17・標茶温泉
温泉
モール質で泡立つ浴槽。特徴的なライオンの口から、茶色い湯がかけ流しされている。
成分分析書
注目してもらいたいのは、自噴という二文字。
概要
北海道内でも寒い土地ランキングの上位に食い込む道東の標茶町であるが、ぶっちゃけ車で走ると、農地以外は何もない町のように見えてしまう。
摩周湖、屈斜路湖、そして川湯温泉を抱える弟子屈町に比べるとあまり観光客も来ないし、釧路からの通過点としてみる人も多いのではないだろうか。
それ故に、国道沿いには潰れた温泉施設もちらほらと見受けられる。
シロンドー温泉、五十石温泉など、なんとも寂しい風景が印象に深い。
このように、観光地するにしては些か派手さに欠けるこの標茶町なのであるが・・・実は、一ヶ所現存している温泉施設がありました。
上の写真は味幸園という、現在は日帰り温泉のみの営業をしている施設である。
(昔は旅館だったらしい)
そして、この味幸園・・・温泉を探し求めて道東をうろついた結果、道東一の温泉はこの標茶温泉である事が私の中で決定しました。
総評
この標茶温泉・味幸園を高く評価するにあたって、いくつかのポイントを上げておきたいと思います。
1.源泉温度45℃。
→浴槽で丁度43~44℃収まるため、加水加温の必要が無い。生の源泉がそのまま注がれています。初心者には少々熱いかもしれませんが、慣れれば癖になる温度。ガツンと決まる熱さです。
2.自噴
→まさか自噴だとは思わなかったなぁ・・・。最近できた国内温泉の殆どは、ボーリング技術の発達により、掘削で地下から掘り当てたものです。自噴源泉の貴重さは言うまでもないでしょう。
3.pH9.2のモール泉
→モール泉ゆえに茶色く泡が立ち、独特の土の匂いがします。そしてアルカリ性が強く、モール泉であるが故に、そのツルツル感は半端なく強い。浴槽内では足元が滑って転びそうになるほどです。ちなみにカランからも温泉が出ます。
4.湯の鮮度が高い
→実はここが最も大事な要素です。敷地内に源泉があり、しかも自噴。湧出時の温度が適温であるため、湯を冷ますためにプールする必要もない。
・・・要するに、ここの温泉は、他の温泉では再現が難しいような湯の鮮度が、さも当たり前のように再現されているのです。道東でも色々な温泉に入りましたが、ここの湯の活きは最高です。
もちろん、60kmほど北にある川湯温泉の湯も強力な酸性泉で非常に珍しいし、弟子屈や阿寒にも素晴らしい湯は沢山あると思うのですが・・・。
阿寒や川湯などの観光地は旅館組合などによる源泉の集合管理となり、そして他の温泉地でも源泉温度が高すぎるが故に少量放流しかできなかったり、逆に源泉温度が低すぎるが故に一旦沸かして放流したり、源泉が細くて循環式にせざるを得ないという温泉など、様々な事情で源泉をそのままドバドバぶん流せる温泉というのは、実はあまり多くないのです。
この標茶温泉・味幸園の最大の魅力は、この「湧きだした直後の湯がドバドバ注がれる風呂」に入れる事に尽きます。しかも、結構なアルカリ性で、浴槽に浸かれば尻もツルっと滑るほどのとろみがあります。泉質自体も申し分ない。
もしも標茶に来る機会があるのであれば、是非この温泉は入っておくべきだと思います。というか、お婆ちゃんが一人で番台をやってるこの貴重な温泉施設が、なくなってしまわない事を切に願っております。
美食
標茶の話でなくて申し訳ないんですが、色々とドライブインも潰れちゃってますからね・・・。今回は弟子屈町の有名ラーメン店「弟子屈ラーメン総本店」を紹介しておきます。標茶から車で40kmくらい離れてるんですが、ここは各地からラーメンを食べにくるリピーターの多い有名店となっています。
新千歳空港にも出店しているので、実は食べた事ある人も多いんじゃないかと思うんですがね・・・。気温の低い道東で食うこのラーメンは、空港で食うラーメンとはまた違った趣がありますね。
恐らく、お盆以降に道東を走るライダー達にとっては、暖を取るための最高のスポットなのではないでしょうか。
16・恐山温泉
温泉
参拝料を払った先にある、境内の中の浴場。シブイ。
施設全景。快晴でもこの迫力。リアル賽の河原と呼ばれるだけの事はある。
成分分析書
男湯、女湯、あと離れたところに混浴の湯もあり、別源泉。
概要
温泉地というよりは日本三大霊場・・・中でも最大級の霊場として有名な恐山です。
霊場としてのイメージが強すぎて温泉があるなんて思いもしなかった人も多いのではないでしょうかね。
温泉マニア的には、貴重な温泉地ですよこの野郎!
