15・湯の川温泉・永寿湯ほか
温泉
永寿湯・建物外観
永寿湯・浴室
成分分析書
概要
新幹線開通で沸く函館ですが、函館市としての観光の売りは金森レンガ街、函館山のロープウェイ、五稜郭公園、そして宿泊地としての湯の川温泉です。
医学系の学会が頻繁に行われるイメージが多い湯の川温泉ですが、とにかく全国的に見れば「函館の温泉といえば湯の川温泉!」という位の認識で間違いはないと思うんですよ。
ただ、勘違いしないでほしいのは、函館ってのは湯の川以外にも面白い温泉が沢山湧出しているという点です。今後もここで紹介する事もあると思いますが、
「温泉街としての湯の川温泉は函館一」で間違いないですが、
「湯の川温泉が函館で一番凄い温泉!」だとは思わない事です。
総評
漁師町であった函館の人々の気質もあるのだろうか、函館の温泉は総じて熱い。
湯の川温泉も殆どのホテルの温泉は観光客に合わせて随分と入りやすい温度に管理してありますが、今回紹介する外湯の永寿湯は中でも特に熱い温泉として有名です。
源泉自体は湯の川温泉は温泉街全体で源泉の集中管理を行っているので、この永寿湯の湯は同地区の他の公共入浴施設でも似たようなものだと思ってもらっていいでしょう。
成分総計は約9g/kg近くと、ほぼ等張泉(生理食塩水と同等)の濃さ。
陽イオンとしてはナトリウムとカルシウムが多く、陰イオンとしては塩素イオンの他に重曹が多いのもやはり北海道の温泉らしい特徴です。
pHも中性で、見た目は透明で味は塩辛く、モール泉ではありません。そのため、肌触りもぬるぬるとした感じはなくサラッとしていて、塩湯らしい塩湯という感じです。
写真を見てもらうと判りますが、浴場が熱い湯気ですでにレンズが曇っています。
右手側が低温泉、左奥が中温泉なのですが、低温泉で45℃位あります。これでもしっかりとかけ湯をして辛うじて入れるレベルの熱さです。
日を分けて2度トライしましたが、中温泉は結局は入れませんでした。
恐らく、浴槽の状態によっては50℃近くあるんじゃないですかね…。
というか、死ぬでしょアレ…。
美食
温泉街としては充分な風格のある湯の川温泉ですが、私は3軒ほど宿泊しています。
うち2つを紹介しますが、1つはこ↑こ↓
この漁火館は湯の川温泉街とは別に自家源泉を持つ宿で、濁り湯です。
料理も活イカを始めとして手の込んだ地の食材を使った和食が堪能できたので、温泉と美食を追及する方にはおすすめの宿です。
次に
やたらと目立つタワー状のビジホ(カプホ)で、格安系の簡易宿です。
元々銭湯としての経営もしていたので、地元に人からも利用されている日帰り温泉施設でもあります。
面白い事に、ここの2食付きのプランでは、夕食を外のお店に食べに出るというプランが用意されています。
自分が選択したのはジンギスカン料理屋のテムジンでのコースプランで、安い割に結構腹が一杯になったので、北海道らしい北海道が堪能できるという意味で、ナイスなチョイスだったと思います。
14・洞爺湖温泉
温泉
道の駅より中の島全景
成分分析書
ナトリウム・カルシウムー塩化物泉・低張性・高温泉
概要
道内では登別の次くらいに有名な温泉地だと思われる洞爺湖温泉ですが、洞爺湖サミットとかで有名になりましたね。
有珠山やら昭和新山やらモクモクと煙の吹く火山に囲まれた温泉地だけに、別府みたいにドバドバと温泉が出てるのかと思いきや、実は案外そうでもないようです。
地元のスナックのおばちゃんとかに聞いて調査しましたが、あまり源泉量は太くないようで、ホテルとかに引き湯で使用される事から、温泉街近辺では地元民向けの公共浴場的なモノはあまりないようです。
個人的に色々調査の上でこ↑こ↓
に泊まったのですが、温泉的には当たりでした。
総評
さて、今回この山水ホテル和風さんで入った温泉ですが、各種源泉の混合泉・・・ということで、どうも洞爺湖温泉は温泉組合全体で源泉の集合管理をしているようですね。
資源が細いのか、権利的にも高いのか、町民向けの公共浴場がないのは意図的なような気がしなくもないです。
