屋で結構飲み食いした記憶があります。かなりメニュー幅の多い居酒屋だったような・・・。
これなんだっけなぁ・・・鯵?チーズで炙ってあって超うまかったよ。
店の場所、名前が思い出せない・・・サーセン。
47・野沢温泉
温泉
大湯外観。以下、大分古い写真なので今と状況は違うかも知れません。
上寺湯
これ何湯だったか忘れた。
観光拠点となる大釜・野沢温泉には野菜を洗う文化がある。
滝の湯
個人的には滝の湯は好みの湯だった。仄かに硫黄の匂い。
真湯・ここが一番強い湯
一目で分かる硫黄泉。此処は良い湯だった。
河原湯
ここはちょっと湯疲れで記憶がない。
これは大湯の内部構造。ピンボケしてるけど、雰囲気は伝わるかな?
大湯は観光客向けの風呂なので、温度の違う二種類の湯がありました。
ケロリンが良い感じですな。
松葉湯は改装中につき、入れず。
改装中
横落の湯。ここは人がいたので内部撮影はなし。
ちなみに、この時はバイクで行ったのです。懐かしい。
BMW F-650CS・Scaverというバイク。
よく電球が切れたけど、燃費も良いし乗りやすいし、良いバイクだった。
成分分析書
記録なし・塩化物泉、硫酸塩泉、含硫黄泉と幅広い泉質でした。
そして全て高温。
概要
長野の温泉地にはあちこち共通した文化がある。
中でも野沢温泉と湯田中温泉は非常によく似た湯屋が見受けられるのだが、現代における両者の進化は非常に対照的だ。
湯田中温泉は非常に閉鎖的で、1か所だけは開放しているものの、残りは全て地元民だけの利用に限られている。
これに対し、野沢温泉は外湯の全てを観光客に開放し、湯めぐり文化を全面的に押し出した。
即ち・・・
・大湯
・河原湯
・秋葉の湯
・麻釜の湯
・上寺湯
・熊の手洗湯
・松葉の湯
・中尾の湯
・新田の湯
・真湯
・滝の湯
・横落の湯
・十王堂の湯
の、計13湯だ。
私も頑張りましたが、写真に無い熊の手洗湯も併せて計9か所+旅館の湯で1日に計10回もの入浴をこなし、見事に湯あたりしてしまいました。
観光客のマナーが悪いのが原因とはいえ、湯田中温泉もこういう風に進化してくれればよかったんだがなぁ・・・。惜しい!!
総評
いずれの湯も高温、完全フリーフローの掛け流し温泉です。
もう云う事は無いのだが、カランなどの設備はないので、湯巡りする際は先にホテルで身体を洗ってからにしましょう。
さて、その中でも泉質の区分ですが、概ね塩泉・硫酸塩泉の高温泉です。
一部硫黄を含んでいるものもあり、私の記憶が確かならば・・・真湯と滝の湯がそうだったんじゃないかなーと。
滝の湯は色が緑色でキレイだった気がするんだよなー。湯あたりしたせいであんま覚えてないけど。
此処では私の個人的な評価を云々ではなく、是非自ら湯巡りして各湯の良さを堪能していただけたらなーと思います。
美食
泊まったのは熊の手洗湯近くの中島屋旅館さんです。
牛肉と野沢菜がクッソ美味かったなぁ。
熊の手洗湯近くだけあってか、オプションで熊肉を食べれます。
味噌漬けみたいな味付けでしたが・・・うん、牛肉の方が旨い。
けど、珍しいよね。そう云うのを楽しむのも、旅の醍醐味です。
ちなみに、翌日はしっかり朝風呂2回入って、帰りに秩父で武甲温泉に入ったので、外湯巡りと併せて1泊2日で計14回くらい風呂に入りました。
湯あたりするのでやめようね!