その浴場は恐山の寺(何寺かというはよう知らん)の中にドンっ!と鎮座していて、参拝料を払って中に入ると、いきなり目の前に掘っ立て小屋があって、そこが共同浴場となっているという、シュールな温泉です。
私が行った時には米軍三沢基地の黒人の兵隊さんが観光に来ていて、熱そうに「アゥ!」と呻きながら入るその様は恐山の中にあって一際シュールな絵図でしたね。
のぅ外人さんや、ええ湯やろ?と言いたくなったわ。
小屋の中は至ってシンプルで脱衣所のみ。
寺の境内には男湯と女湯の小屋があるのですが、実は宿泊棟(クッソ小奇麗な宿泊施設)の裏には混浴小屋もあって、ここは別源泉でした。
恐らく宿泊棟の中にも浴槽がある事を考えると、この恐山の中には4つ以上の浴槽があるものと思われます。いずれも強酸性の硫黄泉。
前述の通り、恐山は霊場です。
歴史的に水子の霊の供養が多いようで、この少子化の現代に於いては、些か考えさせられる施設ではありました。
総評
お湯の質から云うとpH1~2の強酸性の源泉です。
ここ恐山はそこかしこから硫黄の噴煙が吹く所謂「地獄」であり、強酸性の源泉には事欠かない模様。しかし血の池地獄や塩屋地獄なんてものもあるくらいなので、掘れば鉄泉や塩化物泉など、いくらか違う源泉も出るのではないかと思われます。
とにかくハッキリしている事は、ここは温泉施設ではなく寺なので、浴場は媚びたところが一切ありません。小屋の中は前述の通り脱衣所と浴槽のみで、脱いだらすぐにドボン!温泉であります。当然、源泉かけ流し。加水も加温もなし。
温度はお湯の流量で調節してあります。
参拝客の中でもこの湯に入るのは温泉マニアかもの好きばかりなので、基本的に混雑している事は無いと思うのです。仮に混雑していたとして、ここの湯の液性は強酸性の硫酸塩泉。少々の微生物は皆殺しです。塩素で殺菌がどうこうとか、考えなくていいのがこの恐山温泉の良い所ですね。
その湯の力は強力で、私は男性浴場と混浴浴場の両方に入りましたが、湯の流入口に肩や腰など、最近色々とダラシネー部位に湯を直接当てて治療を試みたのですが、湯の当たった部位だけが時間差で熱く火照ってきました。
これは強力な酸による軽度な炎症反応だと思われ、成分分析書通りの強力な源泉の力をリアルに体感できるという素晴らしい泉質を誇っています。
やはり、かけ流しは成分分析書通りの効果を発揮するので、仏のご加護を感じれる体験となりました。
観光目当てにせよ温泉目当てにせよ、恐山はリアル賽の河原の異名をとる日本でも有数の霊場ですので、ここの湯に入るときは神妙な面持ちで静かに利用していただきたいなと思いますね。
美食
下北半島と言えばこれですよ。大間岬のマグロ丼。非冷凍のガチの1杯。
その風味はまるでバター。たまりませんでしたね・・・。
テリテリの醤油がもうね・・・。
あと青森市内で飲んだ稲村屋酒造の秘蔵の一品。
あぁ^~美味いんじゃぁ^~。
北海道新幹線は新函館北斗まで開通してしまいましたが、青森はまだまだ奥が深い。
温泉も、そして美食もね・・・!