成分的には3.159g/kgのNa・Ca/Cl泉で特筆すべきところはありませんが、若干の炭酸水素を含んでいるあたりがやはり道央から道南にかけての温泉の特徴であります。重曹は含んでいますが、弱酸性泉であるため、ヌルヌル・ツルツル系の肌触りではないです。
成分上は平凡な感じですが、見た目はなかなか面白い色をしていました。
道央から道南にかけて炭酸水素が豊富な温泉の特徴としてはモール泉が多い・・・つまり、モール質が濃い順に黒~褐色~緑色のような感じで、モール泉特有の色を持っている事が多いのですが、この洞爺湖温泉は混合泉である事も理由なのか、全く硫化水素を含んでないのに、灰色っぽい白色を呈していました。
多分これ、ガチで火山灰の色なんじゃないの?と個人的には思ってますが、有珠山の噴火の歴史とかを調べると、割と近年まで火山灰をまき散らしていたみたいなので、なかなか信ぴょう性がありそうな仮説なんじゃないかと思います。
ロケーションは云うまでもなく良いのと、真っ白い塩化物泉は実はかなーり珍しいので、そういった意味で入りに来る価値は充分あるのではないかと。
しかし温泉はホテルによって(特に大型ホテル)は加水しまくりの普通のお風呂と化している場合もあるので、源泉にこだわるなら、下調べはいるかと思います。
美食
実はあんまり洞爺湖界隈では美食はしていないのですが、海側の豊浦~登別周辺にかけての内浦湾ではどこでも北寄貝とか鱈子が名産なので、そこら辺を押さえておくことと、伊達市は八雲と並んで肉が名産らしいので、和牛もなかなか良いものが食べれるかと思います。
私はホテル近所の店でキンキの煮付けを食べたのですが、作り置きのレンチンだったので、正直うーん・・・という感じでした。
13・別府温泉やよいの湯
温泉
入口の看板
24時間・完全無人制の営業を表すコイン式自動ドア
左が中温湯・右が低温湯
成分分析書
概要
初めて別府に来た人は恐らく軽いカルチャーショックを受けるだろう。
やよいの湯は別府駅から程なく歩いたところにある繁華街の片隅にあり、まさかそんなところからも温泉が出るの?と驚く以上に、有料の自動ドアが設置されただけの単純な構造の、完全24時間無人営業の温泉なのである。
マンションの立ち並ぶ沿線沿いの住宅地にあって、まるで近所のコンビニに行くような感覚で利用できる本格的な温泉・・・。
温泉都市別府の本当の姿が、そこにはある。
総評
別府の市街地のど真ん中にありながら、無人管理で温泉営業を成立させるためにはそれなりの訳がある。
やよいの湯は源泉45℃、使用部位では恐らく入浴に適温になるであろう温度を持った単純泉で、主たる塩分が塩化ナトリウム(食塩)よりも炭酸水素イオン(重曹)やメタ珪酸といったミネラル分以外が豊富な割合を占めている。
源泉中の塩分が少ないという事は、配管にかかる負担が少ない=メンテ費用も軽く済むという事であり、加えて加水も加温も必要がないという適温の温泉は、特別な温度管理の必要もないという、とにかくコスパの優れた側面を持っているのである。
源泉が適温という事は加水、加温の必要がなく、常にかけ流しにしておくだけでよい。
つまり、200円で利用できるというクッソ安い温泉でありながら、常時活きの良い綺麗な源泉に浸かることができるのも、この温泉の魅力であろう。
高評価できる点は他にもある。
比較的重曹の豊富なこの源泉は単純泉でありながら真湯と比べても明らかに高い血管拡張作用も有し、しかも塩気の少ない低張泉であることから、髪の毛の洗浄やせっけんの発泡を邪魔しないという側面もあり、要するに日常的に浸かる湯として非常に優れた性質を持っているという点である。
毎日入る湯は、白く濁った硫黄泉よりも透明な単純泉の方が、生活をする上では非常にありがたいのである。
浴室は写真の通り2つの浴槽があるだけのシンプルな構造で、脱衣所とも直結である。カランもシャワーも用意してあり、まさしく生活の場の一部といった様相である。
広くはないが、自動ドア越しの靴を見て入る人も遠慮ができるので、すし詰めになることはあまりないのではなかろうか?