15・湯の川温泉・永寿湯ほか
温泉
永寿湯・建物外観
永寿湯・浴室
成分分析書
概要
新幹線開通で沸く函館ですが、函館市としての観光の売りは金森レンガ街、函館山のロープウェイ、五稜郭公園、そして宿泊地としての湯の川温泉です。
医学系の学会が頻繁に行われるイメージが多い湯の川温泉ですが、とにかく全国的に見れば「函館の温泉といえば湯の川温泉!」という位の認識で間違いはないと思うんですよ。
ただ、勘違いしないでほしいのは、函館ってのは湯の川以外にも面白い温泉が沢山湧出しているという点です。今後もここで紹介する事もあると思いますが、
「温泉街としての湯の川温泉は函館一」で間違いないですが、
「湯の川温泉が函館で一番凄い温泉!」だとは思わない事です。
総評
漁師町であった函館の人々の気質もあるのだろうか、函館の温泉は総じて熱い。
湯の川温泉も殆どのホテルの温泉は観光客に合わせて随分と入りやすい温度に管理してありますが、今回紹介する外湯の永寿湯は中でも特に熱い温泉として有名です。
源泉自体は湯の川温泉は温泉街全体で源泉の集中管理を行っているので、この永寿湯の湯は同地区の他の公共入浴施設でも似たようなものだと思ってもらっていいでしょう。
成分総計は約9g/kg近くと、ほぼ等張泉(生理食塩水と同等)の濃さ。
陽イオンとしてはナトリウムとカルシウムが多く、陰イオンとしては塩素イオンの他に重曹が多いのもやはり北海道の温泉らしい特徴です。
pHも中性で、見た目は透明で味は塩辛く、モール泉ではありません。そのため、肌触りもぬるぬるとした感じはなくサラッとしていて、塩湯らしい塩湯という感じです。
写真を見てもらうと判りますが、浴場が熱い湯気ですでにレンズが曇っています。
右手側が低温泉、左奥が中温泉なのですが、低温泉で45℃位あります。これでもしっかりとかけ湯をして辛うじて入れるレベルの熱さです。
日を分けて2度トライしましたが、中温泉は結局は入れませんでした。
恐らく、浴槽の状態によっては50℃近くあるんじゃないですかね…。
というか、死ぬでしょアレ…。
美食
温泉街としては充分な風格のある湯の川温泉ですが、私は3軒ほど宿泊しています。
うち2つを紹介しますが、1つはこ↑こ↓
この漁火館は湯の川温泉街とは別に自家源泉を持つ宿で、濁り湯です。
料理も活イカを始めとして手の込んだ地の食材を使った和食が堪能できたので、温泉と美食を追及する方にはおすすめの宿です。
次に
やたらと目立つタワー状のビジホ(カプホ)で、格安系の簡易宿です。
元々銭湯としての経営もしていたので、地元に人からも利用されている日帰り温泉施設でもあります。
面白い事に、ここの2食付きのプランでは、夕食を外のお店に食べに出るというプランが用意されています。
自分が選択したのはジンギスカン料理屋のテムジンでのコースプランで、安い割に結構腹が一杯になったので、北海道らしい北海道が堪能できるという意味で、ナイスなチョイスだったと思います。
14・洞爺湖温泉
温泉
道の駅より中の島全景
成分分析書
ナトリウム・カルシウムー塩化物泉・低張性・高温泉
概要
道内では登別の次くらいに有名な温泉地だと思われる洞爺湖温泉ですが、洞爺湖サミットとかで有名になりましたね。
有珠山やら昭和新山やらモクモクと煙の吹く火山に囲まれた温泉地だけに、別府みたいにドバドバと温泉が出てるのかと思いきや、実は案外そうでもないようです。
地元のスナックのおばちゃんとかに聞いて調査しましたが、あまり源泉量は太くないようで、ホテルとかに引き湯で使用される事から、温泉街近辺では地元民向けの公共浴場的なモノはあまりないようです。
個人的に色々調査の上でこ↑こ↓
に泊まったのですが、温泉的には当たりでした。
総評
さて、今回この山水ホテル和風さんで入った温泉ですが、各種源泉の混合泉・・・ということで、どうも洞爺湖温泉は温泉組合全体で源泉の集合管理をしているようですね。
資源が細いのか、権利的にも高いのか、町民向けの公共浴場がないのは意図的なような気がしなくもないです。
成分的には3.159g/kgのNa・Ca/Cl泉で特筆すべきところはありませんが、若干の炭酸水素を含んでいるあたりがやはり道央から道南にかけての温泉の特徴であります。重曹は含んでいますが、弱酸性泉であるため、ヌルヌル・ツルツル系の肌触りではないです。
成分上は平凡な感じですが、見た目はなかなか面白い色をしていました。
道央から道南にかけて炭酸水素が豊富な温泉の特徴としてはモール泉が多い・・・つまり、モール質が濃い順に黒~褐色~緑色のような感じで、モール泉特有の色を持っている事が多いのですが、この洞爺湖温泉は混合泉である事も理由なのか、全く硫化水素を含んでないのに、灰色っぽい白色を呈していました。
多分これ、ガチで火山灰の色なんじゃないの?と個人的には思ってますが、有珠山の噴火の歴史とかを調べると、割と近年まで火山灰をまき散らしていたみたいなので、なかなか信ぴょう性がありそうな仮説なんじゃないかと思います。
ロケーションは云うまでもなく良いのと、真っ白い塩化物泉は実はかなーり珍しいので、そういった意味で入りに来る価値は充分あるのではないかと。
しかし温泉はホテルによって(特に大型ホテル)は加水しまくりの普通のお風呂と化している場合もあるので、源泉にこだわるなら、下調べはいるかと思います。
美食
実はあんまり洞爺湖界隈では美食はしていないのですが、海側の豊浦~登別周辺にかけての内浦湾ではどこでも北寄貝とか鱈子が名産なので、そこら辺を押さえておくことと、伊達市は八雲と並んで肉が名産らしいので、和牛もなかなか良いものが食べれるかと思います。
私はホテル近所の店でキンキの煮付けを食べたのですが、作り置きのレンチンだったので、正直うーん・・・という感じでした。
13・別府温泉やよいの湯
温泉
入口の看板
24時間・完全無人制の営業を表すコイン式自動ドア
左が中温湯・右が低温湯
成分分析書
概要
初めて別府に来た人は恐らく軽いカルチャーショックを受けるだろう。
やよいの湯は別府駅から程なく歩いたところにある繁華街の片隅にあり、まさかそんなところからも温泉が出るの?と驚く以上に、有料の自動ドアが設置されただけの単純な構造の、完全24時間無人営業の温泉なのである。
マンションの立ち並ぶ沿線沿いの住宅地にあって、まるで近所のコンビニに行くような感覚で利用できる本格的な温泉・・・。
温泉都市別府の本当の姿が、そこにはある。
総評
別府の市街地のど真ん中にありながら、無人管理で温泉営業を成立させるためにはそれなりの訳がある。
やよいの湯は源泉45℃、使用部位では恐らく入浴に適温になるであろう温度を持った単純泉で、主たる塩分が塩化ナトリウム(食塩)よりも炭酸水素イオン(重曹)やメタ珪酸といったミネラル分以外が豊富な割合を占めている。
源泉中の塩分が少ないという事は、配管にかかる負担が少ない=メンテ費用も軽く済むという事であり、加えて加水も加温も必要がないという適温の温泉は、特別な温度管理の必要もないという、とにかくコスパの優れた側面を持っているのである。
源泉が適温という事は加水、加温の必要がなく、常にかけ流しにしておくだけでよい。
つまり、200円で利用できるというクッソ安い温泉でありながら、常時活きの良い綺麗な源泉に浸かることができるのも、この温泉の魅力であろう。
高評価できる点は他にもある。
比較的重曹の豊富なこの源泉は単純泉でありながら真湯と比べても明らかに高い血管拡張作用も有し、しかも塩気の少ない低張泉であることから、髪の毛の洗浄やせっけんの発泡を邪魔しないという側面もあり、要するに日常的に浸かる湯として非常に優れた性質を持っているという点である。
毎日入る湯は、白く濁った硫黄泉よりも透明な単純泉の方が、生活をする上では非常にありがたいのである。
浴室は写真の通り2つの浴槽があるだけのシンプルな構造で、脱衣所とも直結である。カランもシャワーも用意してあり、まさしく生活の場の一部といった様相である。
広くはないが、自動ドア越しの靴を見て入る人も遠慮ができるので、すし詰めになることはあまりないのではなかろうか?