香りは若干のモール臭があり、肌触りも上々である。
湯温も駅前の温泉などに比べるとずいぶん入りやすい温度であり、中温浴槽と低温浴槽はそれなりに温度差もつけてある事から、色んな人が利用しやすいように工夫されているのかもしれない。
美食
道の駅湯布院で食べた豊後牛ステーキ丼。
本当は別府の温泉街でりゅうきゅうとかタコスとか色々食べたんですが、写真が残ってたのはこれだけでした。
まー1800円しますが、美味いっちゃ美味い。
12・西桔梗温泉
温泉
建物内の源泉掲示
成分分析書
ナトリウム・カルシウムー塩化物泉
概要
西桔梗温泉は函館市内の外れ、北美原と桔梗地区の境目の農用地にポツンと存在している渡島地方最強のカルト系温泉である。
そもそも函館市が湯の川以外に数々の泉質の温泉を抱えた別府並の一大温泉地だという認識を持っている人は少ない。というか、当たり前のように温泉があるために、地元函館市民にもその特異さが全く周知されてないのである。
西桔梗温泉は市の外環を走る産業道路の外れにある農地にポツンとあるため、函館市民からも殆ど馴染みのない温泉である。見た目と中の設備のボロさも相まって、一度訪れた市民でもリピーターになるものは少なく、北海道の中でも怪しさ満点の超一流カルト温泉としての資質を秘めている。
入湯料もアホみたいに安く、300円台だった気がする。
総評
ナビ上では「西ききょう温泉グランド」などとスーパー銭湯チックな名前でヒットするのだが、建屋のボロさは折り紙付きで、中の浴室にはシャワーなどなく、浴槽に至ってはコンクリート製の土管という、マニアにとっては役満級の高得点を叩き出す設備となっている。
しかし、薬剤師免許を持つ温泉マニアとしてどうしても押さえておきたいのが、この温泉の持つ特異な泉質である。
成分総計で10.65g/kgというその濃さも海が近いこの地域にしては珍しい高張泉であるが、その成分のばらつきにも注目してもらいたい。
主たる成分であるナトリウム・塩化物イオンの他、1000mgを超える炭酸水素イオンと500mgを超える遊離炭酸ガスは、この湯がかなり強力な血管拡張作用を持つ炭酸泉であることが判るし、800mg以上の硫酸イオンはそれだけでも温泉の王様と評される硫酸塩泉としての資質を充分に秘めた泉質も兼ね備えている。
これらの成分に加えて、通常測定されない事が多いカリウムイオンの豊富さと、特筆すべきはフッ素、臭素、ヨウ素といったハロゲンイオンがぼちぼちの量測定されている点である。他にも、鉛、ヒ素、アルミニウム、亜鉛など、およそ飲泉には適さないような微量な元素も幅広く測定されており、如何とも形容しがたい、混沌とした泉質を持つ温泉なのである。
一体地下に何があるんだ・・・?