香りは若干のモール臭があり、肌触りも上々である。
湯温も駅前の温泉などに比べるとずいぶん入りやすい温度であり、中温浴槽と低温浴槽はそれなりに温度差もつけてある事から、色んな人が利用しやすいように工夫されているのかもしれない。
美食
道の駅湯布院で食べた豊後牛ステーキ丼。
本当は別府の温泉街でりゅうきゅうとかタコスとか色々食べたんですが、写真が残ってたのはこれだけでした。
まー1800円しますが、美味いっちゃ美味い。
12・西桔梗温泉
温泉
建物内の源泉掲示
成分分析書
ナトリウム・カルシウムー塩化物泉
概要
西桔梗温泉は函館市内の外れ、北美原と桔梗地区の境目の農用地にポツンと存在している渡島地方最強のカルト系温泉である。
そもそも函館市が湯の川以外に数々の泉質の温泉を抱えた別府並の一大温泉地だという認識を持っている人は少ない。というか、当たり前のように温泉があるために、地元函館市民にもその特異さが全く周知されてないのである。
西桔梗温泉は市の外環を走る産業道路の外れにある農地にポツンとあるため、函館市民からも殆ど馴染みのない温泉である。見た目と中の設備のボロさも相まって、一度訪れた市民でもリピーターになるものは少なく、北海道の中でも怪しさ満点の超一流カルト温泉としての資質を秘めている。
入湯料もアホみたいに安く、300円台だった気がする。
総評
ナビ上では「西ききょう温泉グランド」などとスーパー銭湯チックな名前でヒットするのだが、建屋のボロさは折り紙付きで、中の浴室にはシャワーなどなく、浴槽に至ってはコンクリート製の土管という、マニアにとっては役満級の高得点を叩き出す設備となっている。
しかし、薬剤師免許を持つ温泉マニアとしてどうしても押さえておきたいのが、この温泉の持つ特異な泉質である。
成分総計で10.65g/kgというその濃さも海が近いこの地域にしては珍しい高張泉であるが、その成分のばらつきにも注目してもらいたい。
主たる成分であるナトリウム・塩化物イオンの他、1000mgを超える炭酸水素イオンと500mgを超える遊離炭酸ガスは、この湯がかなり強力な血管拡張作用を持つ炭酸泉であることが判るし、800mg以上の硫酸イオンはそれだけでも温泉の王様と評される硫酸塩泉としての資質を充分に秘めた泉質も兼ね備えている。
これらの成分に加えて、通常測定されない事が多いカリウムイオンの豊富さと、特筆すべきはフッ素、臭素、ヨウ素といったハロゲンイオンがぼちぼちの量測定されている点である。他にも、鉛、ヒ素、アルミニウム、亜鉛など、およそ飲泉には適さないような微量な元素も幅広く測定されており、如何とも形容しがたい、混沌とした泉質を持つ温泉なのである。
一体地下に何があるんだ・・・?
お湯の色は透明な茶褐色のモール泉(?)であり、実際にその色が化石植物による有機物の色なのか、微量に溶けた金属イオンによるものの色なのかは正直わからんが、多分匂いから判断して化石植物による色なんだと思います。
pHは弱酸性であり、肌を荒らすような湯ではないと感じたが、髪の毛を洗うのには少々成分がキツ過ぎる湯のようである。
なんせ生理食塩水よりも濃いお湯なので、一般的には重く、疲れる湯だと思っておくとよいだろう。
浴槽は前述の通りコンクリート製の土管であるが、内湯に3か所、露天に3か所と小分けにしてあるところが面白い。内湯も露天も温度で分かれており、露天風呂には1か所水風呂代わりのような地下水で薄められた冷たい浴槽もあった。長湯するのに冷たい湯は非常にありがたいので、シャワーがないのは残念だが、ここはポイント高い。
もちろん、加温循環などという金のかかる設備は一切ないので、カランの湯も浴槽の湯も全て、源泉と水だけである。
見た目のカルトさ以上に泉質のカルトさが際立つこの西桔梗温泉は、北海道でもトップクラスのマニア向け温泉である事は間違いないだろう。
美食
五稜郭にある炭火割烹・菊川で食べた、大間サザエである。
津軽海峡を挟んだ函館では、北海道らしいツブ貝の他、青森県側の海域からサザエが入ることもあるのだそうで・・・。
注:いつでも食べれるわけではありません。
海水の綺麗な大間のサザエは、身の香りも露骨に磯臭くなくて上品であり、かつ綺麗な海藻を食べて育ったサザエのワタが非常に美味い一品であった。