お湯の色は透明な茶褐色のモール泉(?)であり、実際にその色が化石植物による有機物の色なのか、微量に溶けた金属イオンによるものの色なのかは正直わからんが、多分匂いから判断して化石植物による色なんだと思います。
pHは弱酸性であり、肌を荒らすような湯ではないと感じたが、髪の毛を洗うのには少々成分がキツ過ぎる湯のようである。
なんせ生理食塩水よりも濃いお湯なので、一般的には重く、疲れる湯だと思っておくとよいだろう。
浴槽は前述の通りコンクリート製の土管であるが、内湯に3か所、露天に3か所と小分けにしてあるところが面白い。内湯も露天も温度で分かれており、露天風呂には1か所水風呂代わりのような地下水で薄められた冷たい浴槽もあった。長湯するのに冷たい湯は非常にありがたいので、シャワーがないのは残念だが、ここはポイント高い。
もちろん、加温循環などという金のかかる設備は一切ないので、カランの湯も浴槽の湯も全て、源泉と水だけである。
見た目のカルトさ以上に泉質のカルトさが際立つこの西桔梗温泉は、北海道でもトップクラスのマニア向け温泉である事は間違いないだろう。
美食
五稜郭にある炭火割烹・菊川で食べた、大間サザエである。
津軽海峡を挟んだ函館では、北海道らしいツブ貝の他、青森県側の海域からサザエが入ることもあるのだそうで・・・。
注:いつでも食べれるわけではありません。
海水の綺麗な大間のサザエは、身の香りも露骨に磯臭くなくて上品であり、かつ綺麗な海藻を食べて育ったサザエのワタが非常に美味い一品であった。
伊豆界隈でもサザエは好んで食べていたが、つぼ焼きならともかく、ワタまで刺身で出してくれるところは少なく、食べれたとしても臭みの方が強くてあまり美味いと感じたことはなかった。海水の差はサザエのエサの差に直結しているのかなー?とも感じた一品でした。
冷酒は地元函館米を青森で仕込んだというガスバリをお勧めする。安くて美味い。
11・祝梅温泉
温泉
建屋入口
成分分析書(簡易)
ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉
概要
祝梅温泉は千歳市内にあるボロ屋系(廃墟系?)の温泉である。
温泉マニアの間では定評のある温泉のようで、是非一度入ってみたいと思っていた温泉だ。
千歳市街のはずれ、陸上自衛隊の駐屯地の直ぐ傍にあるこの温泉は、初めて行ったときはカーナビでも少々道に迷った。「祝梅温泉」と書かれた倒れた巨大なボーリングのピンが目印で、そこの未舗装路を入っていくと間もなく上記の写真のような建物が見えてくる。
民家のようであるが、一応ちゃんと営業している日帰り入浴施設である。
総評
温泉マニアとしてはその建物が醸し出す雰囲気は申し分のない評価を与えたくなるところだが、一般的な感覚では入るのに躊躇してしまうような施設であろう。
泉質は上記の通りナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉である。色も褐色のモール泉であるが、実はこの褐色の炭酸水素塩泉自体は、札幌界隈の日帰り入浴施設でもよく見受けられるものであり、別段珍しいものではない。
詳細な成分分析表を見つけることはできなかったが、恐らく月寒界隈の温泉とはそれほど泉質は変わらないモノと思われる。新千歳空港内の温泉(千歳市内からの引き湯)にも似ている。
その黒い湯は石狩平野の成り立ち、豊富に含まれた炭酸水素(重曹)からしてみても、確かに太古の昔から、ここには豊富な有機物(植物)があった事を感じさせる泉質なのである。
浴室の造りはシンプルなもので、3つか4つほどの洗い場と内湯があるだけの簡単な構造。
常連のおっさんがいたので話を聞くと、やはり他の札幌界隈のモール泉同様に、源泉は冷たいのだそうだ。源泉自体はこの建物の直ぐ近くから引いているらしいが、一旦アツアツに加温してから浴室に注がれてくる。