伊豆界隈でもサザエは好んで食べていたが、つぼ焼きならともかく、ワタまで刺身で出してくれるところは少なく、食べれたとしても臭みの方が強くてあまり美味いと感じたことはなかった。海水の差はサザエのエサの差に直結しているのかなー?とも感じた一品でした。
冷酒は地元函館米を青森で仕込んだというガスバリをお勧めする。安くて美味い。
11・祝梅温泉
温泉
建屋入口
成分分析書(簡易)
ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉
概要
祝梅温泉は千歳市内にあるボロ屋系(廃墟系?)の温泉である。
温泉マニアの間では定評のある温泉のようで、是非一度入ってみたいと思っていた温泉だ。
千歳市街のはずれ、陸上自衛隊の駐屯地の直ぐ傍にあるこの温泉は、初めて行ったときはカーナビでも少々道に迷った。「祝梅温泉」と書かれた倒れた巨大なボーリングのピンが目印で、そこの未舗装路を入っていくと間もなく上記の写真のような建物が見えてくる。
民家のようであるが、一応ちゃんと営業している日帰り入浴施設である。
総評
温泉マニアとしてはその建物が醸し出す雰囲気は申し分のない評価を与えたくなるところだが、一般的な感覚では入るのに躊躇してしまうような施設であろう。
泉質は上記の通りナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉である。色も褐色のモール泉であるが、実はこの褐色の炭酸水素塩泉自体は、札幌界隈の日帰り入浴施設でもよく見受けられるものであり、別段珍しいものではない。
詳細な成分分析表を見つけることはできなかったが、恐らく月寒界隈の温泉とはそれほど泉質は変わらないモノと思われる。新千歳空港内の温泉(千歳市内からの引き湯)にも似ている。
その黒い湯は石狩平野の成り立ち、豊富に含まれた炭酸水素(重曹)からしてみても、確かに太古の昔から、ここには豊富な有機物(植物)があった事を感じさせる泉質なのである。
浴室の造りはシンプルなもので、3つか4つほどの洗い場と内湯があるだけの簡単な構造。
常連のおっさんがいたので話を聞くと、やはり他の札幌界隈のモール泉同様に、源泉は冷たいのだそうだ。源泉自体はこの建物の直ぐ近くから引いているらしいが、一旦アツアツに加温してから浴室に注がれてくる。
実はこの時、なんと湯を張りたての一番風呂に入ったわけであるが、源泉は近隣の建物で(恐らく薪か何かで)50℃位に加温されてから浴槽に注がれているため、祝梅温泉では常連のおっさんが最初に水でしっかりと埋めてから入浴に適した温度にしているのである。
源泉100%の一番風呂はとてもじゃないが熱くて入れた代物ではなかった。それなりに浴槽内を水で薄めてからどうにか入ったのだが、それでも炭酸水素の豊富なアルカリ泉だけあって、ツルツル感のある肌触りをしていた。どの程度の炭酸水素が溶けているのかは不明だったが、それなりに血管拡張作用もあったように感じる。
余談であるが、この一番風呂の常連のおっさんはここの源泉をペットボトルに入れて持ち帰り、飲用しているそうである。
おっさんは笑って健康の秘訣と話していたが、化石植物も溶けているし、成分的には飲用には適さない泉質であろう。ま、そこは自己責任ってことで。
私個人の主観としては、祝梅温泉はお湯そのものの珍しさはそれほどでもないが、カルト的な魅力・天地効果のある温泉といった評価である。
美食
初心者は飛行機に乗らずとも新千歳空港に行くべし。
新千歳空港は上記のようなシースーから、海鮮丼、ジンギスカン、スープカレー、各種有名ラーメン店の他、ロイズの出来立ての生チョコから温泉、映画館、なんとアニメイトまで揃う一大テーマパークである。
私はこの空港は学生の頃から何度も足を運んでいるが、行く度にその規模はデカくなり、もう札幌まで出なくてもよくね?ってレベルの観光施設と化している。
実際にありとあらゆるお土産もそろうし、マジで札幌まで出なくても充分北海道を堪能できる空間になっているので、羽田から祝梅温泉に入りに来るだけでも、帰りの時間をたっぷりここで過ごせば、ちゃんと北海道旅行を完結できるのである。
他県の空港も見習って、どうぞ。