実はこの時、なんと湯を張りたての一番風呂に入ったわけであるが、源泉は近隣の建物で(恐らく薪か何かで)50℃位に加温されてから浴槽に注がれているため、祝梅温泉では常連のおっさんが最初に水でしっかりと埋めてから入浴に適した温度にしているのである。
源泉100%の一番風呂はとてもじゃないが熱くて入れた代物ではなかった。それなりに浴槽内を水で薄めてからどうにか入ったのだが、それでも炭酸水素の豊富なアルカリ泉だけあって、ツルツル感のある肌触りをしていた。どの程度の炭酸水素が溶けているのかは不明だったが、それなりに血管拡張作用もあったように感じる。
余談であるが、この一番風呂の常連のおっさんはここの源泉をペットボトルに入れて持ち帰り、飲用しているそうである。
おっさんは笑って健康の秘訣と話していたが、化石植物も溶けているし、成分的には飲用には適さない泉質であろう。ま、そこは自己責任ってことで。
私個人の主観としては、祝梅温泉はお湯そのものの珍しさはそれほどでもないが、カルト的な魅力・天地効果のある温泉といった評価である。
美食
初心者は飛行機に乗らずとも新千歳空港に行くべし。
新千歳空港は上記のようなシースーから、海鮮丼、ジンギスカン、スープカレー、各種有名ラーメン店の他、ロイズの出来立ての生チョコから温泉、映画館、なんとアニメイトまで揃う一大テーマパークである。
私はこの空港は学生の頃から何度も足を運んでいるが、行く度にその規模はデカくなり、もう札幌まで出なくてもよくね?ってレベルの観光施設と化している。
実際にありとあらゆるお土産もそろうし、マジで札幌まで出なくても充分北海道を堪能できる空間になっているので、羽田から祝梅温泉に入りに来るだけでも、帰りの時間をたっぷりここで過ごせば、ちゃんと北海道旅行を完結できるのである。
他県の空港も見習って、どうぞ。
10・100円温泉
温泉
建屋全景
成分分析書
概要
「入りたきゃ勝手に入れよ!」とでも言わんとしているようなスタイルで、マニアの中でも特に人気の高い黒石市追子野木にある100円温泉。その名の通り100円で入浴できる温泉で、地元の建築会社が福利厚生施設として所有しているモノらしい。
写真の通り、ボロいプレハブ小屋なので、管理者は常駐しておらず、基本的に善意の100円で運営されている温泉である。客層は地元の老人が主であるが、不届き者もいるらしく、県外からの入浴者は脱衣所の窃盗注意。
総評
泉質はアルカリ性の透明な単純泉であるが、色は茶色がかったモール泉であり、某ブログでは「硫黄の匂い」と記している人がいたが、独特の匂いは硫化水素ではなく化石植物の有機物臭である。
源泉は入浴に適した42℃であり、加温も加水も必要ない事から、極太のパイプから源泉がそのまま浴槽にドバドバと直接注がれているのが実に見ていて心地がいい。
単純泉ながらアルカリ性がやや強く、非常にヌルヌルとした肌触りが特徴の良泉である。前述の新屋温泉もヌルヌル系だったが、青森県は地質的にもパッツパツの酸性泉から、このようなヌルヌル系アルカリ性泉まで、色んな種類の湯が湧いているので奥が深い。
浴後は結構な汗をかいたが、それほど疲れる湯ではないと思う。地元のニーズに非常に合っている湯ではないだろうか。
見た目のボロさと裏腹に浴場は小奇麗にまとまっており、広さこそないものの、それほど不衛生な印象は受けなかった。
メインの客層は高齢者の方が多く、閉鎖的な土地柄でもあるが故に、地元民が入っている際は入浴時のマナーに関しても細心の注意を払った方がよいであろう。あとは前述の通り貴重品の管理に注意である。
美食
黒石市とは関係ないが、このあと青森市内に向かう途中に五所川原に寄ってエビ臭いつけ麺を食べた。
麺屋・幡というお店だそうで、複合商業施設・エルムの街の近くにあります。
あ、これも美食というかジャンクですね…。
9・三内温泉
温泉
施設全景
成分分析書
概要
温泉といえば白い湯・・・というイメージを持つ方も多いでしょうが、白い硫黄泉というのは大体が人里離れた山奥の方にあって、なかなか市街地からはアクセスが難しいところにしかない・・・というのは温泉マニアの間でも定説でありますが、イチイチ泉質の優れた湯の湧く青森県では、なんと市内に白い湯の湧く温泉があります。
その名も三内温泉である。
さんないヘルスセンターとかいう近代的な名前の割に酷く時の流れを感じさせる草臥れたこの温泉施設は、市内から車で約10分という立地でありながら、裏手に墓地が広がっている事もあってか、かなりのカルト感を醸し出しており、マニア向けの温泉である事はまず間違いない。
利用者の殆どはやはり地元民であったが、青森市民である私の友人はその存在すら知らなかった。
総評
建物に入る前からまず最初に感じるのが、この強い硫化水素臭である。
それもそのはずで、溶存硫化水素イオンで16.3mg/kg、ガス成分としても5.7mg/kgもの硫黄分が溶けており、これらの両者は併せて2mg/kg以上あれば硫黄泉を名乗れるのであるからして、実に基準値の20倍近い濃さの硫化水素が溶けている温泉なのである。
濃い硫黄泉に浸ったあと、数日は服や身体に温泉の匂いが残った経験をした事はないだろうか?硫化水素はそれくらい体内への浸透性が高く、温泉成分の中でも特に薬理効果が高い成分として知られている。
硫黄原子というのは細胞内外各所にそれ自身と同時に水分子を引き込む作用を持っているため、この湯の特徴としては高い保湿効果と同時に、細胞レベルでの強い身体的な負担がある湯である事は間違いない。
また、それに加えて成分総計は12628mg/kgと、三内温泉は非常に濃い温泉である。主にナトリウムイオンと塩素イオンがその大半を占める塩化物泉であるが、これだけ濃いと生理食塩水の約1.25倍の重さがあり、静水圧としても身体に強い圧がかかっていると同時に、硫黄の保湿効果以上に、浸透圧により体中から水分が抜ける方が優位になっている事を忘れてはならないだろう。
pHこそ7.5とほぼ中性であるが、泉温は46℃もあり、成分上は含硫黄の高張性・高温泉であり、簡単に言えばこの三内温泉は、「強く・重く・熱い湯」でなのである。
さて、浴場の評価であるが、泉温も非常に高く、加水する必要がない事から、ドバドバと掛け流しされているのは大変すばらしいものの、成分の濃すぎる湯ほどメンテナンスには大変苦労するものであり、ここもその維持には大変苦労されているようである。
浴室の壁はその濃い硫黄分が作り出した大量の白い湯の花や、硫化鉄?なのか黒く染まっている部分もあり、浴槽内には草津の湯畑で見たような感じの謎の藻が生えていたりと、お世辞にも綺麗な浴場とは言い難い雰囲気を醸し出していた。
正直な話、衛生面的にちょっと不安の残る印象の浴場であったが、おおよそ微生物が快適に増殖できるような泉質ではないのだろうし、毎日湯の交換はして掃除もしているのだろうから、ま、多少はね?といった所なのだろう。
少なくとも、上級者向けの温泉である事は間違いない。
美食
三内丸山遺跡付近はとりわけ飲食街があるような所ではないのだが、近くにある新青森駅の1階フロアは土産売り場として非常に大規模で積極的な展開をしており、一人の旅人として、買い物が楽しくなるような、非常に好感が持てる空間となっている。
お土産の他にも飲食をする場もしっかりとあるため、駅弁を買って電車内で食うもよし、電車が来るまで海鮮丼や寿司を食うのもよし、旅の終わりにも有意義な時間を過ごす事ができるだろう。
せっかくの開通記念日にクッソ小規模の土産屋と弁当屋しか用意できなかった新函館北斗駅は悔い改めて、どうぞ。